忘れ物をすると困りますよね。本人が困るのはもちろんですが、忘れ物をすることで、クラスのお友達から教科書を見せてもらったり、先生から文房具を借りたりしなければいけません。
「助け合う」という意味ではいいのかもしれませんが、あまりにも頻度が高いと、貸す方も嫌になってしまいますよね。
こんにちは!ADHDじゃなくても忘れ物が多い花緒です。先に残念なお知らせがあります。
おそらくですが、このサイトを見ても「忘れ物」がなくなることはないと思います。忘れてしまう脳のしくみを持つADHDですので、特性そのものがなくなることはありません。
しかし、特性に対して、事前に防げることを対策として取ることで、「忘れ物」という結果になる前に防ぐことができます。
最悪、お子さんが忘れた物を、家族がダッシュで持って行くという方法も含んだ上で、今回は、「忘れ物をする」ということについて取れる対策を考えていきましょう。
親が持っていって済むなら、それもアリ。親がラクするためにも、忘れ物をさせない対策は必要だと思います。
ADHDの子供が忘れ物しないための3つの対策
ADHDの特性があると忘れ物をしてしまう脳のしくみについては、こちらの記事を参考にしてください。
私が長男とともに対策を考えてきた内容をお話していきます。長男は今でも忘れ物をしますが、ほぼ登校前(始業前まで)で完結するようになりました。
もちろん、始業ギリギリで私が持って行くパターンも含まれていますが、入学してからの5年間で、かなりの進化を遂げています。
忘れ物をするADHD脳である自分の特性を知る
お子さんにADHDであることをカミングアウトしていない場合、どうやって自分の特性を知ってもらうのかはちょっと考えた方がいいですね。
自分の特性を知る、ということの趣旨は、忘れてしまうのはお子さんのせいではないということをわかってもらうためです。
それこそ、さきほどの脳のしくみではないですが、神経伝達がうまくいってないから忘れてしまうという根本を知ることで、自分はダメな人間ではない、自分のせいではない、と自分を責めて二次障害を起こさないようにするためです。
本当のことですしね。カミングアウトをしていない場合は、この辺の趣旨を理解していただいて、うまくお子さんに特性としてわかってもらえるといいと思います。
私は、線路と電車の話を使って、神経伝達がうまくいかない例を伝えています。
本で読んだ内容を私なりにわかりやすく噛み砕いて子どもに伝えています。自閉症関連の本だったか、ADHD関連の本だったか、覚えていないので参照元がわからなくてすみません。
これから対策を考え、実行していく上で、自分の特性を知るということは大事なことの1つです。
ADHDである子供本人が必要としている困りごとの対策を書きだす
まず、本人が何に困っているのかを書き出してみます。親が感じている困りごとは後回しで、まずは本人が困っていることから対策をしていきましょう。
- 連絡帳を書いてこない
- 忘れ物をするのは嫌だと思っている(先生に怒られるのがこわいから)
- 学校を出ると持ち物のことは忘れてしまう
次にそれぞれの対策を考えます。小5以上はお子さんと一緒に考え、以下は親が対策を考えます。
- 先生に連絡帳をチェックしてもらう・一週間の予定と持ち物をプリントでもらう
- 忘れないためのスキルを身に付ける努力をする
- 家でも持ち物がわかるようにしておく(ホワイトボードに書く・プリントを貼るなど)
先生に連絡帳チェックをしてもらうか、一週間の予定と持ち物のプリントをもらう
先生には親が交渉すればいいですね。小5以上の高学年であれば、自分で交渉してもらってもいいと思いますが、理解のない先生の場合は親が交渉しましょう。
ダメと言われたら、親が毎日学校の黒板を確認しにいきましょう。親が働いている場合は、カメラ機能付きの物を子供に持たせて、写真を撮ってもいいように先生に交渉しましょう。
要するに、どうすれば子供が学校から持ち物連絡を家に持って帰ってこれるかということです。
