HSCに療育はない?生きづらさを感じながら特別支援教室(通級)に通えない子供

HSC

発達障害という生きづらさを抱える長男は特別支援教室に通えるのに、HSCという生きづらさを抱える次男は特別支援教室には通えない(うちの学校は)ということに素朴な疑問を感じる花緒です。

生きづらくて社会に適応しにくいと感じている点では発達障害もHSCも同じだと思うのは私だけでしょうか?今回はHSCの子供の環境について知っていることを共有したいと思います。

HSCは障害ではないの?医師の診断・治療・療育は受けられるの?

次男は一年半ほど児童精神科へ通っていました。

3ヶ月に1度の診察ですが、元はと言えば次男の肩こりがあまりにもひどく、整形外科から精密検査のために紹介された大病院で、メンタルが問題かもしれないと児童精神科へ通うことになりました。

さらに次男担当の先生の方針なのか、診断名は教えてもらえませんでした。ちなみにHSCという気質があるよ、というような話も一切ありませんでした。

何か名前をつけたいなら、「不安障害」とかでいいんじゃないの?くらいの感じでしたが、私はどこか納得がいきませんでした。

何か違うなって思ってたんですよ。不安障害で肩こり?みたいな。

通い始めた当時はまだHSCのことは知らなかったので、納得がいかないまま時が過ぎました。

偶然知ったHSC。

HSC??何それ?と初めて「HSC」という言葉を見たときに思いました。そして同時に「病院」とか、「診断」とか「治るの?」とか、いろんなことが頭をよぎったんですよね。

正直、次男の子育てには困り果てていて、発達障害でもないから対処法もわからず、長男のようにどこかに療育を頼めるわけでもなく、当時やっていた月1のプレイセラピーも効果を感じられずに、悶々としていたのです。

・・・・という状況で、ワラにすがりたいくらい、助けを求めていたんですよ。ホントに。

医師の診断は受けられるの?薬があったり治療をすれば治るもの?

日本にHSCという概念を広めた明橋大二氏によれば、HSCは病院ではなく障害でもない、ということです。ですので医師の診断もないということになります。

HSCは、病気でもなければ、
障がいでもない、ということがあります。
ですから、本来、医療機関で治すものでもな
いし、診断するものでもないのです。

マンガで楽しく手軽に読める「子育てハッピーアドバイス」シリーズ/1万年堂出版

HSCという呼び名があると、なんとなく病院で診断してもらえそうな気がするのですが、違いました。実際、児童精神科ではHSCとは診断されませんでしたし、HSCについての話も出ませんでした。

HSCに療育はないの?療育とは何なのか?

障害をもつ子供が社会的に自立することを目的として行われる医療保育

コトバンク

よく使われている療育とは、障害がある人や発達障害の子供が、病院などの施設に行き、担当の療法士と遊びを交えながら特性に合わせた訓練をすることを言います。

発達障害の長男は、OT(作業療法)と心理をやっていました。他にもST(言語聴覚両方)やPT(理学療法)があります。

HSCは障害ではないので、この時点で療育対象ではありません。

でも発達障害の療育を見ていて思うんですが、HSCの子も現実問題、次男のように社会適応が難しい子もいるわけですよ。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)のようなものや、アンガーマネジメントだったり、感覚が過敏過ぎることによる認知のゆがみには認知行動療法ができるなとか、何かしらできることはあると思うんですよね。

保険適用外だからお金が高いんだけど、心理などは、HSCの子にもとてもいい療育だと思うのですが、現在では対象外であることには変わりないですね。

療育がないHSCとは?

HSCとは、Highly Sensitive Childの略で「ひといちばい敏感」な子という表現で知られています。

HSCって何だろう?ひといちばい敏感な子どもの生きづらさとHSCチェックリストにも書きましたが、 HSCというのは障害などではなく、生まれ持った気質であるとアメリカの心理学者であるエレイン・アーロン博士が提唱した言葉として知られています。

私は、子育てハッピーアドバイスの本を読んで、詳しい内容を知りました。

私が最初に読んだHSCの本を3冊だけですがこちらの記事で紹介しています。

まだまだ認知度が低いので、学校の先生方、特別支援教室の先生にも知られていませんでした(うちの学校では)。

5人に1人はHSC(HSP=大人ver)だと言われているので、意外と周りにいるかもしれませんね。

HSCは障害なの?

