自閉傾向がある子どものパニック対応法(小学校中学年まで)

自閉症スペクトラム症

こんにちは!パニックを起こすということがどういうことなのか、始めの頃は全くわかっていなかった花緒です。自閉症スペクトラム(長男は高機能自閉症)の特性をもつ長男を育ててきて、パニックについてはだいぶ冷静に対応ができるようになりました。今日は私がやってきたパニック対応法についてお話しします。

今日の相談:子どもがパニックを起こした時にどう対応したらいいのでしょうか?

悩む少女

私はいつもこんな感じで対応していました。

  1. パニックの原因を推理
  2. パニック原因となる対象物を見えなくする
  3. 代わりになるものを見せるまたは、落ち着くまでそぉっとしておく
  4. 親子でフィードバックタイムを持つ

長男が小4あたりを境に、パニックを起こす回数はどんどん少なくなり、小5以降、パニックを起こしていません。

もちろん、始めからうまくいっていたわけではなく、いろいろと試行錯誤をするうちに、このパターンに収まっていった感じですね。

大切なことは、子どもと一緒になって親もパニック状態にならないこと。

それはわかっているけど、外出中にパニックを起こされるとあせっちゃうのよ。

そうなんですよね。外出中は特に、人の目がありますし、周りの人達に迷惑になってしまうって親が過剰反応してしまうのは仕方がないことだと思うんです。

親は何してるのよ、みたいに冷たい視線が四方八方から刺さってくるように感じるんだよね。あれ、辛いんだよ、ホント。

ということで、冷たい視線が体に刺さりながらも、パニックを起こしている子ども本人が一番辛いと思うので、いつでもどこでもどんな時でも対応できるようにするにはどうすればいいんだろう?ということを考えていきましょう。

まずは、自分以外の人たちから自分を守るために、バリアを作ってみてください。

他の人の感情は他の人のもの。自分とは別、と切り離す訓練をすることによって、冷たい視線がこちらに向かって飛んできても、その全てを避けきれるようになります。

冷たい視線自体を亡き物にすることができますので、まずは親である自分を守ることから始めましょう。バリアの作り方がわかったら、早速パニック対応について考えていきましょう。

パニックの原因を推理/状況から冷静に判断してみる

推理

まず、子どもがパニックを起こしたら、何に対してパニックを起こしているのかを冷静に推理してみましょう。

何かが子どもの思い通りにならなかった
  1. 子どもが思っていた予想と違う現実がおこったこと
  2. その現実をどう変えたら自分の予想通りになるのかの想像ができないこと

長男のパニック対応経験上、パニックの原因のほとんどは、この2つだと思っています。

この2つ、よくよく考えてみると、まだ経験が少ない幼少期であれば、どんな子でも起こり得ることだと思いませんか?

2は、いわゆる対応法、ですよね。この2番を自分で考えられるようになることが子育ての中でとても大切なことだと思っています。逆に言えば、この2番が年相応になってもなかなか発達していかない、または発達しないのが自閉症スペクトラムの子どもたちなのかな、と私は感じています。

ということは、3歳くらいまではパニックを起こしていたとしても、経験が足りないからなのかな、ということで見守ることができますよね。

幼稚園に入るあたりから入学前、入学してからのパニックについては、まずは原因が何なのかをよく見て判断してみるといいと思います。

気づかないと、対応も始まらないので。

子どもが思い通りにならなかった原因を推理しましょう。

パニックの対象は物だけではありません。人に何かを言われて、うまく処理ができなくて、言われたことがどうしても納得できないのにどうしてもやれと怒られて、など人が対象になることもあります。

  • 子どもの様子をよく見る
  • 子どもの様子から推測する
  • 対象物(人)を特定するためにちょっと刺激してみて確認する

実際問題、これくらいしかやれることはないのですが、子どもを観察して推測するというのは、親である私たちには必要なスキルなので都度練習していきましょう。

  1. メモなどに状況と様子を記録
  2. あまり良く思われないが動画を撮る

記録自体はこの2パターンで十分です。2の動画を撮るのは、実は人からはあまりよく思われません。特に外出中は、動画撮ってないで泣き止ませて!と思う人がほとんどです。

外出中に限り、動画はやめる。一度別の場所に子どもを写してからにする。など臨機応変にやってみてください。

また動画を撮る場合、記録として残したいのは、

  • 声の様子
  • 行動の様子
  • 目線などの動き

このパターンが記録できれば良いので、30秒撮ったら十分です。というのも、子どもがパニックを起こしている時は、親も焦ってしまいがち。

その時に感じていた子どもの様子を、落ち着いた時に動画で見ると、気づくポイントがかなり違ってきます。

のちのフィードバックに利用したり、パニック時に気づくこととの差を理解するために使うようにしてください。

一番は、パニックを起こしているお子さんから見て、動画を撮っている親像はあまり良くないでしょう。信頼関係にも関わりますので、動画は記録程度にとどめることをおすすめします。

