運動会が苦手な発達障害の子供向け!かけっこの走り方を教えるコツ

発達障害

運動会のかけっこが苦手な子供に走り方を教えるコツをご紹介します。

発達障害の子供に限らず「走る」ということに苦手さを感じている子供の走り方を分解して考え、理解することで、ポイントを押さえた走り方を教えられるようになります。

今年の運動会は、少しでも速く走れるようになりたい、を叶えられるきっかけになればうれしいです。

ポイントがわかればうまくいく!発達障害の子供に走り方を教える7つのコツ

足の裏に本とコップを乗せてバランスを取っている様子

発達障害の子供達は、日常の中で怒られることが多いです。そして、できないと感じてしまうことも多いです。

興味関心や好奇心があったり、自分が安心する時間を過ごしたいという思いからの行動が理解されなかった時、そ自分を否定されていると勘違いしてしまうことも多々あります。

発達障害の子供に何かを教える場合、教える側の興味や、教える側の気持ちや思いを子供にぶつけることがないように配慮してください。

「お前のためを思って言ってるんだ!」という言葉を子供に投げないように気をつけましょう。これは、お前のため(子供のため)ではなく、大人のため(親のため)です。

子供ですから、本人の知識も体験も経験もまだまだ少ない状態です。大人が子供に伝わる表現をするように心がけてください。

怒られることが多く、こだわりの時間を過ごしていればいるほど、体験から経験になる数も少ないと思っておきましょう。

  • 走れない=ダメなこと
  • 速く走れない=ダメなこと

ではないことを忘れないようにしてください。

  • 少しでも速く走れるようになってみたい
  • 頑張ってできるだけ速く走れるように練習をしてみたい

走れない原因がわかって、走り方のコツがわかれば、現状より速く走れることは確かです。

それを大人が望み、子供に強制してしまうのは、親の思いを子供の叶えさせようとしているだけ。

あくまでも子供の走りたい思いをサポートしてあげる、走れるようになるきっかけをつかむ通訳をしてあげるように、気を付けてあげてくださいね。

怒らない

子供でも大人でも同じですが、怒ってもあまり意味がありません。

「あ、怒っているな」「また自分は怒られているな」「イヤだな」という感じにしか思っていないので、怒っている理由は伝わっていません。

怒っている顔が怖くて、怯えて、そんな親の顔が怖いから、自分の気持ちを押さえて親の言うことをきく子もいます。

HSCのように敏感気質の子であれば、親の感情を刺激しないように気を遣って、練習どころではなくなってしまいます。

「速く走れるようになりたい」その目標に向かって練習をするのですから、怒るのではなく子供に伝わる表現で伝えられるように、伝え方やコミュニケーションの方法を工夫しましょう。

やればできると言わない

「やればできる」が間違っているわけではありません。

しかし、子供は速く走ろうと頑張ったはず。子供ができることはおそらく全部やってみた結果が現状なのだと思います。

  • でも速くなかった。
  • 自分は速くは走れなかった。
  • 〇〇君はずっと先を走っていってしまった。

そんな思いを抱きながら、運動会の徒競走の練習では、僕は速く走れない、という思いと共にスタート地点に立っています。

「やればできる」ことは確かです。

そのやり方が、子供が知っている方法ではなく、先生が言う方法でもなく、親から聞いた方法でもなかったから速く走れないのであり、それは子供のせいではありません。

何もしなくても速く走れる子もいますが、我が子はそのタイプではない。それだけのことです。

ならば、自分の子が、

  • どうやったら速く走れるようになるのか
  • 速く走っている子供との違いはどこにあるのか

ということを分析し、自分の子供流にカスタマイズすれば良いだけです。

それを叶えてあげられるのが、たくさんの知識経験お金を持っている大人です。

できない事にこうすればできるという解決策をかぶせて言わない

できないと感じることが多い発達障害の子供が、速く走れない、僕にはできない、と弱音を吐き、ネガティブな思考になっている時に、大人の解決策を言わないようにしましょう。

