コミュニケーションに苦手さがあるASD。ASDの特性があることでうまく理解されず、二次障害に陥ってしまうことがあります。
今回はASDの二次障害にはどんな症状があるのか、二次障害に陥ってしまう背景にはどんな理由があるのか、ということについて考えていきます。
ASDとは?二次障害とは?
まず簡単に言葉の意味だけ確認しておきます。
ASDとは
自閉症スペクトラム障害のこと。
発達障害の中でも広汎性発達障害であったり、高機能自閉症であったり、アスペルガー症候群であったりと実は呼び名がいろいろと変わってきているものでもあります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
二次障害とは
元に原因となるものがあり、それが原因で別の障害を起こしてしまうこと。
発達障害だけが二次障害があるわけではなく、手術や病気、いじめなどでも二次障害という言葉は使われています。
発達障害の場合は、脳機能のアンバランスさが原因で怒られることが多くなり、精神的な障害につながったり、不登校や家庭内暴力など、何か別の問題につながってしまうことを二次障害と呼んでいます。
ASDの二次障害とは
往々にしてコミュニケーションの問題が一番多いでしょう。
子供から大人まで、社会で生きるということは、自分以外の誰かと生きるということ。
コミュニケーションがうまくいかないASDにとって、二次障害は気を付けておきたい項目の1つだと考えています。
ASDの二次障害の主な症状
ASDの二次障害にはどのような症状があるのでしょうか。もちろん、子供によって症状は違うとは思いますが、代表的なものを例に挙げてみます。
【体の症状】
- 頭痛
- 腹痛・下痢
- チック など
【精神的な症状】
- 不安障害
- 鬱病
- 強迫性障害
- 睡眠障害 など
【他、目で見える症状】
- 不登校
- ひきこもり
- 暴力 など
発達障害の親の会などでよく聞く話では、この辺りが二次障害として挙げられていましたし、実際に親子で悩んでいる方も多数いました。
二次障害がおこる理由【ASDに限らず理由を考えてみた】
ASDに限った話ではないと思うのですが、二次障害がおこる理由がなんとなくですがわかってきました。
二次障害はうまくコミュニケーションが取れない子供にとって、ヘルプサインだと思っています。
ASDの子供が何に困っているのか、二次障害から正しく情報を読み取ることが大切でしょう。
周りからの非難の蓄積で自己肯定感がなくなる→自分を責める→症状がでる
一番わかりやすく考えると、ASDなどの発達障害の特性が原因で理解してもらえない、受け入れてもらえない、ということが起こります。
理由としては次の2つ。
- 本人以外の人が発達障害の特性を知らない→対応方法を知らない→本人を責める
- 本人以外の人が、自分の理想通りに動かそうとして本人を非難し続ける
これは避けられない図だとも思います。なぜなら、私達は学校で発達障害のことは習っていません。道徳でも「みんな違ってみんないい」と教わります。
この漠然とした「みんな違ってみんないい」では、発達障害の本人はもちろんのこと、その周りの大人たちも「みんな違って」をどうとらえたらいいのか、何を「みんないい」と受け入れるのかがわからないと思います。
親になって初めての子育てで「お子さんは発達障害ですよ」と言われたところで、知識も心構えもないし、だからどうすればいいのかわかるはずもなく、否定して非難してしまう。
だから本人が悪いわけでもないし、周りが悪いわけでもないと思いますが、気づくことが遅れて、症状が出てしまうことはあるでしょう。
本人の気持ちと現実のギャップを埋められない(折り合いをつけられない)
周りが理解者だけで構成されていたとしても、本人が折り合いをつけていけなければそのギャップは少しずつ積み重なっていき、いずれ二次障害へと発展してしまうと思います。
早期療育=早めに療育を受け始めるということは、発達障害当事者に関わる人たちが早期に障害の特性を受け入れ、対応していくということ。
しかし、いくら早期療育をしたところで、本人が療育を受け入れていけるかどうかはまた別の問題なのです。
社会の常識が正しいとは限らない。
その本質的なところに納得がいかない場合は、社会とのギャップを不適応として持ち続けねばならず、周りからの助言通りに納得できない自分に辛さを抱えてしまうかもしれません。
振り返り|ASDなどの発達障害の子供がいるなら二次障害の正しい知識を持つことが大切
ASDなど発達障害の子供たちは、ときに理解されず、また子供本人が理解できずに、二次障害になってしまうことがあるでしょう。
まずは親や先生など、発達障害の子供と接する大人たちが、二次障害ということについての正しい知識を持ち、早めに対応することが大切だと思います。
万が一、二次障害の症状が見られたら、まずは病院に行き、体調からくるものではないかを明確にするといいでしょう。
また、子供本人にも自分のことをよく知ってもらうことで、二次障害を防ぐこともできます。
子供は必ず何かしらのサインを出すと私は考えています。そのサインを見過ごさないようにしていきたいですね。