【小学生の読み聞かせ向け】高学年におすすめの絵本Part2

絵本

小学生の高学年向けの読み聞かせにおすすめの絵本第2弾をご紹介していきたいと思います。

こんにちは!長男のクラスの最後の読み聞かせに行ってきた花緒です。小学6年生の長男クラス、最後の読み聞かせは「ジュマンジ」を読みました。

小学校の読み聞かせ担当になってしまった方の絵本選びの参考になればうれしいです。

サスペンス系も楽しめる小学生高学年(5・6年)におすすめの絵本Part2

空に舞い上がるたくさんの気球

やっぱり高学年になると理解力が全然違う気がします。では小学生高学年、5・6年生向けのおすすめ絵本を紹介します。

第1弾はこちら。

空とぶ船と世界一のばか|アーサー・ランサム

それぞれが得意なことで協力し合っていくというお話し。完結にまとめすぎましたが、結局人間社会、得手不得手がそれぞれあることが普通で、自分ができないことを誰かに補ってもらって目的を成し遂げられるようにできているのかもしれません。

昔話やおとぎ話、童話などはそれらしきことをたくさんのお話しで教えてくれているのですが、実際の人間社会は、人を非難することの方に興味があるようです。

せめて、子供の読み聞かせでは、社会ではこうやって協力していけるんだということに触れてほしいですね。

ウェン王子とトラ|チェン ジャンホン

人間に子供を殺されたトラの憎しみを抑えるために、王の子を代わりに差し出し、国を守った中国のおはなし。

トラに育てられた王の子は、山の子としてトラと暮らし、そこから見た人間社会を描いた絵本。

動物と人間、同じ地球上で生きていくためには、人間はどう生きていくべきなのかということを、母トラと王の子ウェンを通して描かれている感動の作品。

はっきりと描写された挿絵が、話の説得力を増していると思います。高学年だからこそ、考えていけるテーマでもあると思います。

チェロの木 |いせひでこ|

チェロを作る楽器職人の息子が主人公。木から作られる楽器の話を通して、森や木の息吹を感じられる壮大なお話し。

全体を通して、とても静かなお話しですが、森の音(鳥の声とか、風で揺れる葉の音とか)が聞こえてくるような雰囲気です。

なんと言っても絵がキレイ。波乱万丈なわけでもなく、誰かに追いかけられるわけでもないのですが、なんだか地上のずっと下の方から大きな安心感に包まれるような、あたたかい絵本なんです。

小学校での読み聞かせ、という場では、少し物足りない感じがする方もいるかもしれませんが、高学年だからこそ、こういう温かみのある内容を読めるのかな、とも思い、紹介してみました。

オレ、なんにもしたくない|デヴ・ペティ|2分30秒

とにかくなんにもやりたくないカエルくんのおはなし。あれもいや、これもいや、やりたいことが見つからなくて、どうしようとひたすら友達に聞きまくるおはなしです。

思春期に差し掛かる高学年、勉強はやりたくないし、ゲームやテレビがダメと言われたら、何をしたらいいのかわからない、という現代っ子は多いのではないでしょうか?

低学年ではわからない、やりきれない思いを抱え始める高学年から中学生あたりにピッタリだと思うお話しです。

絵のタッチも、話のテンポも、ギャグ狙い?と勘違いされそうですが、結構奥が深いテーマだと思います。

焼けあとのちかい|半藤 一利|10分20秒

戦争のお話しです。

実際に東京の空中を体験した筆者が、戦争だけは絶対にはじめないでほしい、という思いを残した絵本。

痛々しい思いと、リアルな描写が心に突き刺さります。もちろん、低学年で戦争のお話しを読んでもいいと思いますが、話が10分と結構長いのと、途中を削って読みたくないお話しなので、高学年向けにしました。

