【苦手を克服するおすすめの教え方】発達障害でもわかる縄跳びの飛び方とは?

発達障害

発達障害の子供には、体のコントロールがうまくいかない子がいます。そんな子供にとって、学校の縄跳びは1つの難関。

誰もが同じように縄跳びを飛べるわけではなく、その子に合った方法が必ずありますが、幼稚園や学校では生徒がたくさんいるので、1人1人に合わせた教え方までは対応できないのが現実です。

そんな運動が苦手な発達障害の子供には、カスタマイズした個別プログラムで縄跳びトレーニングをしてみましょう。

縄跳びは飛べなくても十分生きていけます。だから縄跳びは飛べなくてもいい。それも1つの選択肢です。

でも、できない理由を解明し、できるに向かうには何が必要なのか、どう体を動かせばいいのか?

目的に向かって今やれることをやり、あきらめずに達成した暁には、言葉では表せない程の達成感を体験することができます。

子供だけではなく親が強力なサポーターになり、できないことの壁の乗り越え方を模索していきましょう。

発達障害の子供でもわかるように縄跳びを飛ぶ過程を分解【大人用】

大縄を飛ぶ人達

発達障害の子供が縄跳びを飛べない理由はこちらを読んでみてください。

今回は実践編。まずは縄跳びを飛ぶ過程を分けて考えてみましょう。

【1作業】縄をまわす

縄跳びは、縄を飛ぶので縄を自分でまわします。後ろから前へまわしますよね。

大抵の子供は、見れば真似できるのですが、発達障害の子供の中には見て真似することが難しい子がいるため、縄のまわし方も細かく教えます。

左手は時計回りに、右手は半時計回りに。そんな風に考えたことないや!という方がほとんどでしょう。私も自閉症スペクトラム障害の長男に縄跳びの飛び方を教えようとするまでは考えた事がありませんでした。