パニック原因となる対象物を見えなくする/対象物を移動or本人が移動

サングラスをかける男性

パニックの原因がわかったら、原因となっている対象物や人が本人から見えないように移動します。

物であれば、別の部屋に移動させる、布をかぶせて見えなくすれば良いですし、人であれば、一度部屋から出てもらうといいですね。

兄弟や赤ちゃんであれば、一旦別の部屋に移動してもらうか、できないようであれば本人が移動しましょう。

本人の移動が難しい場合は、パーテーションで仕切ったり、アイマスクやサングラスをしたり(嫌がったらやめる)危険がないように対処をします。

こればかりは本人がうまく動けるときと、岩のように動かないときなどあると思いますので、その時の判断になってしまいますね。

パニックの原因となる対象物(人)を本人の視界から消す

見えなくなることで、落ち着く時間が早くなるのと、それ以上パニックがひどくなることを防ぐ対応なのですが、子どもによっては一時的に余計泣くかもしれませんね。

私は一度完全に長男の視界から消す方法で対応してきましたが、子どもの様子や原因の様子を見ながら、少しずつ対応を変えてみてください。

パターンが増えれば、経験的にうまくいく方法もわかってくると思いますので。

代わりになるものを見せる (意識をすり替える)or 落ち着くまでそっとしておく

くまのぬいぐるみと子ども

次の方法は、子どもによりけり、または親の子育て方針によりけり、で違いがでてくる方法になります。

幼少期などでまだ意志の疎通が難しい場合、またコミュニケーションがうまく取れない場合、パニックの対象を視界から消した後、違う物を見せて、パニックから意識をそらすというかすり替えます。

おもちゃであれば、パニックの原因となったおもちゃよりも好きなおもちゃを渡す。またはお菓子を手渡す。水を飲ませる。ご飯を食べちゃう。自転車に乗せて移動しちゃう。などなど。

全く別の物を視界に入れて、パニックから意識をそらす

主に外出中や、親のメンタルがいっぱいいっぱいな時などに使えます。

ただし、パニックを起こすとお菓子がもらえる。パニックを起こすと何か買ってもらえる。と子どもが学習してしまう可能性があります。

それは違うと思うので、この思考回路を作らないために、前パターン違うことですり替えるといいと思います。

私は、アイスを食べる・DVDをつける・しばらく遊んでいなかったおもちゃを出す・自転車に乗せて遊びに行ってしまう・おんぶして部屋を出てしまう、など思いつく限りのことをやりました。

次男がいたので思うように動けなかったことも多々ありましたが、私も対応に慣れてきたら、またパニックになったか、くらいに思えるようになりました。

パニックが落ち着くまでそっとしておく

本当はそっとしておくのが一番の理想なのだと思います。なんとかしようと思ってしまうと、なんとかならなかった時にイライラしてしまうので、流れにまかせるくらいの気持ちで対応するのが、親の気もラクになります。

周りが大丈夫であれば、そっとしておきましょう。または子どもによっては、落ち着くまで一緒にいて欲しいと言う子もいると思いますので、この後のフィードバックの時にでも、子どもに確認してみるといいですよ。

パニックで暴れたりしているようなら、1人にしておくのは危ないですが、大丈夫なようであれば、1人の方が落ち着くタイプもありますので、子どもに合わせて様子をみてくださいね。

親子でフィードバックタイムを持つ/完全に落ち着いた時に対応を決めておく

フィードバック

パニックを起こしてしまうのは本人もとても辛いと思います。少なくとも楽しいことではないですよね。できることならパニックを起こさずに別の行動に変えていった方が、本人にとっても周りにとってもいいでしょう。

ですので、落ち着いている時に、パニックの時はこうしようというフィードバックをしておきます。

幼少期であっても、聞いてみて、語り続けてみるといいですよ。いずれわかる時期がきたら、自分はこうしたいと話してくれるようになると思います。

子どもの対応についてのフィードバック

子ども自身の行動、そして親自身の行動について、お互いにフィードバックできるといいですね。

パニック時に、

  • 事実:何が起きたのか・何を思ったのか・どんな行動をしたのか
  • 対応:どうすれば良かったのか
  • 理想:今後はどうすればいいのか

このようなことを親子で話せることが一番の理想です。難しい場合は大人だけでも1人フィードバックをしましょう。

この時、反省会にならないように気を付けてみてください。反省するというよりは、今後に向けて対処をするという方向でのフィードバック時間です。

お茶とかココアとか、少し暖かい飲み物でも飲みながら話せたらいいですね。

パニックが収まってすぐにフィードバックをしてもいいですし、お風呂の時間や別の日でもいいと思います。

意外とフィードバックについては、話せるんじゃないかなと私は思っています。

振り返り

ホットココア

外出先や親せきの集まりなど、親子ともにあまり自由がきかない場所で、子どもがパニックを起こしてしまうと大変ですよね。

長男のパニックも年齢とともに収まりましたが、これも子どもを理解し、受け入れているからできることなのかなと思っています。

子どもに自閉傾向があることで、親子ともに周りから心無いことを言われたり、見られたりして、嫌な思いをすることも多々あるでしょう。

その中で子育ての楽しさや素晴らしさのようなものを見つけ出せと言われても、きっと今は難しい。今はパニックの原因とその対応法を1つでも多く見つけ出し、自分で子どものパニックが起きないようにコントロールしていけることが先決です。

そして成長とともに、子どもがパニックの対処を自分できるようになることが理想です。

今、目の前の子どもを受け入れ、今のパニックと向き合うこと。この継続から見えてくることが必ずあります。まずは向き合ってみてください。そこから湧き出る自分の気持ちをその場で感じ取ってみましょう。

今を生きるということ。自閉傾向の子育てをしてきて、今自分が感じることに向き合うきっかけができたのは、長男のパニックからです。

子育てなんて楽しくなくっていい。今のつながりが未来になることに気づいただけで、十分良かったなと今は思えます。そんな日はこないかもしれないけど、それでもいいんじゃないかな。って思える日がくるかもしれないしね。

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