HSCは障害ではありません。私が言い切ることではないのですが、エレイン・アーロン氏のサイトがありましたので、詳しくはこちらを参照してみてくださいね。

参照:The Highly Sensitive Person/Dr.Elaine Aron

HSCに療育はない?生きづらさを感じながらも特別支援教室に通えない子供

青い髪と虹色のサングラスをかけた女性

発達障害の子供たちが通う特別支援教室。以前の「通級」と呼ばれているところです。

生きづらさを抱える子供たちが理解ある先生の元でたくさんの成功体験を積んだり、認識の違いを知る場所です。

個別での授業もあるので、1人ずつに合わせた必要な支援ができるところも魅力の一つ。

「生きづらさ」という意味では発達障害もHSCも同じなんだけど、HSCの子供は基本的に特別支援教室には通えないんですよね。

特別支援教室とは?

特別支援教室とは、「通級」と呼ばれていた教室のことですね。

現在では小学校に特別支援教室という教室があり、その子に割り振られた時間は通常級から抜けて特別支援教室で過ごすというものです。

子供の特性に合わせたゴールがあり、個別指導、グループ指導、運動、などから必要な授業のみに参加するシステムになっています。

東京都はすでに全部の学校で通級(他の学校に通うタイプ)ではなく、所属している小学校内にある特別支援教室に変わって、生徒が通わずとも在籍校にいながら通級指導を受けていると思います。

特別支援学級、特別支援学校とはまた別なので注意してくださいね。言葉が似すぎていて何が違うんだって話なんだけど、

特別支援学級・・・イベントとか希望の授業だけ通常級に行く感じ。普段は支援学級ですごす。

特別支援学校・・・完全に支援学校のこと。通常級には行かない。

※表現は私の解釈です。間違ってはいないはずです。

HSCは特別支援教室に入れるの?

まず、特別支援教室に入れる子供はどういう子供なのかというと、教育委員会のページを見てみました。

(2) 国が規定する障害の種類・程度 特別支援教室が対象とする児童は、「通級による指導の対象とすることが適当な自閉症者、情緒障 害者、学習障害者又は注意欠陥多動性障害者に該当する児童生徒について(通知)」(平成 18 年3月 31 日付 17 文科初第 1178 号)により規定されている、通常の学級に在籍する知的障害のない発達障害 又は情緒障害であり、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度の 児童が対象である。

5 特別支援教室の対象となる児童及び教育課程 / (平成30年6月一部改定) 東京都教育委員会

やっぱり障害ではないHSCは対象ではありませんね。

生きづらさを抱えながら自分で折り合いをつけなければいけないHSCの学校生活

植物の芽

長男の小学校でも校長先生がはっきりと言ってました。

特別支援教室を希望する場合は、発達検査をしてください。

特別支援教室を希望している子供も増えていますからね。HSCは障害ではない以上、特別支援教室の対象にはならないということですね。

でもちょっと気になるのが、一番最後の行。

通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度の 児童が対象である。

5 特別支援教室の対象となる児童及び教育課程 / (平成30年6月一部改定) 東京都教育委員会

始めに断っておきますと、特別支援教室の対象となるのは、発達障害の子供であり、この文章になっているということです。そこは理解した上で、話をすすめます。

この文にもある「一部特別な指導を必要とする」って、HSCだって該当すると思うんだよね。

特別支援教室は学校の制度だから、学校をベースに考えると、HSCの子供は明らかに特別な指導が必要なところがあるじゃないですか。

過敏に反応しすぎて、不登校になる子供もいるわけですし、気づき過ぎてしまってメンタルが崩れてしまうなら、社会生活(学校生活)に支障がでるので特別な指導が必要になると思うのです。

特別支援教室では、自分の得性に気づき、社会生活をする上で自分と社会との接点において、どう折り合いをつけていくか、社会はこのような見方考え方をするよという一般常識のような認識を勉強していくわけです。