左右で違う向きにまわしているのか。

そんなことには意識もなく、縄跳びをまわして飛んでいました。

さらには、縄をまわす手の位置を、腰のあたりでキープ。持ち手を持つ向きも特徴的ですよね。

【3同時作業】縄が目の前にきたら縄をまわしながら飛ぶ

  • 縄をまわす
  • 目の前に縄がくるタイミングを計る
  • 良きタイミングで飛ぶ

自閉傾向のある子と長く接していると、同時作業は難しいことがわかってきます。

その点で考えると、縄跳びは多い時では同時に3つの作業をするので大変。運動の中でも複雑な方に入ると思います。

【1作業】さらに縄をまわす

縄を飛んで終わりではないところが、さらにレベルを上げているところです。

飛んですぐに縄をまわし、また目の前にきたら飛び、またまわす。

1つの作業にこだわりを持って没頭したい自閉傾向のある子供には、レベルの高い連続技です。

ただ、1回コツさえつかめば、できるようになります。自転車にも乗れますし、リップスティックにも乗れます。

目で見て真似する力が弱く、このような分解作業や通訳といったサポートが必要になるだけで、できないわけではないのです。

【実践】苦手を克服!縄跳びチャレンジトレーニングを開始しよう

縄跳び

真似が難しい発達障害の子供に縄跳びを飛ばせる具体的な案

  1. 縄跳びを飛ぶという動きの1つ1つを分解して把握
  2. それぞれの動きを体に覚えさせる
  3. 動きを合体させる

簡単に書けばこんな感じになりますが、2のそれぞれの動きを体に覚えさせるところが子供によって差があるところ。

言葉で伝えた動きを、子供が自分でできそうになければ、作業療法士になったつもりで大人が実際に動かしてあげましょう。

分析した縄跳びの動きを子供に通訳してみよう【プチトレーニング有】

では1つずつ、やっていきます。

縄をまわす動き

縄跳びを飛ぶ時の縄の動きを、よく考えてみましょう。

まわす、とはどのくらいまわすのか?まわす手の向きや位置はどうなっているのか?を細かく子供に教えてみます。

  • まわす大きさ→直径4センチくらいの○
  • まわす時の手の位置→腰骨の位置
  • まわす時の手の向き→グリップを握って親指が外側

まわす大きさ?と思うかもしれませんが、一定の基準がないと言葉での「このくらい」は発達障害の子供にはわかりにくい場合があります。

私は、鉛筆を親指側に芯があるように持ち、壁に貼った紙に縄跳びをまわすつもりで○を書きました。私が書いた○の上を、長男が練習する時に同じようになぞってもらい、縄をまわす感覚をつかんでもらいました。

縄跳び練習用の○

思い立って○を書いたのでメモを使ってしまったのですが、私が最初に書いた○は直径4センチくらいです。見ながら片手ずつ書いたのに、長男の○は結構ズレていますよね。

実際に子供が縄をまわしてみるとわかると思いますが、腕ごとまわそうとするんです。直径30センチ以上あるような円を描くくらい大きくまわそうとする。

それだけ、縄をまわすという感覚がわかりにくいのでしょう。だからこそ、この練習はとても効果がありました。両手ともしっかりと同じくらいの大きさで○を書く練習をしましょう。

縄跳びと同じく、鉛筆はグリップを持つように持たせて練習してくださいね。

飛ぶ足首の動き

飛ぶ動きなのですが、お子さんに軽く飛んでもらって動きを今一度確認してみましょう。

よくわからない場合は、動画を撮ってゆっくりと確認してもいいですね。

飛ぶ時に足首はやわらかく動いているでしょうか?飛ぶ瞬間はつま先で飛んでいるでしょうか?足首が固定されたまま、かかとも一緒に飛んで、足の裏全体でベタっとついていないでしょうか?

もし、足首が固定されて柔軟に動いていないようでしたら、足首を縦横に動かし、筋肉をやわらかくほぐしましょう。作業療法士のように足を持ってまわしてあげましょう。

そして、足首を90度の状態から、180度の状態に、また90度の状態にと繰り返し、(実際には180度まで伸びませんが)飛ぶ時の足首の動きを覚えてもらいます。

何度か繰り返した後、自分で動かしてもらい、うまく動かせるようになっていたらOK。

合せてトランポリンで練習すると効果的です。ちなみに、足首が動かない子は、トランポリンもうまく飛べません。

トランポリンは体幹を鍛えられるので、小さいサイズのものでいいので1つあると体の動かし方に役立つ時がきますよ。

うちにあるのはこのタイプ。小さめの方がいいです。もう一回り大きいものもありますが、はっきりいって邪魔です。小さい方が居間に置いておいても邪魔にならないし、いつでもすぐ飛べるのでちょうどいい。

飛ぶ膝の動き

飛ぶ時に膝が曲がっていれば問題ないのですが、ほとんど曲げていない子もいます。膝がクッション代わりになっていない、という感じ。

縄跳びだけではなく、段差から飛び降りた時も危ないと思うので、膝で衝撃を吸収し、さらにバネにして飛ぶことを覚えてもらいます。

これは、膝が90度くらい曲げて伸ばしてを繰り返せば良いだけ。多少、重心が変であってもとにかく膝を使って飛ぶということが体に入ればOKです。

飛ぶリズムの確認

意外と忘れているリズムのことですが、生活には常にリズムが発生しています。

縄は一度まわすと一定のタイミングで同じ場所にきてしまうので、リズム良く飛び続けることが縄跳びが飛べるようになるコツでもあるのですが、リズムの感覚がない場合はリズムトレーニングをしましょう。

