ADHDの根本を考える/カテゴリ分けに問題がある?という仮説

ADHD

こんにちは!発達障害の長男は、どうして委員会や係りの活動日を忘れてしまうのだろう?という素朴な疑問をどうしてもはっきりさせたい花緒です。

今日はADHDの特性として重要度が高い「忘れる」ということについて、そもそも論で見たり聞いたりした時点で、記憶するのか、スルーするのかのカテゴリ分けができていないのではないか?という私の勝手な仮説についてお話ししていきます。

ADHDの子供が日常生活で忘れてしまうことの対策はあるの?

指切り約束

ADHDは約束とか忘れちゃうから、メモすればいいって言うじゃないですか。でもそもそも論でメモしないんですよ。特に子どもは。

そもそも論でメモを取らなければ対策の意味がない

まず、「成功パターン」から。

1.覚えておかなければいけない情報が見える・聞こえる・言われる
2.「覚えておかなければいけない」と判断できればメモできる
3.メモさえ見返すことができれば実行できる

次に、「うまくいかないパターン」

1.覚えておかなければいけない情報が見える・聞こえる・言われる
2.「覚えておかなければいけない」と判断できずにメモできない
3.当日になって気づいてあわてるor学校に行って初めて気づく

まず、「成功パターン」と書きましたが、おそらくこのパターンが身についている人の中には、仕事などでよっぽど苦い思いをたくさんしてきた人もいるのではないかとお察しします。

「うまくいかないパターン」を何度も繰り返し、なんとか対策を考え出すために、メモをするという行動をとれるようになったのかなと思っています。

正直、ADHDじゃなくても誰もがそのパターンで対策を立てていきますよね。「うまくいかないパターン」から「うまくいくパターン」にするために、どうすればいいのか。それが対策ってヤツですよね。

でね。この「うまくいかないパターン」の2番。

2.「覚えておかなければいけない」と判断できずにメモできない

ここでスルーしちゃうとしたら、そもそも論でメモするところまでいきつかないんですよね。

対策としていくら「メモを取る」「すぐに書く」「消えないマジックで手の甲に書く」「付箋に書く」「筆箱の中にメモを入れておく」などの数々の対策は、メモを取ることが前提。

でもメモを取ろう!取らなければ!という思考が働かなければ、この対策は何の意味もなさないのです。

ADHDの忘れ物対策は周りの人のサポートが必須

私も忘れ物対策としていろいろ書いていますが、基本的に本人以外の人が支援する形で書いています。周りのサポートがないと対策にならないというのは前々から気づいていまして。

そこは変えられないと薄々感じているのですが、何でなのかがどうしても気になる!のです。私がね。

だって、ADHDじゃない人は、1回で意識してメモを取る取らないを瞬時に判断しているんですよ。でもADHDだとその判断ができのかは微妙。できないといっても過言ではないかもしれない。

めちゃくちゃ興味ありませんか??この違い。

全然興味ないです、という方は別の記事をお楽しみください。

でも、ここがわかったらADHDの忘れ物対策になると思うんですよね。で、ちょっとだけもしかしたらこれが原因なのではないかと思いついたのです。

ということで、結論が出たわけではなく、しかも科学的根拠もありません。完全に私の頭の中で考えたことです。

カテゴリ分けに問題があるのではないかと思う私の仮説

入れ物に入ったお菓子と散らばったお菓子

夢を見たんです。

1.仕事中に、

 

2.「そうだ!子どもの水着を買いに行かなければいけなかったんだ!」と思い出し、
誰にも何も言わずに仕事を抜け出してチャリで店へ出発してしまう。

3.店で買い物をする

4.買い物が終わって家に帰る

5.家について仕事を抜け出してしまったことを思い出す

6.「ヤバイ!!!」と焦る

自分が仕事中だった意識もなく、水着を買い忘れていたことだけに集中してしまい、水着を買うことしか頭になく、普通にそこから店に買い物に行って、買い物を済ませて、家に帰ってから「ハッ!!!」と気づく。

思い出したときは焦ったなんてもんじゃなかったし、ヤバイ!!どうしよう!!と一瞬うろたえました。
夢はそこで目が覚めたのですが、現実に戻ったとき、ハッとしたんです。
もしこれ、ADHDの頭の中と同じしくみだったとしたら、「メモを取る」という行動は不可能に近いってことに。
 
