ADHDだと忘れ物が多いの?忘れ物をしてしまう脳のしくみ

脳のしくみ ADHD

こんにちは!脳科学の本を読むのが大好きな花緒です。今日はちょっとマニアックな情報になってしまいますが、忘れ物に困るADHDと脳のしくみについて、私が知っている情報をご紹介したいと思います。

ADHDだと忘れ物が多いのは脳のしくみが違うから?

たくさんの本
ADHDは脳の神経伝達がうまくいかないことで困りごとが起きると言われています。

私なりのざっくりとした表現ではありますが、 つながるはずの神経がうまくつながらないことで、伝達されるべき情報が伝達されずに、忘れ物などの困りごとが起きてしまうらしいのです。

ちょっとだけ脳のしくみについてお話をしていきたいと思います。

ADHDの特性と忘れ物の関係~脳のしくみがわかれば特性を理解できる~

脳のしくみ

過去に私が発達障害について勉強してきた内容を、わかりやすく?簡単に?説明しています。かれこれ7年近く勉強し続けているので、若干の情報更新が遅れていたり、もうその認識は時代遅れなんだけど、という情報があったらごめんなさい。

それでもいいよ、という優しい人だけ、参考にしてもらえるとうれしいです。

ADHDと脳のしくみ

ADHDは脳の前頭前野に関する部分の神経伝達がうまくいっていないようです。

参考:ADHDの原因は脳内に?/大人のためのADHD.co.jp

そして、前頭前野の中でも眼窩前頭皮質というところに関連していることもわかっているようです。

参考:ADHDの脳構造の特徴を人工知能により解明し、遺伝子多型の影響を発見

遺伝子の内容じゃなくて、脳のしくみの情報を見てね。

さらに、眼窩前頭皮質というところは、記憶や行動を抑制・制御する役割をしていて、知識や経験から推測して、先の行動を意思決定する役割をしている部分のようですね。合ってるかな。

参考:眼窩前頭皮質/フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ADHDに関連している脳のしくみの部分は、眼窩前頭皮質だけじゃないと思うんだけど、私は割とこの眼窩前頭皮質が大きく関係していると思っていて、逆に言えば眼窩前頭皮質のことを知れば対策が取れると考えています。

眼窩前頭皮質

眼窩前頭皮質と言えば、有名な話があって、事故で眼窩前頭皮質を損傷した人が、事故前はできていた自己制御が、事故の後はできなくなったんだって。

眼窩前頭皮質部分の神経伝達がうまくいっていれば、自己制御ができるのであれば、この部分の神経伝達がうまくつながらないADHDの人たちは、自己抑制であったり自己制御をすることが脳のしくみ的に難しい。ということになりますよね。

だから「じっと座っていられない」とか、「しゃべりがとまらない」「買い物依存症」「片づけられない」ということが起きてくるのかな、と私は考えています。

忘れ物と眼窩前頭皮質の関係

じゃあ、忘れ物は何が関係しているの?ということになるのですが、この眼窩前頭皮質という部分は、意志を決定するための、情報集約場所のようなものらしいのです。

眼窩前頭皮質の多彩な役割を要約すると、意思決定の基盤となる認知地図を構成することである。認知地図の構成は観測可能な情報と観測不能な情報を統合して推論を行い、ステートと呼ばれるある種の状態を表現することによって可能となる[1]。観測可能な情報は、現在の感覚入力や自らの行動である。観測不能な情報は、直接的な経験やモデルベースの推論によって得られる情報である。部分的に観測可能な環境情報にはしばしば、価値情報が伴う。

眼窩前頭皮質/フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

私のない頭で理解し、推測した考えをまとめてみると、

過去の経験や、経験からの予測と、今起きている目の前の状況や感覚、自分の行動を総合的に考えて、自分の感情や心理状態などを起こして(喜怒哀楽とか)その後の意志決定をする

ってことかな、という感じかなと思いました。

子どもが言うことを聞かなくて、泣きわめかれた時、過去にも言うことを聞かなくて腹が立ったという経験と今目の前で起きている同じ状況がまた起きていて、さらに怒りが増して、怒鳴る。

みたいな感じでしょうか。

子どもがおもちゃを部屋中に散らかしていて、自分がおもちゃを踏んじゃってものすごく痛くて腹が立って怒ったことがある人が、また子どもがおもちゃを散らかしていると痛い思いをしたくないために「片づけて」と言う。

とかも考えられますね。

眼窩前頭皮質の機能自体は、脳の超複雑な情報と構造と関連性についての説明が関係してくると思うので、一概にADHDの忘れ物だけを見て関連してますよ、とは言えないと思います。