縄を持たずにその場で飛んでもらい、一定のリズムで飛んでいない場合のみ、リズムトレーニングが必要です。

方法は簡単。

  1. 大人が一定のリズムで手を叩き、子供がそれに合わせて手を叩くだけ。
  2. 叩けるようになったら、大人の手拍子に合わせて飛ぶだけ。

手拍子は、縄跳びを飛ぶリズムで叩いてくださいね。

手拍子が疲れる場合は、メトロノームも使えます。2拍子でチーンとなる設定をするとわかりやすいですよ。(チーンで縄を飛ぶつもりで練習)

私が持っているのはヤマハのメトロノームです。もし、外でメトロノームを使うなら、振り子タイプがおすすめです。電子タイプは外の騒音で聞こえないことがあるので。静かな場所で使うならスマホのアプリ(電子タイプ)でも大丈夫です。メトロノームは1個あると何かと便利ですよ。

飛ぶ高さの確認

最後に飛ぶ高さです。子供は「縄跳びを飛ばないと!」という意識が強く、つい高く飛ぼうとしてしまいますが、よく考えてみれば縄の分だけ上に飛べばいいだけですよね。

正直、5センチも飛べば十分だと思うのですが、ちょっとだけ飛べば良いの意味は、子供にはわかりにくいでしょうね。

そこで、大人が子供の頭の上5センチの所に手を置き、頭が付くまでジャンプしてもらいます。軽く手にさわるくらいの高さを飛べば良いので、徐々に調整できるように手を出している大人が指示を出してください。

「もっと低くてもOK」みたいな感じで、手の感触を便りに子供をサポートしてください。

手をはずしても理想的な飛ぶ高さをキープできるようになったら合格です。

発達障害の子供は体幹が弱いので日々鍛えておく

縄跳びだけではなく、学校では鉄棒や跳び箱、マット運動、高学年になると組体操で逆立ちをしたり腕立て伏せや電気椅子らしきものをやることもあります。

体幹が弱いと言われている発達障害の子供達は、家でも遊びながら体幹を鍛えられた方が後々の困りごとが減ると思っています。

義務にならないよう、遊び感覚でできるようなもの、特にバランスボールは、居間に転がっていれば好きな時に乗っかってボヨンボヨンと跳ねたりするので、ストレス解消にもなるみたいです。

トランポリンとバランスボールがあれば、とりあえずは体力も体幹もつくと思いますよ。

筒タイプのバランスボールは、長男が療育で長い間やっていたものです。

もっと高さがあるものでしたが、始めは1秒も座れなかったのに、1人で座れるようになる頃には体育の授業が苦痛ではなくなったようです。

今ではバランスボールにもかなり長い時間、座っていられるまでになりましたよ。体幹が鍛えられると、学校で座る姿勢が幾分かラクになるみたいです。

鏡にで自分の姿をチェック

もしできるのであれば、縄跳び練習をする自分の姿を鏡で確認しながらやった方が成功率は高いです。

要は、自分が思っていることと、実際に動いている体の動きには差があるので、目で見ながら調整できるのです。視覚優位の子供は特に全身が写る鏡の前で練習することをおすすめします。

鏡を目の前に置いた途端、急速に縄跳び練習が進みました。玄関辺りに置いておくと、出かける前に自分も姿(洋服の着方や持ち物チェック)が確認できるので、縄跳び練習以外にも役に立ちます。