だって1mmたりとも意識がないんだもの。意識なく思いついた行動をすることに、周りの状況とか時間場所といったTPO的なものに意識がむかない。まったく。1mmも。
 
正直、怖かったですね。もし毎日こんな状態だとしたら、怖くて仕事に行けないし、何も任されたくない。全てを忘れてしまいそうで自分が恐ろしくなります。
 
でもわざとやっているわけじゃないし、ふっと思いつくことはたぶん止められることじゃない。だとすると、たくさんの情報の真ん中にいる状態から、メモを取る取らないの取捨選択の段階で脳がスルーしているから、メモを取らないんじゃないかって思いました。
 
完全にスルー。無意識のスルー。これを意識的なスルーにするのは自分では難しいかも、というのが私の直感です。
 
ま、起きたときに、正直「ないない」って思ったのですが、それは私の感覚だからないって思うのかもしれないな、とも言えるのかもしれないですよね。

意識が向く物忘れ・意識が向かない物忘れのパターン

例1

PTA仲間に、参考にする過去記録をまとめておいて、完成したらちょうだいね。
と言われていたのに、すっかり忘れること2週間。ふっと思い出し、ヤバイ!と焦る。期限はなかったけど、完全に忘れていたことにショックを受ける。
例2
PCを再起動しようと使っていたものを全部消したのに、再起動を忘れてまた作業を初めてしばらくしてからはっと思い出す。

再起動してなかった・・・・

このとき、一時的に頭では記憶するんですよね。○○しようって。○○やらなきゃって。でもメモをするという過程を飛ばしたり、メモレベルじゃないことでさえ忘れちゃう。

例3

図工の授業中、来週は版画を作るから彫刻刀を持ってくるようにと先生が話していた。
先生が話していたことは聞こえたが、彫刻刀を持ってこなければいけないのだ、という意識と次週の持ち物への意識がそもそも論でない。だからメモすらしない。

例1・2は意識さえしっかりしていれば防げそうな物忘れ。そして例3がADHDの頭の中で起きているのではないかと思う物忘れ。

例3は物忘れの仲間にも入っていないかもしれない。だって、持ってこなければという意識すらなく、先生の言葉は時間とともに消え去り、授業は終わり、誰とも図工の持ち物について話をしなければ、次週忘れてくるという結果になることが予想できますよね。

この例3が、私が夢で見たパターン。

メモを取るという対策が効果的ではなくなってしまうということも有り得る

タイトルの文章がややこしい。

もし、ADHDの人にこんな現象がおきていたら、正直、メモは取れないでしょう。それはみなさまもお察しの通り。

でも長男を見ていると、この現象、実は現実で起きている人もいるのではないかと思うんです。よくADHDの人の困りごととして、忘れ物が多い、メモを取らない、ミスが多い、というのを目にします。

仕事であれば、忘れ物もメモを取らないこともミスが多いことも、とても困りますよね。本人も困るし、会社も困る。

なぜ困るかというと、誰かがフォローしなきゃいけなくなるから。管理する側の手間が増えるから。

本人も気を付けていると言っているし、会社側も何度も注意しているのに、一向に困りごとが減らなくて、本人も会社もストレスを感じてしまう。

そして、メモを取ること、忘れ物とミスに関してはチェックするだけ、と一見、簡単に見える作業だけに、会社側は「なぜやらない・・・」「なぜできない・・・」「たったこれだけのことなのに・・・」という疑問を本人に投げかけてしまうけれど、本人もなぜかはわからない。

これ、意外とあるあるな気がするんですよね。

仕事中に見える、聞こえる情報がたくさんある中で、どの情報に意識を向けるのかがわからない。情報を重要とスルーしていいものに脳が瞬時に振り分けしていなかったら、基本、全てスルーしちゃう可能性だって無きにしも非ず。ではないかと思うのです。

スルーしないためにできる対策を考えてみる

例えば、

1.時間
2.場所
3.持ち物
4.用件・内容
に関する話がでてきたら、全てメモを取っておく。

んー、でもこれ、認識するかな?認識しなかったらアウトだよね。話す人によって表現が違うからな。。

相手の人に断って、録音させてもらう。

嫌がられそうだし、全部の会話を録音するのは不可能だよね。
仮に録音できても、聞き返すのに同じ時間を使うんでしょ。しかも、聞き返して認識できる保証はない。

そして、取ったメモを見ない事件、録音したデータが整理できない事件がおきるでしょう。

対策ないじゃん。ってことになるの?もしかして。

結局、支援が必要になるねっていう話?

やっぱり、声をかけてもらう、リストにしてもらう、メールとかラインで記録を残してもらう。それしかないのかな?