  • 子:「僕はやっぱり速く走れない・・・」
  • 親:「だってスタートが遅いんだから、速く走れるわけないじゃん」

子供が言いたかったことは、速く走れないと思っているということ。

「なんで速く走れないのか、客観的な意見を教えて」と言われたわけではありませんよね。

このような場合は、「速く走れないんだね」と走れないと思っていることをわかってあげましょう。

そして、速く走れないと感じていることで、落ち込んでしまっているのか、がっかりしているのか、自分を責めてしまっているのかを聞いてみましょう。

自分の感情を、フィードバックされることで、自分の思いと向き合うことができます。

走れないと感じている思いをしっかりと持ったまま、練習しますので、間違っても大人の解決法をかぶせて、子供の気持ちをつぶさないようにしてください。

ここで子供が自分の気持ちにフタをしたり、思ってもいないのに親の言うことが正しいと思い込もうとすることで(自分の気持ちに嘘をついていく)、二次障害のきっかけになることがあります。

親に否定されるのではなく、受け入れてもらったという思いが自分のままでいいんだという安心感につながり、新しいことにもチャレンジできる土台となっていくので、とても大切なポイントです。

超スモールステップでしかレベルを上げない

ゲームのように、超スモールステップでレベルを上げていくように心がけましょう。

ちょっとできるようになると、レベルをグッとあげてみたくなる気持ちはとてもわかるのですが、「できない」を感じさせず、「できる」のみの積み重ねで速く走れるようになっていきたいのです。

なぜなら、「できない」という思いは、日常生活でたくさん持つ感情だから。本当は、「できない」のではなく、「やり方が違うだけ」「やり方がわからないだけ」だからです。

だれもその子にわかるやり方を通訳してあげられなくて、「できない」を他の子よりも多く感じてしまっています。

だからこそ、発達障害の子供本人が、何かができるようになるためには、自分に合うやり方があるということを知る必要があります。

  • 「先生がこう言ったから」
  • 「お母さんがこう言ってたから」
  • 「〇〇ちゃんがこうやっていたから」

それ以外にも方法があり、自分は他の人とは違うやり方の方がわかりやすいかもしれない、ということに子供本人が気づいた方がいいからです。

1回やってできなければ別の方法で教える

練習している過程で、できそうか、根本的に無理そうかの判断はできると思います。

なんか違うな、と感じたら、おそらくその直感は合っていると思います。ちょっとやってできそうになければ、こだわらずに別の方法を試してください。

おそらく、理解できる思考回路、神経回路が違うと思われます。さらに、頭ではわかっていても、末端神経までうまく伝わっていないのかもしれません。

方法は、たくさん候補があった方がいいと思います。

教え始めた時は、子供との接し方を含め、子供が何ができて何ができないのかを知ることから始まりますが、回を重ねることに子供の「できない」の意味を大人が理解できるようになります。

そこからが本当の意味での練習の始まりですので、練習のパターンは思いつく限り考えて用意しておいた方がいいですよ。

あきらめない

発達障害の子供、運動が苦手な子供に何かを教えるということは、結構心が折れそうになります。

自分が考えていたこと、思い描いていたものと現実の子供の動きは、同じになるとは限りません。

なんで体が動かないのか、意味がわからなくなることも多々あります。

でも、同じ人間ですから、必ず何かしらの原因があるはずなんです。何かが違うから足の速さにも違いが出てくるんです。

あまり突き詰めすぎる必要はありませんが、大人があきらめてしまわないように、できるだけ理屈で考えて接するようにしてみましょう。

やれる方法がなくなったら、一旦そこで終わりにして、違う練習をすればいい。違う練習からひょんなことで、できなかったことができるようになることもありますので。

神経のつながりが見えない以上、柔軟な発想で自由自在に考え動くことが、あきらめずに子供をサポートし続けられるコツです。

【上級編】子供が楽しい・面白いと思えるツボを見つける

もしできるようでしたら、子供が楽しんで練習できるような、好奇心や興味を持って、走る練習って面白いと思えるような、子供のツボを探してみましょう。

例えば、徒競走のようなかけっこスタイルばかりで練習するのではなく、「〇〇おに」みたいな遊びや、バスケットボール、サッカーといった一見、徒競走とは関係ないように見えるものでも、楽しく遊んでいるだけで速く走れるようになることもあります。