実際に縄跳びを飛んでみる【ビデオで録画する】

これだけ部分練習をしておいて、まだ飛ばないのか、と思うでしょうが、この地道に小分けした訓練がつながった時、その効果がわかると思います。

焦らずに、1つずつの動きをスモールステップでクリアすることが大切。ゲーム並みに1つずつ障壁をクリアした方が、できない気持ちが少なくて済むからです。

練習は、できるだけ動画で録画し、子供本人も自分の動きを確認した方がいいです。

前からは鏡で確認し、横からは動画で確認する、というように別の角度から見られると、飛べない原因がどこにあるかがわかると思いますよ。

大人揺らした縄を飛んでみる

まずは縄を飛ぶということに特化して、大人が縄を揺らしましょう。「おおなみこなみ」的なものや、「ゆうびんやさんのおとしもの」みたいなもので十分です。

スモールステップを念頭に置いて、ちょっとずつレベルをあげていきます。

自分でまわした縄を1回飛びこえてみる

大人が揺らした縄を確実に飛べるようになったら、1人で縄をまわして飛んでみます。

始めは連動した動きである必要はありません。

  1. 縄をまわす
  2. 前に振られて止まっている縄を飛ぶ(前進して飛んでもよい)
  3. さらに縄をまわしてみる
  4. さらに飛んでみる

始めは自分でまわして止まった縄を飛ぶ。そこから始めます。飛ぶ時はその場で飛ばずに前進してしまっても構いません。

とにかく、縄を前にまわすこと自体に慣れるまで、時間がかかっても頑張りましょう。

もう1度自分で縄をまわす

自分でまわした縄が確実に前にくるようになり、止まっている縄なら飛べる状態まできたら、いよいよその場で飛ぶ練習をします。

自分でまわした縄をその場で飛ぶ。

始めは1回ずつ。1回ずつ。

この辺りから、「飛べた!」という感激から「もっと飛びたい!」「なわとびができた!」とモチベーションが上がってくるので、勝手に練習し始めます。

大人は、子供と一緒にできた喜びをかみしめ、子供とのハイタッチでできるようになったうれしさを共感しましょう。

もう1度飛ぶ

1回ずつが飛べるようになったら2回、3回と数を増やしていきます。

この時のリズムは、トーン、トーンで1回ずつ飛ぶか、トントントントンと4回飛ぶうち縄がまわるのは2回、つまりメトロノームで練習した2拍子飛びで飛ぶかのどちらかです。

5回飛べたら縄跳びはクリアでいいと思います。

繰り返す

1回できるようになれば、次の日からも飛べているはずですが、もしひっかかってしまうようであれば、原因を探し、再度前の練習に戻ってみましょう。

必ず引っかかってしまう原因がありますので、何に引っかかっているのかをきちんと突き止め、改善することが大切です。

発達障害の子供がなわとびが飛べるようになるために参考にできるおすすめの本

縄跳びを飛ぶ女の子

本が読める子であれば、子供向けの本を買ってあげてもいいですね。子供が読みたい場合のみでいいと思いますがドラえもんシリーズの本は、子供が喜んで読むシリーズだと思います。

体育や運動が苦手な子供は昔からいます。そんな指導の試行錯誤が載っている本です。発達障害向けではありませんが、運動の基本がわかると思います。

こちらは発達障害の子供向けの本です。学生時代は避けて通れない体育の苦手とどう向き合うかなど、具体的な方法を含め参考になる本です。非常にわかりやすいと思います。

振り返り|発達障害の子供に合った方法を見つけるまであきらめなければ縄跳びは飛べる

縄跳び

見て真似をすることが難しいタイプの発達障害の子供向けに、縄跳びの飛び方トレーニングについてご紹介してきました。

これは私が自閉症スペクトラム障害の長男用に考え、実際に行った方法です。二重跳びはできませんが、あや飛びや交差飛びなどはできるようになりましたし、連続飛びもとりあえず続けて飛べています。

小学3年生あたりで、ようやく縄跳びというものを飛べるようになったかな、という感じでした。

地道ではありますが、子供本人が頭で縄跳びの飛び方を理解し、体で動きを覚えさえすれば、縄跳びを飛ぶことができる。

苦手なのは体を動かす神経がうまくつながっていないせいなので、やり方の手順さえ踏めば苦手は苦手ではなくなるんですよね。

このような1つずつの取り組みが、発達障害の子供に「できた」感を与え、達成感を感じることで「やればできることがある」ということを体験してくれるでしょう。

正直、付き合う大人は大変ですが、知らないうちに出来てしまうより、一緒にできるようになった喜びはとても大きい。

子育てのいい思い出になりますよ。頑張りましょう!

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