長男がASD(自閉症スペクトラム障害)なので、二次障害については常に考えてきました。
子供の二次障害については、一概にこうだと言えるものはないと考えていますが、ASDの長男を育ててきた中で私が知っている知識を共有していきたいと思います。
ASDの子育てで、二次障害が気になり始めている方の参考になればうれしいです。
二次障害を防ぐASD用対策【あくまで理想】
「障害」という名で呼ばれてはいますが、ASDの思慮深さや本質を瞬時に見抜く力はすごいと思います。
理想論ではありますが、ASDであるがゆえの二次障害、事前に防ぐことができれば二次障害にはならないわけですね。
本人がうまく折り合いをつけられない、周りの理解がない、などで二次障害になってしまう前に、子育ての中で親にできることを考えてみました。
実際に私が長男の対応に使ってきた方法ですので、ASDの子供への対応に使っていただければと思います。
ASD(自閉症スペクトラム)についての基礎知識はこちらの記事で詳しくお話ししています。
本人を受け入れる環境を用意すること
まず、本人以外の人ができることは、環境を整えること。簡単な文字で書きましたが、実際に理解して受け入れるにはそれなりの覚悟が必要です。
自分の理想を一度全て捨て、本人の特性をよく観察、よく理解した上で、最適だと思われる道具、支援、交渉をしていきます。
親の自分時間をASDの子供のために使う覚悟をする
自分の時間を大幅に削って、ASDの子供のために時間を使うということ。
実際、ASDの子供の対応をしようと思ったら、自分の時間なんて思うようには取れません。
ここに決意がないとASDに振り回されている感覚に「もうイヤだ、辛すぎる、やめたい」という感情が入ってしまいまうので、1日のうちの何分・何時間かを子供の環境用意に時間を使おうを腹をくくってください。
本気で対応すればASDの子供は安定する
この時間は、いつか子供の安定という形で戻ってきます。断言しますが、やはり本気で関われば、子供は社会と自分のズレを理解し、納得することで安定します。
安定することで、子供は落ち着き、親の対応時間は少なくなります。
さらに親の対応がレベルアップしていくので、腹をくくらなくてもいいレベルになる可能性は高いです。
無理をしすぎると親が二次障害になることも
しかし、サポート側の無理は禁物。子供のサポートに力が入り過ぎて親が鬱になったら、それこそ二次障害と同じことになってしまいますからね。
合言葉は「ま、いっか」「死なない、死なない(食べなくても、やらなくても、行かなくても」です。
本人が社会で生きる(人と生きる)覚悟を決めること
ある程度の年齢にならないと難しいかもしれませんが、小2あたりでカミングアウトしても自分の発達障害を受け入れることはできます。
コミュニケーションが取れる年齢になり、本人も困り感を感じているようであれば、自分1人では生きてはいけない社会に住む人間の1人なのだということを少しずつ理解してもらいましょう。
ASDの子供は社会のしくみを理解できる
ASDの子供の理解力は高いと思います。臆せず、社会のしくみ、共存共栄のしくみを離してみましょう。
自分にできること、他の人にできないこと、この組み合わせで助け合って生きている、分業スタイルで生きている、ということですよね。
ASDだろうと何だろうと、1人1人にできることは違っていて、自分にできることを他人に供給することで、支え合っているわけですから、ASDかどうかはあまり関係ないのです。
コミュニケーションが取れなくてもできる仕事はありますし、できる経済活動だってあります。
だから、ASDであることに引け目は必要なく、むしろ社会のどの立ち位置に自分が立っていこうか、どんな人の役に立てるのか、ということを親子で話しあってみましょう。
親がASDの子供の将来に固定観念を持たないこと
何よりも、親が「この子はASDだから社会に出て働けない」などど決めてしまわないことです。
正直、それはない、でしょう。
よく考えてみましょう。親の経験上の出来事から算出されたASDの子供の将来と、実際のASDの子供の将来は、当然ながら同じではありませんよね。
なぜなら、親が想像している子供の将来は、親の妄想でしかないからです。
時代とともにどんどん移り変わる社会で生きていくのは子供です。親の経験からくる妄想は、過去の産物と化していくのです。
だかこそ、今、親である私たちにできることは、子供を否定しないこと。できないという目で決めないこと、将来を悲観するものとして妄想しないことです。
