優しさ・面白さに触れる&好奇心を刺激するおすすめ絵本6選

絵本

学校での読み聞かせや、家庭での読み聞かせで絵本を選ぶとき、何を選んだらいいかわからなくなってしまうときってありますよね?

  • こういう教訓をいつかわかってもらえたらいいな
  • こんなことを知ってほしいな
  • 昔自分が読んで面白かった絵本を共感したいな

など、目的を持って選ぶことの方が多いかもしれませんが、ふと手にとった絵本との出会いから、思わぬ感動を体験することもあると思います。

今回は、図書館のおすすめコーナーにあった絵本の中から、私がまだ読んだことがなかったものを6冊ご紹介します。

さすがおすすめコーナー!と思えるような絵本ばかりでしたので、お子さんたちへの読み聞かせの参考にしていただけるとうれしいです。

じんわりと心が温まる&好奇心をくすぐる日本と世界のおすすめ絵本6選

あんちゃんのたんぼ/梅田俊作/ 14分10秒

戦後あたりでしょうか。修学旅行代を稼ぎたいと、たんぼで稲を作る兄と、その兄の姿を見ている弟の収穫までのおはなし。

戦後あたりは貧困の差もあり、学校に行きながら家の仕事を手伝う子供が圧倒的に多かった時代ですね。何かを作り、売らないと食べていけない。今の子供達には全く想像がつかない話でしょうが、私の親や祖父母世代がまさにその世代です。

弟目線で兄を見ている様子が、事細かに描かれているため、おはなしの全体としては長めではありますが、弟が兄のたんぼを守りたいと必死でもがく姿や、兄がたんぼで稲を一生懸命育てる本当の目的を知ったとき、現代を生きる私たちには到底感じることのできない思いがあったことを体験できます。

絵本を読んで「感動したわ」という類の内容ではなく、事実、こういう時代があったのだろうと(実際あったでしょうし)、現代の子供たちが知ったとき、子供たちは何を感じ取るのでしょう。

おそらく、戦後世代の子・孫世代である私が感じた感覚とは全く違うでしょうが、時代は変われど同じ子供として、何か大切なもの、生きるというそのもの、みたいなことを知ることができるのではないか、と思った1冊でした。

なんげえはなしっこしかへがな/北彰介 /7分33秒

おばあさんが語り口調で話してくれる昔話が記録されているおはなし。「長いはなしをしてあげようかな」というような意味ですね。

私は青森出身で、東北のなまりを知っているし、ある程度話せるので、この絵本を読んで意味がわかりますが、東北地方の言葉(この絵本は津軽弁)を全く知らない方であれば、何が書かれてあるのかわからないかもしれません。

注釈もあるのですが、なにせ、昔のおばあさんが子供たちに語り継いで聞かせたおはなしなので、どうしても喋り口調だからこそ、おはなしの意味が理解できる、という部分がおおいにあると思います。

「長いはなし」というのは、1つのおはなし自体が長いのではなく、〇〇と〇〇がナントカで、ひたすら繰り返したら何年かかりました、という時間とか、長さとか、そういう意味での長いなんです。

1つのおはなしは、とても短いです。なんなら1ページで終わるものもあります。

正直、吹きだすほど面白いお話も入っていますので、津軽弁で書かれた文章が読める方、興味のある方はぜひ読んでみてください。できることなら、私が読んでお伝えしたいくらいです。

みずならのいのち/手島圭三郎/5分

しまりすが保存しておいたどんぐりから芽が出て木になって、その木が見てきたこと、感じてきたことが描かれた絵本。

落ち着いた、どっしりとした、ゆったりとした、そんな時間が感じられる一冊なのですが、それもそのはず、芽が出てから800年間のおはなしなんですね。なんと100年単位で様子が語られます。

文中に何度か、「木にうまれてよかった」という表現が出てくるのですが、私が子供のころから、木はずっと立ちっぱなしでこの場所にいて、辛くないのだろうか、と思っていたので、木にうまれてよかった、という木がいてくれてちょっとだけうれしかったですね。