忘れないためのスキルを身に付ける努力をする
親や先生を巻き込んで、忘れ物に対しての配慮をしてもらうわけですから、本人だけのほほんとしてもらっては困ります。
忘れることは大前提として、できないのであればどうすればできるのか、という工夫をしていくことが「生きる」ということだと思っています。
もちろん、脳のしくみ的にできないことを無理にやるのは良くないことですが、つながっていない神経をつなげなさい、と言っているのではありません。
つながっていない神経のまま、つながっている神経でフォローする努力をしてみてください、というお話なんです。ここ、間違えないでいただきたいところです。
発達障害だから配慮されて当たり前ではない。できないのだから仕方がないのではない。
やり方がわからなければ知ろうとすればいいし、やり方がわかってもうまくいかないのであれば、別の方法を探せばいい。それだけのことです。
小2くらいまでであれば、親が主導で持ち物を確認するときに、持ち物リストを子どもに読んでもらって用意できているか一緒に確認すればいいでしょうし、小4くらいまでであれば、声掛け+ツールやアイテムを用意してあげるのもいいでしょう。
小5以上はその後の中学・高校に向けて、自分なりの対策を試行錯誤するいい練習になります。
忘れないように手の甲にマジックで書くとか、毎日開く筆箱にメモ書きを入れておくとか、玄関に全て置いておくとか、方法は何でもいいです。
親子で一緒にやることで、できる方法があるということ、できる工夫をするという、生きていく上で大切なことを経験していけるチャンスだと思います。
家でも持ち物がわかるようにしておく(ホワイトボードに書く・プリントを貼るなど)
先程の対策1や2と重複しますが、学校を出ると忘れてしまうのであれば、家でも持ち物がわかるようなものを作るなり、貼るなりすればいいと思います。
うちは、冷蔵庫に一週間分の予定と持ち物が書かれたプリントを貼っているので、冷蔵庫を開ける度に目に入るしくみにしています。
長男だけでなく、私や夫も見えるので、家族で忘れないしくみを作っています。
忘れ物対策はADHDである子供本人にやらせる
実際の対策を、親が代わりにやってあげてはいけません。サポートやフォロー、準備や交渉などは親がやりますが、実際に準備をして忘れないようになっていくのは本人です。
自分でやるから「忘れなかった」という経験を積めるのです。親が代わりに用意してしまえば、「親が忘れなかった」という事になってしまいますよね。
長男は最終的に全教科の教科書・ノート類をランドセルに入れておく、という対策を取っています。ランドセルはかなり重いですが、この方法で忘れ物はありません。
習字道具や家庭科の用意など、特別な持ち物については、とても理解のある担任の先生が小5になっても1週間分の時間割と持ち物を表にして配っています。
長男だけでなく、クラス全員に配ってくれているので、とても助かっています。ですので、特別な持ち物があるときだけ、私は声をかければいいようになっています。
このプリントを忘れると私も対策が取れないので、長男が自分で気を付けて連絡帳を書いてくるか、もう1枚プリントをもらってくるかなど、自分で対策を取ってもらっています。
油性ペンで手の甲や腕に書く
絶対に忘れないようにしたい時は、油性マジックの名前ペンで、手の甲や腕に持ちものを書いてきます。
何日かは消えないので、毎日は使えない方法ですが、一日に何度も目にする手の甲に書くと、さすがに忘れません。
かわいい名前ペンもたくさんありますよ。
部屋から玄関までの通路に置く
ハンカチティッシュなども玄関に向かう途中に置くようにしたので、登校前に目に入ると忘れません。また、次の日の持ち物準備が終わったら、すべて玄関に置いておくと忘れません。
こういうケースに、ハンカチもティッシュも鍵も入れて玄関の下駄箱の上などに乗せておきます。
登校時、靴を履いて持ち物を持った後、玄関に残っているものが忘れ物なので、目で見て確認ができます。玄関に置く時に全部あるかチェックしてくださいね。
