発達障害の子供のコミュニケーションがうまくいかないと、親子ともに困ってしまいますよね。
私も、発達障害の長男の独特なコミュニケーションにもれなく困り、そのたびに、こうすればよかったのでは?ということを「通訳」してきました。
発達障害の特性がなくなるわけではないので、コミュニケーションの困りごとが完全に解決するわけではありませんが、少しでも困りごとを減らしていきたい。
そう思い、今でも続けています。
通級や療育でも「通訳」することが支援の基本。言葉を覚え始めた小さな子供に言葉や表現を教えている方法と同じですので、家庭でもすぐにできますよ。
今回は、私が長男の困りごとを例に、支援としての通訳方法をポイントごとにご紹介していきます。お子さんのコミュニケーションサポートの参考になればうれしいです。
発達障害の子供のコミュニケーションはちょっと独特?!
発達障害の子供のコミュニケーションは、特性からか、発するタイミングや言葉に「???」と感じることや、「何でそんな言い方になっちゃうの?」とヒヤヒヤすることがありませんか?
多々、ありますよね。
特性はどうであれ、学校を含めた社会では、子供が自分でコミュニケーションをとっていかなければならないわけで。
いつまでも親が寄り添ってフォローするわけにもいかなくなるわけです。
コミュニケーションに困りごとを抱えやすいのは本人の「わからない」が原因なのでは?
コミュニケーションに困りごとがあっても、子供本人はその理由がわからない場合が多いと感じます。
- なぜ怒られたのか
- 何が悪かったのか?
- どうすればよかったのか?
場の空気や人の感情がわかりにくくい特性がある発達障害の子供。
TPOによって、ある時は大丈夫だったのに、ある時は人が傷つく状況が理解するのは難しいようです。
さらに「わからない」の先には、自分が悪いとは思っていない、という現実があるので、自分の行動や言動を直した方いいのかも、という考えもない。
だから、困りごとに発展してしまうんですね。
怒られた理由が分からないままだと自己肯定感が下がりやすい
自分が怒られている理由が分からない。説明されても分からない。
こんな状態が続いてしまうと、何をやっても怒られる自分はダメな人間なんだ、と思い込んでしまいます。
- もう何も喋らない方がいいんだ
- 分かってくれない周りが悪いと人のせいにする
どちらにしても理由がわからないことが大元の原因でしょう。
コミュニケーションは生きるための必須スキル
遅かれ早かれ、人とのコミュニケーションは生きる上での必須スキルなので、
- コミュニケーションでの困りごとを減らし
- 伝わるコミュにケーション力を子供に伝授
これが今回の支援目的です。
そのためには、現状の子供のコミュニケーション力と望ましいコミュニケーション力との差を、「通訳」によって埋めていきます。
ここで言う通訳とは、「わからない」と困っている子供に、「こうすればいいのでは?」と支援者が教えることです。
発達障害の子供のコミュニケーションを「通訳」で支援する方法
支援の方法は大きく分けて2つ。
- コミュニケーション関係の困りごとへの支援準備
- 通訳の実践
基本的に1つの困りごとに遭遇したら、1の準備→2の実践、と言う流れで支援します。
目指すはその場での支援。たくさんの経験を積むことで、その場での支援が思いつくようになっていけるようになれたらいいですよね。
コミュニケーションの関係の困りごとへの支援準備
まずは準備から。
子供がミュニケーションに困っている場面をチェック
実際にコミュニケーションの困りごとが起きた場面を確認します。
B:どういう対応をしたから
C:どのように困ったのか?
習い事に行く途中、友達に会い、「友達:よう!どうした?」と声をかけられた。
B:どういう対応をしたから
長男は友達の顔を見たまま、無言ですれ違った。「長男:・・・・」
C:どのように困ったのか?