大の大人が何言ってるの?と思うかもしれませんが、この絵本で語られるみずならの木の気持ちは、なんとなく本当な気がするのですよ。なんかね、あたたかいんです。

そして、子供達にぜひ触れてほしいのが、素晴らしい版画の絵です。細かい描写と色使いは、まるで絵本の中で動いているかのような感覚になるのですよ。

人間では到底体験できない時間を生きる大木の一生を読んだ後、子供にはどんな思いが残るのでしょうね。

はがぬけたらどうするの?/セルビー・ビーラー/12分

歯が抜けた後どうするのか、という世界中の風習を集めた絵本。最後はちょっとした歯の知識絵本的になっているので、全部の文字を読むとちょっと長いですね。

私は世界の風習をほとんど知らなかったので、歯が抜けた後は屋根だったりベッドや家の下に投げたり埋めたりするものだと思っていましたが、パターンは大きく分けで4つくらいでしょうか。

  • 抜けた歯をお金やプレゼントと交換するパターン
  • 家周りなどに投げるパターン
  • 穴や土に埋めるパターン
  • 動物に持っていかせる、食べさせるパターン

私的にはかなり面白いと思っていて、地球上で外国の人たちの姿は全然見えないところでお互いに暮らしているのに、伝えられていることのパターンが似ているってすごいなと思ったのですよ。

今まさに歯が抜ける年齢の子供なら、当事者としていろんな国の風習を捉え、次に抜けた歯をどうするのか、ということで会話が盛り上がりますし、すでに抜けてしまった小学校高学年以上の子供でも、自分はこうしたな、とう思い出話で盛り上がれる。

学校の読み聞かせで読んだ日には、大盛り上がりになることは間違いないでしょう。ただし、全部を読むのは長いのと、結構似ているものが多いので、抜粋するなり読む順番を考えないと、飽きられてしまう可能性もあるような気がしました。

知識絵本として、家に1冊あってもいいタイプの絵本だと思いました。

ミンケパットさんと小鳥たち/ウルスラ・ジェジーノ/7分

山の鳥のお世話をしていた男性と、鳥たちの心温まるお話。

主人公のミンケパットさんは、お話の中ではたった1つのセリフしかないのですが、低い落ち着いたやわらかなで、ちょっとシャイな感じの声が想像できてしまうくらい、文章から人柄が伝わってきます。

やわらかな色のにじみで描かれている絵が表現している世界観からも、やさしい雰囲気が出ている気がして、私だけかもしれませんが、ショートストーリーの映像のようにも見えました。

誠実なミンケパットさんと心を通わせる小鳥たち。どの世代の子供に読んであげたとしても、受け取る側が何かしらを感じ取りやすいお話なのでは、と感じました。

フルリーナと山の鳥/ゼリーナ・ヘンツ/11分15秒

夏を山で過ごす少女と一家のおはなし。山で助けたひな鳥を一生懸命育てようとする少女の姿が描かれています。

飼っているヤギや鳥たちと一緒に、大自然の中で過ごす時間は、まさに「生きる」に直結している時間に思えました。

夏の間は一家総動員で山小屋で過ごし、山仕事をする、ということ自体、日本で暮らしているとなじみのない光景ですし、子供だからこその動物との接し方が、なんとも愛らしく生き生きとしているお話です。

こういう、異文化的な疑似体験は、絵本だからこその良さかな、と思います。

振り返り:人間ってあたたかい!言葉っておもしろい!大人になったからこその感動が絵本にはあるのかも

今回ご紹介したのは、6冊と少し少なめではありましたが、カテゴリで分けるとしたら以下の3つではないかと思います。

  • 人の心の温かさをじんわりと感じられるおはなし
  • 言葉で表現する世界を楽しめるおはなし
  • 自然や習慣、人との接し方という文化の違いや生きることに直結するおはなし

文だけではなく、絵で表現されることからも、多くのことを感じ取っているから、心が動くのでしょうね。

学校の読み聞かせや、おうちでのお子さんへの読み聞かせ、また、絵本をプレゼントとして贈る際などの参考にしてみてくださいね。