うーん。なんかくやしい。

社会全体がADHD仕様になっていればいいんだけど、忘れ物していい社会じゃ、成り立たないしね。

行き詰ってしまった。

根本から考えてみる/記憶のしくみ

記憶されている写真

じゃあ、記憶を根本から考えてみれば良いのかもしれない。

【記憶の種類】
1.感覚記憶
2.短期記憶(ワーキングメモリー)
3.長期記憶
感覚記憶は、歩いている周りの風景とか、電車で向いに座った人の顔とか、一瞬記憶するけどすぐに忘れさるもの。
短期記憶は、その中から興味のあるものにフォーカスして、ワーキングメモリーの中で、自分に必要な情報かそうじゃない情報かに分ける。
長期記憶は上の2つ以外のもの。

参考:「記憶」はどのように形成され、なぜ記憶を忘れてしまうのか?/Gigazine

参考:記憶の分類/脳科学辞典

さて、ADHDの脳のしくみは、脳の前頭前野というところがうまくつながっていないことで、困りごとがおきるわけです。

視覚、聴覚、臭覚、触覚などの情報は一度、「海馬(かいば)」を通るようになっている。
海馬はいわば脳に入る前の門番の役割を果たしている。
あなたの身の回りで起きていることをすべてをそのまま素通りさせるわけではない。
もし、すべてを素通りさせていれば、ものすごい情報が一度に脳のあちこちに届くことになり、頭はパニックになってしまう。
そうならないよう海馬が重要な情報かそうでないか「交通整理」をしてくれているのだ。

ー中略ー

海馬は揮発性メモリのようなもので、時間がたつと記憶は跡形もなく消えてしまう。
メモを持たないまま電話番号を聞いたり、注文を聞いたりしたとき、しばらくは頭に残るが、ほかのことを考えたり、時間がたつと消えてしまう記憶がこの海馬による記憶である。
海馬の記憶はすぐになくなるが、前頭葉を通して側頭葉にコピーされた記憶はすぐにはなくならない。
しかし、側頭葉の記憶も、そのままほったらかしにされたら、自然に消えてしまい復活が困難となる。
側頭葉の記憶を消えないように定着させるには、何度か繰り返さなければならない。

最強の記憶とは何か/

参照: 最強の記憶とは何か

要するに、見たり聞いたりした情報は一度「海馬」という脳の場所を通り、「前頭葉」を通して「側頭葉」に一時保管されるわけですよね。

「前頭前野」は「前頭葉」の一部。ってことは、前頭葉を通過する時点でアウトになってしまうではないか。と思ってしまったんですね。

ちなみに、ものごとをカテゴリに分けて判断するのも、前頭葉を通過した先の脳の部分のどこかだったという情報を何かで読んだのですが、すみません。どうしても探せなかった。

だから、カテゴリ分けが難しくて、メモに至らないのではないかという仮説だったんですけどね。オチがなくなってしまいました。

だから、整理整頓が難しいし、段取りがわからなくなってしまうし、出しっぱなし族になっちゃうのかなって。

カテゴリ分け、ここが解決したら、何かがピンときそうな気がしませんか?
私だけかな。脳科学的にもあまり解明されていない的なこと書かれてたから、現時点ではまだうまくいかないままなのかな。

参考までに、ADHDの困りごとに重要そうな情報を発見したのですが、難しくて半分しか読めませんでした。興味のある方は参考までにどうぞ。

参照:意志決定の脳メカニズム/科学哲学

振り返り

白い花

要は支援が必要って話にしかならなかった。たぶん、自分で意識してメモを取るようになること自体は、できると思うのです。

よっぽどの感情(怒られたくないとか)とセットになってると思いますけどね。でも、夢の出来事が常であれば、あの中で意識し続けていくのはキツイな、って思います。

ずっと手帳とかスマホのスケジュールとかを片時も離さず、暇さえあれば見返して、一応記憶もするけどずっと何かを確認していないと、自分が何かやらかしてしまいそうでコワイと思う。

それなら、完全に付き人(秘書や専任の事務員、支援員)をつけて、自分は興味のあることに向かって行動を起こした方がいい気もします。

何か忘れてたら、付き人が声をかけて呼び戻す。きっとこの方が2度手間にもならないし、本人のストレス度合いもだいぶ違うでしょう。

実際、学校なり仕事なり、メモをすることがタスクじゃないんですよね。その先にあることがタスクなのに、忘れ物に恐怖を感じ、自分の行動に不信感を感じ、他人の顔色をチェックするのは違うと思う。

何か、これだ!と思うものがないかな、とこれからも探していきたいと思います。きっとあるような気がするんだよね。全く関係ないものが意外とADHDの人に役に立つってこと。

アンテナを張っていたらいつかひっかかってくれるだろう。その日がくることを祈って。

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