私は、HSCの子供の思考には、独特のクセがあると考えています。
経験や知識が浅い分、クセのある思考に走りやすく、クセのある思考によって行動が止まりやすいとも感じています。
私の考えではありますが、HSCの子供の思考にどんなクセがあるのかを考えてみましたので、ご紹介します。
HSCの子育てに悩んでいる親の方、接し方がよくわからないと困っている方の参考になればうれしいです。
HSCの思考のクセ【花緒流】
シンプルに表現するとこんな感じです。具体的に説明していきます。
何かをやろうとする(行動を起こす、または思いつく)
まず、何かをやろうとします。
- 学校に行く
- 授業で「わかる人ー!」と先生に言われる
- 宿題をやる
- 放課後友達と遊ぶ
なんでもいいです。日常のいろんな行動や言動を考えてみてください。
人にどう思われるかを予測
完全に私の憶測ですが、まず、人にどう思われるかを予測している気がします。
- 学校に行く→本当は行きたくないが親が怒るだろう
例えば、こんな感じです。または先生に怒られる、近所の人に「学校は?」と聞かれてダメな子だと思われる、みたいな感じですね。
同じように、
- 授業で「わかる人ー!」と先生に言われる→答えはわかるが間違えたらクラスの友達に笑われるかも
こんな考えが頭をよぎり、結局手を挙げられない。先生と極力目を合せないようにして、気づかれませんように・・と願ったり。
HSPの私が子供の頃もそうでしたが、自分がやる事、思う事より、一緒にいる人や関わる人に自分がどう思われるか、が気になってしまう気がしています。
もちろん、人によって違いはあると思いますが、似たような傾向はHSCの特徴としてあるでしょう。
自分に降りかかる災難のみを抽出
人の感情が気になったら、次の思考は「自分に降りかかる災難」を自動計算します。
- 学校に行かない→親に怒られる
- 「わかる人ー!」→間違えたら笑われる
みたいな感じで、これから自分が起こす行動に人が反応したら起こりそうな災難を、数々の妄想から抽出します。
予測した災難を避ける行動を取る
そして、予測した災難。つまり、本人が嫌だと感じることを避けられるような行動をとります。
- 学校に行かない→親に怒られる→学校に行く
- 「わかる人ー!」→笑われる→答えない
こんな感じで、自分にとって嫌な行動と避けるため、
- 学校に行かない→親に怒られる→親に相談してみる
- 「わかる人ー!」→笑われる→答えてみる
という「チャレンジしてみる」という体験ができなくなると私は考えています。
ちなみに、自分にとって災難になる妄想はできますが、他の妄想が選択肢から消えることもHSCの特徴かな、と考えます。
例えば、
- 学校に行かない→理由を聞いてくれる
- 「わかる人ー!」→間違っても笑われないor答えが合っている
このように、接する人によって返ってくる反応はさまざまです。もちろん、HSCの子供の妄想通りになることも1つのパターン。
でも他のパターンもあるんですよね。いい方向に向くパターンもあるのに、なぜか悪い妄想に走っていきがちなところが思考のクセかな、と思います。
振り返らない
自分がやった行動や言動を振り返らない、ということです。
子供なので、基本的に振り返らない方が普通なのかもしれませんが、仮に振り返ろうにも振り返れないのでは?というのが花緒論です。
他人基準で行動するため振り返るポイントがない
振り返るには、自分の行動を思い出す必要がありますね。
しかし、行動するかしないかの基準が自分ではなく、他人の場合、行動を決めた理由は「人からこう思われるのが嫌だから」ほぼ1点です。
または、怒られたら嫌だから、笑われたら嫌だから、とかですね。全部「嫌だから」のみです。
ここから先のアクションは、
「嫌じゃないと思うこと」以外にないわけですね。
振り返るための方法
- 行動を思い出す
- 行動の目的を確認する
- 自分の気持ちを確認する
- 他の行動の選択肢がなかったか考える
他の選択肢がある場合、
- 人の気持ちを妄想して行動が止まる思考のクセがあることを教える
- 行動する前に「自分の気持ちと同じ行動を取る」ことを思い出してから、動く
- あとから結果を振り返ってみる
これまで考えてこなかった思考のクセに、ちょっとした方向転換の経路を作ります。
習慣化するくらいにならないと、思考のクセは変わりませんし、思考のクセが変わらなければ行動も変わらないでしょう。
ただ、自分を知る上で大切な要素になってきますので、自分の思考のクセを把握して損はないでしょう。
体験や経験が積まれることがなく自分のデータが増えない
さきほども触れましたが、思考のクセにより行動がワンパターンになる(災難を避けることベースの行動)体験が増えません。
体験→振り返りがないと経験にはなりませんね。
ということは、自分の経験が一向に増えないので、子供時代の自分のデータが増えていかないということになります。
知識は使わなければただの在庫
「知識」は覚えればいくらでも増えますが、知識だけがあって「使い方」がなければただのタンスの肥やしです。在庫ですね。売れない在庫です。
売れない在庫(使っていない知識)はどんどん古くなり、情報更新もされないので、本当にタンスの肥やしになってしまうわけです。
「知識」は使って始めて身になるわけで、身にならなければ容量だけを食っている在庫になってしまいます。
どんどん使って、いらない物は捨て、いる物は更新しつつ使い慣れていかないと意味がないと私は考えます。
何がいけないの?HSCの思考が及ぼすメンタルと人生への悪循環
HSCの子供の思考のクセを、花緒流で考えてきました。
結局のところ、思考のクセがあることで、毎日の生活にどんな影響があるのでしょうか?