将来のことは、子供自身のものであって、親のものではありません。1つでも多く、親が知っていることを子供に教えてあげればいいのだと思います。
二次障害の症状が見られたらどうすればいいのか【ASDのための実践編】
- 頭痛や腹痛を訴え不登校になる
- 不安から外に出られなくなりひきこもる
- 過度なまでに手を洗う
- 眠れなくなってしまう
- 体重が減ってしまう
- 声がでなくなってしまう
など、何かしらの症状が出ている場合は、今すぐ対応しましょう。
「発達障害かどうか」が気になって受診できないという方もいるでしょう。
でも、今は、「発達障害かどうか」はあとまわし。
二次障害の症状が治まってから考える事にして、今、辛い症状で悩んでいる部分をまずは改善しましょうね。
病院で診察を受ける
正しい対処をしていくために、症状が出ている場合は病院に行きましょう。二次障害の場合の病院は、児童精神科である必要はありません。
- 体の症状→小児科や内科など対処療法ができる病院
- 精神的な症状→児童精神科や心療内科など薬も処方できる病院
- 目で見える症状→カウンセラーや相談系
とにかく困ったことはまずその道の専門家に聞きましょう。行った先の病院で、別のことが原因だと医師が判断した場合は、症状に合う科を紹介してくれます。
そこから新しい何かがわかることもあるでしょう。
症状が出ているのにほおっておくことは、その先の改善に時間がかかり、最悪の場合(自殺)も起こり得ますので、対応は早い方がいいと思います。
自分をよく知る
二次障害が表にでるのは、それなりに成長してからが多いと思います。次男もチックが出始めたのが年中からでした。
1つずつでいいので、子供自身に自分を知ってもらいましょう。
- こういうことが好き
- こういうことが嫌い
- 感覚過敏
- 好み
- 特に嫌なもの
嫌いなものに関しては、パニックを避けると言う意味でも本人も自覚した方がいいと思います。
押し付けにならないように、フィードバック的な感じで話していけば、そのうちわかってくると思います。
難しければやらなくてもいいですが、本人が自覚することで二次障害の症状がいい方向へ向くことは間違いありません。
社会のしくみを知る
これはなかなか難しいことではありますが、社会人になる前、中学・高校くらいには社会のしくみを知識として知っておいた方がいいと思います。
興味がないものを教えていくことが難しいのはわかっていますが、最終的に自立させようと思うのであれば、親しか教える人はいませんね。
学校や通級に頼るというより、自立に関する内容は家で覚えていきましょう。学校は家以外の身近な社会。
そこで社会のしくみについての対応を実践できるように、親子で少しずつ考えてみてください。
そのために必要なことを知る
- 病院で診察を受ける
- 自分を知る
- 社会のしくみを知る
この3つのスキルを実践するには、何をすればいいのか、何が必要なのかを考えていきます。難しく考えなくても1つ1つ落ち着いて考えれば大丈夫。
病院に行けば医師や看護婦さんに対応を聞くことはできますし、今のご時世、本も情報もネットで手に入れる事が可能です。
便利なものはフル活用していきましょう。
参考までに役に立ちそうな本3冊
発達障害児の思春期と二次障害予防のシナリオ/小栗正幸
発達障害が引き起こす二次障害へのケアとサポート/学研アソシエ代理店 サインポスト
アスペルガー症候群(高機能自閉症)のすべてがわかる本/ 佐々木 正美
振り返り|二次障害を防ぐために親にできることはある
結局は本人次第というとこもあるのですが、親にできることを最大限やっておくことは、後悔しない子育ての1つになっていきます。
後悔するならやる、やらないなら後悔しないという割り切り方もありますが、二次障害だけは放っておかないほうがいいでしょう。
私は睡眠障害や鬱病を経験しましたので、基本的な生活に困難があるということが生きる気力をどれだけなくしてしまうのかを身を持って感じました。
メンタルが低下してしまい、体にまで影響がでてしまうと、本当に表現できない辛さがあります。
二次障害にならないに越したことはありませんから、症状が出たらとにかく病院に連れていきましょう。
そして、1つでもいいので親にできる対応をしてあげてくださいね。
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