これはHSCに子供にも必要な情報ですよね。気づき過ぎるゆえに認知のゆがみが起きるHSCの子供において、特別支援教室での活動は、ある意味、とても有効だと私は感じています。

さらに、親も先生も、子供のHSCNい気づいていなかったら、理解されずに生きづらさを感じ続けて過ごすんですよね。

子供の気質や特性をそのままやさしく受け入れてくれる、自分のことを理解してくれる場所でもある特別支援教室だからこそ、学校の中にHSCの子が居られる場所があったらいいんじゃないかなって思うのは、私だけなのでしょうか。

振り返り|療育がないからこそ学校や先生の理解、親の認識が重要なHSC

水色の果物

長男は特別支援教室(通級)に通い始めて6年目。4歳から療育の世界にいる長男は、中学でも通級に行く予定でいます。

現在、OT(作業療法)と心理 といった療育は全て終了してしまったのですが、やっぱり親以外の誰かと一緒に成功体験を積んでいったり、理解された状態で何かを教えてもらう経験って大きいと感じます。

さらに言えば、その成果は確実にあると思います。

そういう意味で言うと、HSCの子供も同じように理解されてもいいんじゃないかな、と思うんですよ。

障害という意味で同じなんじゃなくて、社会で生きていくにあたって、生きづらさがあるのであれば、療育に変わるような何かあってもいいんじゃないかなって思うんです。

発達障害でいうところの、特別支援教室みたいな。

高いお金を出せば、カウンセリングもあるでしょう。でも費用が高すぎるんです。

まだ子供のうちは、親子とも誰かの助けがが必要じゃないですか。

子供も経験が少ないからいろんなことがわからないし、親もHSCを知らなければ、私のように悶々と悩み続けてしまう。

HSCだから、発達障害だから、って分けたり区別したりしなくったって、本当なら助けが必要な子供には必要な配慮や支援ができたらいいんじゃないのかなって思うんです。

そんなの理想論でしょ、で終わっちゃうかもしれないけど、なんかうちの子、違うなという思いを持ちながら育てていく辛さ、子供もどこか生きづらさを抱えているような気がする、そんな疑問がありませんか?HSCのお子さんを育てているみなさま。

しかも、発達障害だけでも特別支援教室はあふれている状態なのに、HSCもってなったらやっていけなくなるじゃない、という声も聞こえてきそうですが、それは私たち親子の問題ではなく、学校側の問題ですね。

教育委員会なり、国なりの問題ですからね。考えていただきたいところです。

HSCだから特別支援教室に入れてくれー!って叫んでいるわけでもないし、療育やらせてくれー!って訴えてるわけではなくて、あくまでも私の中で何か腑に落ちないんだよなって思うことを共有させていただきました。

これから変わっていくかもしれませんが、現時点で私が知っていることは、HSCは特別支援教室に入れないことが多いということです。

せめて、学校の担任の先生にHSCのことを知ってもらえるように、私もさらに活動をしていきたいと思います。

コメント

  1. zzz より:

    うちの娘もHSCです。小1で不登校を経験し、HSCは発達障害ではないので、通級などなく花緒さんと同じことを感じました。HSCも人によりそれぞれかと思いますが、参考にさせていただきたいと思います。
    よろしくお願いします。

    • 花緒(kao) 花緒(kao) より:

      コメントありがとうございます。
      本当にどうしていくことが一番いいのか、悩んでしまいますよね・・・。
      いろいろ思うことがあっても、何も変えられない自分に無力を感じますが、
      今、自分にできることをやるしかないですよね。

  2. eco より:

    小4の双子の息子がHSCで不登校です。(現在は別室登校中)
    うちの自治体では、特別支援学級への入級要件に診断名や医師の判断がいらなくなったそうで、来年度は特別支援学級(情緒クラス)に入級することが決まっています。
    児童精神科の先生が花緒さんと同じことをおっしゃっていました。
    発達障害の有無で判断するのではなく、学校は生きづらさを抱えて支援を必要としている子は漏れなく支援するべき、市の対応が遅すぎるくらいだ、と。
    制度の狭間で辛い学校生活を送らざるを得ない子もたくさんいる中、我が子は恵まれているなぁと感じています。
    このような考え方を理想論で済ませるのではなく、世の中に浸透していって欲しいと切に願っています。