常に人の行動や感情・願いが基準になっている
1番の問題となるポイントは、自分の思いや気持ち、考えを基準に行動するのではなく、常に人を基準にしてしまうことでしょう。
- 人の気持ちや行動が変わるたび、
- 人の気持ちを再スキャン
- 自分に降りかかる災難を再抽出
- 自分の行動をリライト
みたいなことをやる必要が出てくるので、稼働量が必然的に増えるわけですね。
さらに、関わる人が多くなる程、データスキャン数が多くなり、自分の行動を全データの中で最も効率よく災難から遠ざける方法を取れるようにリライトするため、超疲れるわけです。
こう考えると、HSCの子供が疲れやすいのは、ある意味当然かと思いませんか?
長い時間、学校や社会の中にいることは、アンテナをずっとONにして情報収集をしているようなもの。
途中で充電するか、シャットダウンしないと、熱くなり過ぎて壊れちゃいますね。
常に人に合わせているため自分の感情に注意を向けなくなる
次に、常に人の気持ちが気になるHSCの子供は、データの数が多くなる程、自分の気持ちの優先順位が下がっていきます。
優先順位が高いのは自分ではなく人。
まだ、成長も発達も経験も未熟な子供ですから、人の気持ちに気を取られているうちに、自分の気持ちが何だったのか分からなくなってしまうのかもしれません。
そんな風にして、自分の気持ちを察する能力が下がり、いつしか人の気持ちが自分の気持ちだと勘違いを始めてしまうこともあるでしょう。
そうなると、自分の気持ちの方は、ずっと無視され続けてしまう。
感覚から起こるデフォルトの気持ちが変わったわけではありませんから、無視された気持ちは積もっていく。
何か違う、本当にやりたいことは違う気がする、そんな漠然とした思いを抱えつつ、原因も対処法もしらない子供は、メンタルに傷を付けながら日々を過ごします。
心はちゃんと稼働している!自分の思いと違う行動を取るとメンタルが病んでいく
結局、たくさんの人と接する程、取り込みデータが多くなりますので、いずれかのタイミングで容量オーバーを起こすでしょう。
データを削除するか、ハードを取り換えるか、外付けで容量を増やすしかない。
この状態が、メンタルが崩れていくサインだと思います。
- 感情の起伏が激しくなる
- 暴れ出したりする
- 寝たまま起きなくなる
- 急に泣き出す
体調面の変化も出てくるでしょう。
- お腹が痛い
- 頭が痛い
- チックになる
- 学校に行かないと言い出す
- 宿題が手につかなくなる
- ボーっとしている
などなど。体からのサインも心からのサインも逃さない方がいいことは誰もがわかっていることだと思います。
二次障害を起こす
体と心のサインを無視してしまうと、二次障害を起こしてしまうことがあります。
- うつ病
- 不登校
- 不安障害
- パニック障害
など。
すべては、自分の気持ちと違う行動を取り続けた結果、起きてしまう悪循環だと考えています。
振り返り|
HSCの子供には、独特の思考のクセがあることで、日常生活における悪循環があるのではないか、というお話をしてきました。
今回のおはなしは、完全に花緒流の考え方ですので、すべてのHSCの子供に当てはまるわけではありませんが、こんな傾向があるのではないか、という思考のクセを知ることで、接し方の参考にしていただけたらうれしいです。
このクセはとても強力なので、1回や2回の支援でどうにかなるものではないでしょう。HSCの次男に、1年近く支援していても、まだまだ思考のクセにひっかかり、行動が止まる次男がいます。
まずは、
- 自分の思考のクセを知る
- 自分の気持ちと同じ行動を取る
- できるだけ振り返り経験を増やす
というポイントを忘れずに、死なずに生きる道を選択していきましょう。