紙やホワイトボードに書いておく
てっとり早く、紙やホワイトボードに忘れてはいけないものを書いておきます。問題は書いたものを見返さないことにあるので、何があっても絶対に見る場所に貼っておくことをおすすめします。
玄関のドア。自分の靴の上。ドアノブ。
家を出る直前に目に入る場所がいいと思います。なんなら部屋から玄関までの壁、ドアというドア、全てに貼ってもいいでしょう。
私は尿検やプールカードを忘れてしまうので、寝室のドア、トイレのドア、冷蔵庫のドア、ランドセルの上、玄関のドア、と至るところに貼っておき、家族全員でチェックが入るようにしています。
アナログな方法ですが、これだけ見ていると絶対に忘れません。
教科ごとにファイルに入れる
社会で使う地図を忘れる、ドリルを忘れる、コンパスや分度器を忘れるといったように、教科と教科に関連するものがリンクされていなくて忘れてしまう場合、1教科ごとにチャック付きのファイルに入れて管理すると忘れないみたいです。
こんな感じのファイルです。性格的に向く子にはとてもいい方法みたいです。
長男にもやってみましたが、使った後にファイルに戻さないので、結局同じことがおきます。ファイルで管理する手間が増えてしまうことがイヤだったようでやめました。
同じ理由で、手紙などを連絡袋のようなものに入れるよう、1年生などは指導されますが、これも入れることを忘れてしまう場合はあまり意味がありません。
机の中の引出ごとランドセルに入れて登下校している子もいました。
みなさん、忘れ物の対策には本当に試行錯誤しています。
親にできる事は声掛けのみ!最適なタイミングと声掛けの方法
基本的には、声掛けが親の仕事だと思っています。さまざまな対策から成功体験を積んでいき、最終的には自分で対策をしていけることが目的です。
私の経験から、声を掛けるタイミングのコツをお教えします。
子どものペースに合わせない
親の方で子どもの様子や機嫌を見て声を掛けるのではなく、毎日同じ時間、同じタイミングで声を掛けた方がいいと思いました。
夜ご飯の後、明日の準備をしている時、お風呂の後、寝る前、次の日の朝、出かける前など。
私は夜ご飯の時に特別な持ち物の確認をして、寝る前に確認して、次の日出かける前に確認をします。ランドセルの上に置いて準備していた持ち物を、わざわざ降ろしてランドセルだけ持って登校した時には頭が痛くなりましたが、すぐに追いかけて持たせるようにしています。
明日の準備、何時にやる?やらない選択肢はない。やる時間の確約をとる
発達障害の子どもへの声掛けとして、やらない選択肢があるような声掛けは基本やりません。
「明日の準備、いつやるの?」という声掛けだと「あとで」と返ってきてしまうので、「何時にやるの?」と聞くことで時間の確約を取ってしまいます。
そして子どものいる場所で、確約した時間にアラームを設定します。そうすることで、アラームが鳴ればやらざるを得ない状況に1回はなりますよね。
アラームが鳴った時に集中して遊んでいてどうしても動けない場合、「10分後にやる」などと言い出すこともあります。
その際には、絵カードタイマーというアプリを子ども本人にかけてもらいます。絵カードタイマーは残りが何分あるのか絵で見えるため、とても効果的です。
アラームの書け直しは3回まで、と先にルールだけ決めておけば、意外と子どもは動きます。自分で決めたルールであれば、納得しているので動きやすいのかもしれません。
今日の振り返り
ADHDの忘れ物対策として、長男の経験を元にお話をしてきました。
- 忘れ物は脳のしくみ的に忘れてしまうと考える
- 対策は本人にやらせる
- 親が声掛けをすれば自分で対策をとれるようにすることが目的
他にもいろんな方法があると思いますので、いろんな方の対策を参考にしてみて下さいね。
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