無視する形になるのは友達に失礼だと思い、あわてて私が友達に言葉を返した。「私:これから習い事に行くの。またね!」
さらに、長男にも手を振らせた。
現状、問題・困りごとだと感じた理由を書き出す
自分が、これはコミュニケーション上よろしくないだろうと感じたことを率直に書き出してみます。
長男の例ですと、
・声をかけられているのに無視はない。せめて挨拶や手を振るなど何かしらのアクションがあった方がよい
実際の支援では、この箇所で書き出した内容を子供にフィードバックし、だからこうした方がいいかもね、とつなげたいです。
ですので、詳しく書きだす、というよりはポイントを書き出す、くらいでちょうどいいと思います。
こうすればできるだろう・よいだろうと思えるパターンを想定
相手側(今回の例だとお友達)と自分側(長男)の両側から、こうすればできるだろう、と考えられることを想定してみます。
実際に通訳するときは、ここの項目を子供に話し、こうすればできたかな?と話し合いをするために事前に想定するという流れです。
長男の例ですと、
相手側(例:お友達)
- 「どこに行くの?」と聞かれたら答えられたかもしれない
- 「何で黙ってんだよっ」と突っ込んでくれたら、何かしら言い返せたかもしれない
自分側(例:長男)
- 「よう!どうした?」と同じように聞き返し、帰ってきた言葉と同じことを自分も喋る
- 「どうした?って何?」と素直に聞く
- 手を振って「バイバイ」とスルーする
実際に子供に伝えてみたときの反応をシュミレーション
さきほど想定してみた「こうすればできるだろう」項目の内容を、実際に子供に伝えてみたときの反応をシュミレーションしてみます。
- すんなり「わかった」と言われたら→一緒にいるときはヘルプするからね
- 「なんで?」と納得してくれなかったら→先ほど考えた「問題・困りごとだと感じた理由」を話す。
基本、「ダメ」という表現ではなく、「この方がいいよね」というスタンスで話すように気を付けましょう。
なんで?と聞かれた場合は、子供の行動に他の人がネガティブな感情を持つ可能性があることは、正直に伝えた方が良いと思います。
こんな風に見える、こんな風に感じるんだよ、ということは客観的な意見として知っておいた方がいいと思うからです。
今はまだ、いろいろとわからないことが多いかもしれませんが、知識や情報として知っておくだけで、成長し脳内で情報がつながったとき、「あ、そうか」と思える日がきますので。
通訳を実践
準備段階が終わったら、実際に通訳を実践していきます。
話すタイミングをつかむ
まずは通訳内容を話すタイミングをつかみましょう。
将来的には、必要だと思われるその場で通訳の支援ができるようになると思いますが、始めのうちはタイミングをみて「ふりかえり」として通訳する時間を作り出します。
子供の特性や性格などに合わせて、必要であれば子供に通訳の時間の予約を取るといいですよ。
お風呂や寝る前、または個別の時間など、1対1で時間が取れるタイミングがベストです。
夕飯時などは、他の家族や同居の祖父母に口をはさまれる可能性があり、話をうまく進められなくなる可能性がありますので避けた方がいいと思います。
伝える順番
- こんなことがあったね(困っている場面)
- こんな風に感じたよ(問題・困りごとだと感じた理由)
- こうすればできたかな、と想定した内容を子供と話し合う(こうすればできるだろう)
- できるだけ自分も支援するから、わからないと思ったら聞いてね
準備段階に考えたこと、想定してきたことを順に話していきます。
子供の反応によってシュミレーションで想定した対応をする
実際に話してみた結果、シュミレーションした通りの対応をしていきます。
シュミレーションはあくまでも自分の中での想定ですので、実際の子供の反応が事前準備していたものと同じにならないおともあるでしょう。
その場合は、再度想定し直せばOK。
あまり難しく考えず、じゃんじゃんどんどん、実践を積んでいきましょう。
振り返り
発達障害の長男を中2まで育てた現在、日々、支援を積み重ねることによる効果は大きいと感じます。
成長の段階で自然に身につけることもあるとは思いますが、その前に、友達や先生、親からも怒られる機会が多い発達障害の子供は、自己肯定感が下がりやすい。
発達障害の特性があるにしろ、親としては、自信を持って生きてくれることを願う生き物ですから、防げるものは防ぎたい、ですよね。
慣れるまでは、一つ一つ紙に書き、こっちがいいかな、あっちがいいかな、と試行錯誤した方がよいです。
親であっても子供のことは別人のことですからね。なかなかわからないものです。
さらに支援の方法や発達障害の本などで勉強していくことで、コツをつかんでくると思いますので、興味がある本から読んでみることもお勧めしますよ。