そのまま読むだけでも心が苦しくなりますが、リアルな体験談をわかりやすい絵本で読みつないでいくことも読み聞かせならではかなと思います。

注文の多い料理店|宮沢賢治

子供が読む始めてのサスペンスが宮沢賢治の注文の多い料理店ではないかと思っています。

サスペンスと言っても私が勝手にそのようなカテゴリにしているだけで、実際は誰も殺されませんが、徐々に徐々に恐怖に近づいていく様は、私にとってはサスペンス以外の何物でもありません。

この注文の多い料理店は、ぜひ小林敏也さんの版画で読み聞かせをしていただきたいし、子供たちにもこの挿絵でお話しを読んでいただきたいと思っています。

恐怖の度合いがさらにUPしますので。やっぱり、コワイなら、とことんコワイ方が想像力もより鍛えられますよ。

むらの英雄(エチオピアのむかしばなし)|渡辺茂男

村の12人の男たちが、粉をひくために町へ向かった帰り道、ふと仲間の人数を数えた1人が、自分を数え忘れてしまい、1人足りないと大騒ぎ。次の人もやっぱり自分を数え忘れ、大騒ぎ×人数分、大騒ぎするというお話しです。

かなりマヌケな話なのですが、ありがちな話でもあるので、うかつにバカにできないところもあり・・。

高学年だと「バカなんじゃないの?」という声が上がる可能性もありますが、それもまた高学年として成長した証でしょう。

種明かしがわかるからこその面白さを感じていただけたらと思います。

ナイアガラの女王|クリス・ヴァン オールズバーグ

外国には、住んでいる人が多い分、怖いもの知らずのチャレンジをする人も多いのですが、このお話しはナイアガラの滝を樽に入って下った1人の女性の実話です。

学校の先生だった女性が、その後の人生をどう生きるかを考えた時に、まさかのナイアガラの滝を樽で下るという決断をし、実行し、生きて生還するというびっくり仰天なお話し。

その、命知らずの冒険を成功させるために何をやったのかということまで詳細に描かれています。日本ではあまりこういうびっくりするようなチャレンジを良く思わないかもしれませんが、人に反対されてもやり遂げてしまうあたり、あまりに強い意志と実行力に驚かされます。

私は絶対無理だけど。本当にすごいと思います。

ジュマンジ|クリス・ヴァン オールズバーグ|11分

たまたま公園で見つけたボードゲームをやってみたら、リアルにジャングルに巻き込まれてしまうリアル体験ゲームのお話し。

現実なのか、幻想なのか、夢なのか、その境目がよくわからないオールズバーグ作品の中でも映画化までされているジュマンジ。その第1号の原作がこちらです。

ジャングルの動物が次々に家の中に現れ、幾度となく危険に襲われるので、読んでいてもハラハラドキドキ。聞いている子供たちもハラハラドキドキ。

表現が結構リアルなので、低学年は怖くてないちゃうか、その恐怖さ加減の意味がわからないかのどちらかになってしまうかな、と思います。

お話しが長いことと、話に出てくる単語や動物たちの理解を含め、高学年向けです。

この絵本のもう一つの楽しみは、物語の一番最後に友達がこのゲームと持っていってしまうんですね。

その友達がこのボードゲームを開けて始めてしまうお話しが、ザスーラという絵本に描かれています。同じボードゲームなはずなのに、結果は全然違っていて、ザスーラの方が恐怖度が増していると私は思います。

読み聞かせの時は、2冊借りて「続きの絵本はこちらです」と紹介してもいいと思います。

ゆめのおはなし|クリス・ヴァン オールズバーグ|10分

いかにも現代っ子の男の子が、自分が食べたゴミをその辺にポイ捨てし、ゴミを分別して捨てなかったことから、夜、夢の中で未来に行ってしまうと着いた先がゴミで埋め尽くされた正解だったというお話し。

自宅が屋根までゴミで埋まっていて、もはやだれも住んでいないと知る男の子が、次々と別の場所に移動していくのですが、どこに行っても、結局は人間が起こしてしまっていることの結果を目の当たりにすることに。

目が覚めた後に男の子がどんな行動に出るのか、ということが話の焦点になります。今の連続が未来につながる、ということを具体的に絵本の中のお話しと挿絵で表現されています。