    プロフィールも拝見しました。
    私もHSPの傾向があります。
    音楽も好きでピアノを少々弾きます(プロには程遠いですが!)
    そして、我が家にもうさぎがいます。
    なんだかとても親しみを感じてしまいました。
    他の記事も読ませて頂きますね。
    よろしくお願いいたします。

    • 花緒(kao) 花緒(kao) より:

      ecoさんへ

      コメントありがとうございます。
      特別支援学級への入級用件、診断名がいらなくなって良かったです。
      私が1人でおかしい!!って訴えても、世の中そう簡単には変わらないと思いますが、
      しっかりと子供と向き合ってくれる先生や大人がいる地域や団体もありますからね。

      生きづらさを感じるために学校に行くのではなく、本来学校に行くことで得られる効果を
      ecoさんのお子さんも少しずつ得られるといいですね。
      不登校であることをマイナスイメージに捉えないような情報発信をこれからもがんばっていきたいと思います。

      さらに、私達、とても境遇が似ているんですね!
      とてもうれしくなりました!
      よかったらまた遊びにきてください。

  3. リリコ より:

     初めまして。
     ADHD疑いの4歳の娘のピアノ教室のことで、何かいい方法はないかと調べていたら花緒さんのページを見つけました。
     言われたことをやらない、イスに座っていない、歩き回る、勝手に打楽器で遊び始める、イスに寝転ぶ、イスに立つ、イスから飛び降りる、あげたらきりないです。しかし、教室の先生は優しく怒らないで関わってくれています。が、正直いつか断られるんじゃないかとビクビクしています。(先生にはADHDかもしれないと伝えてあります。)でも、こんなに毎回のようにふざけるのに「明日ピアノだよ」と告げると「やったー」と言うので、嫌々通っているわけではなさそうです。つい先週は初めからおふざけをし大変でした。10分以上経った頃に自己決定理論を思い出し「○○と△△どっち先にやる?」と聞いて、ようやく自分で選んでやり始めました。工夫って大事だと感じた瞬間でした。また、ピアノのページとても参考になって、早速フラッシュカードを作り次回から試してみようと思います。
     また、最近私自身、HSPなんだと気づきました。わたしは学校生活で周囲に馴染めず辛い期間を過ごしました。現在はそれなりに社会経験を積みやり過ごすことを覚えましたが、まだまだ対応の仕方で辛い思いをすることがあります。もし、子どもの頃に何かしらのプログラムを受け成功体験を重ねていたら、その後社会に出た時にスムーズに適応出来たのではないのかと感じます。
     日本はまだまだ他の先進国から比べると、制度も認知も遅れていますよね。事実、私自身娘の育てにくさを感じていなかったら、発達障害のことを誤解していたと思います。もっともっと世の中全ての人が生きやすい社会になってくれたらと感じます。長文になってしまいすみません。また、これからも参考にさせてもらいたいと思っています。

    • 花緒(kao) 花緒(kao) より:

      リリコさん

      コメントありがとうございます^^
      興味のあることがたくさんありそうで、頭の中が忙しそうですね!
      公共の場に行くと、つい迷惑を考えてしまって止めたくなりますが、
      きっと、娘さんの好奇心はいっぱいあるのでしょう。
      運動神経もバッチリな感じですね。

      その他大勢の方々に、この神経回路を理解してほしいとお願いしたところで難しいとは思いますが、
      発達障害やHSPなどの特性が特別なわけではなく、その他大勢の方々の正確や気質もまた、ひとそれぞれなのですが、
      目立たないから、迷惑かけていないから、という理由で目立つ人を叩いてきます。

      出る杭は打たれるのが日本社会でしょうね。
      「自己決定理論」という素敵なネーミングをつけて実践していただいて、とてもうれしいです。
      リリコさんも今までお辛い時期もあったでしょうが、とても前向きな雰囲気を感じました。
      HSP親×ADHD子供。
      結構大変なことも多いですが、特性の理屈がわかると面白く感じてしまうことも多々あります。

      困った時はいつでも見にいらしてください。
      参考になるような情報をこれからも発信できるよう心掛けていきたいと思います♪