ポイントは「楽しい」「もっとやりたい」と子供が思えること。楽しい感情や興味のある感情は、記憶にも残りやすいのです。

まさにゲームの法則をうまく利用できることが理想的な練習のスタイルです。

かけっこが苦手な子供の走り方を分析!速く走れない子供の7つの問題点

芝生を走る子供

では、「速く走れない」とは具体的にどういうことなのでしょうか。

次男はモーレツに足が速く、長男は全く速く走れない。

さらに私の陸上部経験から、速く走れない子供、そして発達障害の子供にある特性を考え、問題となるポイントを7つ挙げていきます。

スタートが遅い

運動会の徒競走は短距離走ですから、スタートが命だと言っても過言ではありません。

「ヨーイ、ドン」と音が鳴って、走り始めた瞬間、同じ組の友達が前を走っている姿が見えている状態であれば、スタートが遅いということになります。

そして、よっぽど足が速くないと、追い抜くことは難しい。

さらに自閉傾向がある子供の場合、予期できずになる大きな音にビックリして、走るどころではなくなることもあります。

低学年くらいまでは、雷管の音に慣れるように、幼稚園や学校の先生に相談してみてもいいかもしれませんね。

長男も、2年生までは運動会の練習の度に、担任が雷管の音に慣れる訓練をしてくれました。(鳴らす直前に「大きな音がなります」と声を掛けてから鳴らす。当日も同じ先生が同じ方法で対応する)

年齢と共に慣れてきますし、経験が増えれば大丈夫になってきますが、せめて、「ドン」と同時に体が反応して、走り始められることを目指した方がいいでしょう。

膝が上がっていない

次に紹介する膝下部分が前に出ないことと関係していますが、膝の高さがある程度ないと、すぐに地面に足がついてしまいます。

蹴り足の力が強ければ、スピードが上がる可能性もありますが、ちょこまかとした足運びでは倍近くの回転数がないと速く走るのは難しいと思います。

膝下(スネ部分)が前に出ていない

  • 速く走れないのは膝が上がっていないから→もも上げしなきゃ

これは結構知られていることだと思います。

しかし、ナチュラルに足が速い子の特徴は、膝下にあります。

膝が上がった時、膝下のスネ部分が直角のまま地面についてしまうのと、膝下のスネ部分が120度くらい開いて地面につくことを考えてみましょう。

その差、30度。

その30度の差が何メートルの差になるかは、

  • 後ろ足の蹴り上げ
  • 重心移動のスムーズさ
  • 足の回転の速さによる加速

などと関連してくると思うので、はっきりとした数字がわからないのですが、想像がつくでしょうか?

角度の差が生む距離×歩数=速く走れるか走れないかの差

当然ですが、歩数が同じであれば、角度の差が生む距離の倍々ゲームの差は明らかです。

また、角度の差が生む距離の倍々ゲームは、足が速い子は少ない歩数でゴールに着き、足が遅い子は歩数が多くなることもわかるでしょう。

要は、1回の蹴り上げる力や全体で使う体力が同じであれば、歩数が少ない方が1歩の力の質を上げることができると考えられますね。

足が遅い子たちが必死な表情でゴールに着くのに反し、足の速い子は涼しい顔をしてゴールします。

それは、単に全体的な体力の差だけではなく、この角度の差が生む距離の倍々ゲームによって、無駄な力を使っていないと読み替えることもできます。

足が遅い長男90度に対して、足が速い次男は120度くらいスネ部分が前に出ています。さらに後ろ足の蹴りはお尻に付きそうになっています。

要するにめちゃくちゃ足を開いているということになります。

足を開いても走れるだけの筋肉がないと、そしてうまく重心移動ができていないとスピードに乗ることができませんが、理屈としては膝下を前に出せるようになれば、単純計算で現状よりも速く走れます。