知らない顔はできない環境問題を、真正面から描いていると思う絵本です。

昔ばなしはこちらを参考にしてください。

読み聞かせの時間内に絵本を読み切る!本文カット術

トラ

読み聞かせの絵本選びで困る理由の一つに、読み聞かせの時間内に読み終われる絵本を選べるか、ということがありますよね。

私も、読み聞かせのボランティアを始めた頃は、挨拶などの諸々を抜いても、時間内にきっちり終われる絵本を一生懸命選んでいました。

しかし、どうしてもこの2冊を読みたい、と思った絵本があり、どう頑張っても時間をオーバーするので、少しカットして読むことにしました。

いろいろ文句を言いたい方もいると思いますし、作家の方に失礼とかナントカあると思いますが、そこは高学年での読み聞かせ。

興味があれば自分で改めて読んでくれるのです。いかにそのきっかけを作るか、それが私の役目だと思っています。

ということで、絵本の本文をカットして、時間内に読める長さにしてしまう方法をご紹介します。

読み聞かせのスピードのコツはこちらをどうぞ。

言いかえている表現・似ている表現をカット

背景の説明や言い換えている表現、違う表現だけど結局同じことをもう1度言ってるよね、という表現はカットさせていただきました。

文学的な話であればあるほど、外国の話であれば、このような表現は多くなります。

そういう表現も含めて、絵本や本というのは世界観を作る上で大切な1文であることはわかりつつ、恐縮しながらカットさせていただきました。

読み聞かせの場で語彙を増やすのではなく、その後、リピートして借りてもらうことに重点を置けば、自分で読んで語彙は増えていくと思います。

絵本っておもしろい、もう1回読んでみようかな、と思えたらOKだと割り切りましょう。

カットする部分が多い場合は、台本を作って読む

カットする部分が少ない場合は、頭でカットする場所を覚えておいて、当日その場所を読まないようにすればいいのですが、カットする場所が多い場合、どこを読むのかがわからなくなってしまうんです。

ですので私は、自分で入力して台本を作りなおしています。

絵本のページをめくりながら、自分はひざの上に置いた台本を読む、といった具合です。

誰か絵本をめくってくれるヘルプさんがいてくれると助かりますが、1人でも大丈夫です。

途中で読む箇所に迷ったり、止まって流れや文章のリズムが崩れてしまうくらいなら、思い切って入力しましょう。

高学年のおすすめ絵本第1弾で紹介したアリになった数学者は、普通に読むと20分くらいかかってしまうので、長男のクラスで読んだ時は13分くらいにカットさせていただきました。

でも、先生を始め子供達からも絶賛の絵本でした。その後も、話の話題にのぼったようで、うまくカットすることで、絵本への興味、合わせて将来の仕事としての学者への興味にもつながったようです。

うまく絵本の内容と時間を調整することで、読めないと思っていた絵本でも読めるんです。

絵本の組み合わせはこちらに記載しています。

2人以上で読み聞かせをする場合はこちらを参照ください。

振り返り|読み聞かせの時間の後に子供達にどんな印象を残すのかがカギ

森の中でチェロを弾く人

食いつくように絵本のお話しを聞いてくれる子供達の顔は、一生忘れないと思います。

子供達の成長とともに、その表情も大人になってはきましたが、興味があることに関しての目のキラキラ度合いは変わらないですね。

小学校によって、読み聞かせの時間はいろいろと決まっていると思います。

次の授業に差し掛かってしまってはいけませんので、どんなに遅れて読んだとしても、2分前には退散までは終わりたいもの。

そう考えると、4分前には読み終えておきたいというのが読み手の心情というもの。

10分の読み聞かせだと7分で終われる話、15分なら11分前後で終われる話、20分なら16分くらいで終われるくらいがちょうどいいでしょう。

時間がなくて読めない、とあきらめていた絵本でも、うまく調整していくことで読むことは可能になります。ただし、あまり無理をして、絵本の内容が変わらないように気を付けてくださいね。

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