でも、眼窩前頭皮質の神経伝達がうまくいかないことで、過去に忘れ物をして先生に怒られて嫌な思いをしたから、忘れ物をしないように気をつけようという思考回路にならなかったり、眼窩前頭皮質の神経伝達がうまくいっていないから記憶としてうまく定着させることができないのかなとも思います。

過去の経験から学習したことをうまく経験に落とし込めない。経験からの推論がうまくいかずに、自分の行動に反映できない。という特性なのであれば、何回忘れても、忘れ続けるような気がするのです。

ADHDの特性を受け入れよう~忘れ物をしても最悪死なないという考え方~

置き忘れたカバン

脳のしくみがわかったところで、結局のところ、忘れ続けてしまう脳であるわけですから、忘れ物をしてしまうことをいくら注意しても、いくら怒っても、本人が悪いわけではないのです。

忘れ物をすれば本人は困りますし、周りの人も困るでしょう。

しかし、忘れ物をして死んでしまうわけではありません。忘れ物をしても生きていくことはできますよね。いろいろと立場的にヤバイ人もでてくるとは思いますが。

そもそも論で、忘れ物をしないという神経がつながったことがないので、忘れ物をしない感覚がわかるはずもなく、忘れ物をしないと起こるメリットもわかりにくわけです。

薬で神経をつなげる方法もありますが、まずは根本的に考えてみて、忘れ物をすること自体は本人が悪いわけではなく、忘れ物をしても死なないから大丈夫、と考えてみましょう。

忘れ物の盲点~親が持ち物を把握していない場合~

さて、そうは言っても忘れ物が多くて先生からもよく注意をされてしまうお子さんの場合、怒られてしまう度に「自分はできない人間だ」「ダメな人間なんだ」と思い込んでしまいます。

忘れないようにしようとその時一瞬思ったとしても、記憶にうまく定着していかなければ覚えていられるはずもないですよね。

支援する側である親が、お子さんの持ち物を把握している場合は、親がフォローして一緒に準備をしたり用意をしたり、出かける直前に確認をして忘れないようにすることはできるでしょう。

担任の先生が、1週間の時間割や予定表とともに、特別な持ち物(習字・絵の具・裁縫道具・調理実習の道具など)をクラスだよりなどで事前に知らせてくれていれば、忘れ物のない1週間を過ごすことができますが、先生によりけりといったところが現状です。

本来であれば、子どもが連絡帳などに、次の日の時間割や持ち物などを書いてくるものですが、発達障害の子育てに関してはこの辺を期待しない方が無難です。

連絡帳は書いてこないもの、持ち物だけを書き忘れてくるもの、と思っておくと、子どもが書き忘れてきてもイライラせずに済みますよ。

というわけで、親が持ち物を把握していない場合は、別の対策が必要になりますね。

特性は変わらない~できる所からできない所をリンクさせるために~

さきほどからお話しておりますように、脳のしくみ的にADHDの特性がある場合、特に不注意優勢の場合、忘れ物はするものだと思っておき、配慮するべき項目の1つだと思っておきましょう。

ADHDだから忘れ物をしてもいい、というわけではないので、その辺は家でサポートしたいですね。できれば家でサポートして、忘れ物をしない経験とスキルを身に付けていくためにも担任の先生にもサポートしてもらいたいです(持ち物は事前に知らせてもらう方法を考えておくなど)。

スマホやタブレットを上手くつかいこなせる子であれば、アプリなどをうまく使えばいいですし、かわいい付箋やメモを集めている子であれば、かわいい文房具系をうまく使って対策をとればいいと思います。

ツールは、もともと人間の困りごとに関して発展してきた分野なのですから、忘れ物に対してもいろいろと使ってみましょう。

忘れ物にはこれ!というツールがあまりないので、基本的にあるツールを応用して使うことが必要になりますが、できる所からできない所をフォローしていける体制をつくっていきたいですよね。

家の中で「あれがない」「これがない」が多い人は、キーファインダーという便利なものがあるよ。鍵とかカバンとか携帯とかがなくなる人は便利グッズを使おう!親の方が必要かも・・

今日の振り返り

持ち物

ADHDの特性として忘れ物をしてしまう理由には、脳の前頭前野にある眼窩前頭皮質というところが関係していることがわかりましたね。

発達障害の説明をする際に、脳のしくみが違うという言い方を私はするのですが、どうしくみが違うのか、何がどう関連していて違うしくみになっているのかを追求する人はあまり見かけません。

ちょっとマニアックな世界かもしれませんが、しくみがわかることでその上で起きていることを理解することができます。対応方法対策といった言葉は、しくみの上で起きていることに対する対処法のようなものなので、しくみを知るということはとてもいいことだと思います。

間違っても忘れ物をしてしまうことを責めたりしないでくださいね。きっと誰よりも本人がわかっていることだと思いますので。

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