足の回転が遅い

短距離走での距離を同じ歩数で走った場合、回転が遅ければ足が遅くなりますよね。逆に言えば、足の回転を速くすれば速く走れるようになります。

足の回転は、足を動かす筋肉の問題なので、筋肉が追い付けば回転を速めることはできると思います。

腕が動いていない

足と腕は連動しているので、腕が動いていないと足も動いていないことになります。腕は上半身の重りのような感じになるので、腕をうまく動かすことで足の動きを助けることもできます。

足首が固い

子供によっては固くない子もいるかもしれませんが、中には足首が固い子もいると思います。

もし、トランポリンが飛べない、縄跳びが飛べないなど、その場で飛び続けることが苦手な場合、足首が固い可能性があります。

地面を蹴るときに、意外と足首は動いていますので、足の裏全体でドタッとついてしまうと蹴ることでのスピードをつけにくくなってしまいます。

また、ふくらはぎが固いと、足首も固かったりします。階段などの段差でかかとだけを下におろした時に、かかとがあまり降りない場合は、足首が固い状態です。

毎日、寝る前などに、足首を回したり伸ばしたりしてあげることで、足首を動かすということに意識がいくかもしれません。

重心の移動ができていない

ちょっとレベルが高い話になってきますが、走る速度に上半身がついてきていない場合、つまり反った走り方になっている場合、走る速度は落ちてしまいます。

また走っている時に頭の上下が激しければ、重心移動はスムーズに行われてはいない状態です。斜め前に走っているのではなく、真上に近い向きで飛んでしまっている、ということになりますね。

この重心移動がより鋭角になり、スピードを保てることが、速く走れるということになります。

足が速い次男は、走っている間は頭の位置がずっと同じなので、斜めに重心移動ができてているということになります。

振り返り|問題点がわかれば改善につなげることができるはず!お子さんの走りをよく観察してみよう

自然の中を走る子供

次男と長男の違いは、大きなところで重心移動とスネ部分の足の開きの差です。ここが同じになるだけで、ある程度の差は縮められると思います。

正直、スタートの速さスネ部分の足の開きをマスターするだけで、一気に速くなると確信しています。

ただ、足の筋肉がついてきていないと実際は走れませんし、重心移動や腕の振り、足の回転数で足を引っ張られる可能性があるので、結局は7つすべてが関連しているのですが。

長男はダンナと2年くらい走る練習をして、小4の時の運動会で初めて1位を取ることができました。

1年、2年、3年と悔しい思いをしてきた分、長男が1位で走ってくる姿を見ても信じられませんでしたが、地道に実力をつけた結果でした。

長男の場合、今回説明した7つの問題点すべてにひっかかっていました。実際に走る練習のメインはダンナが指導していたので、私は家で走り方の細かな分析と改善できる練習法を積み重ねました。

今回ご紹介したのは、長男の走り方を改善するにあたり、長男次男の走り方を動画撮影などで客観的に分析し、私の陸上部時代の経験を元に考えた結果です。

すべての子供に当てはまるとは限りませんが、ある程度似た特性があったり、速く走れるきっかけをつかむヒントになるかもしれません。

ここに1つの成功例がありますので、参考にしていただき、ご自分のお子さん用にカスタマイズしてみてください。

次回は実際の練習法を【実践編】としてご紹介します。合わせて参考にして、少しでも速く走れる感覚をつかんでいただけたらうれしいです。

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