発達障害の子供は縄跳びが苦手?飛べない理由と飛べる可能性

発達障害

発達障害の子供の中にはとても不器用であったり運動が苦手な子がいます。

縄跳びを飛ぶ姿を見て、真似して飛ぶことが難しい。要するに見て真似することが難しいタイプの子供がいるということです。

発達障害の子供は縄跳びが苦手なの?飛べない理由とは?

縄跳びを飛んでいる壁画

当然ですが、発達障害だからなわとびが飛べない、ということではありません。ADHDの子供には運動神経がバツグンにいい子もたくさんいます。

冒頭でもお話ししましたが、見ただけですぐに自分の体で真似を出来る子と、出来ない子がいるというお話しです。

ではなぜ、真似できる子と出来ない子がいるのでしょう。何が違っていて縄跳びが「飛べない」現象がおきるのでしょうか?

見たものを真似できない|ミラーニューロンがうまく働いていない?

脳科学のお話しになるのですが、見たことを真似するには脳神経のミラーニューロンというものが関係していると言われています。

ミラーニューロンの機能については多くの説がある。このようなニューロンは、他人の行動を理解したり、模倣によって新たな技能を修得する際に重要であるといえるかもしれない。

ミラーニューロン/フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

この神経がつながっているので、他者を見て真似をすることができたり、他者の行動を理解したり共感したりできるのですが、中にはこの神経がうまくつながっていない子もいます。

発達障害だからなわとびが飛べないのではなく、発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害の子供はこのミラーニューロンがうまくつながっていないのではないか、と研究している人がいるそうです。

ミラーニューロンの欠陥と自閉症との関連を指摘する研究者もいる。一般的な子供では、ミラーニューロンの活動の指標であると信じられている、他者の動きを見ている際の運動野における脳波が抑制されている。しかし、自閉症の子供ではこのような抑制は見られない。また、自閉症の子供は模倣の際のミラーニューロン領域の活動が比較的低い。

ミラーニューロン/フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

自閉症の子供が、相手の表情から気持ちを読み取れなかったり、動きを自分の体で真似することが苦手だったりする原因がここにあるのならば、納得がいくなと思ったのです。

自閉症スペクトラム障害を持つ成人の脳では、健常な成人と比較して、ミラーニューロンに関係しているとされる領域に解剖学的な違いが見つかっている。このような領域は全て、健常者に比べて薄くなっており、その薄さは自閉症の度合いと相関していた。さらに、この相関は他の領域では見られないものであった。この結果に基づき、自閉症はミラーニューロンの欠如によって生じ、社会的能力や模倣、共感、心の理論の障害を起こすと主張する研究者も存在する。しかし、この様な理論はいくつもある自閉症の理論の1つに過ぎず、いまだ証明されていない

ミラーニューロン/フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

もしかしたら関係があるのかも、と研究されているだけで、科学的な証拠があるわけではないのですが、自閉症スペクトラム障害の子供は、他人の動きを見て模倣する事が神経的に難しいかもしれないという可能性があることを知っておいていただきたいのです。

だから、自分の子供ができないのか、とあきらめたり嘆くのではなく、一生懸命「こうだよ」と自分の動きを真似させてもそれは難しいから、真似する以外の他のアプローチを試してみた方がいいよ、ということです。

興味のある1か所しか注目していない説|自閉症スペクトラム障害の子供に見えているもの

自閉症スペクトラム障害の人は、物の見方に特徴があるという研究があり、1つずつにしか注目していないのかもしれないと言われています。

参考:自閉症の人には、こういう風に世界が見えるんだ(研究結果)

自閉症を勉強し始めた頃、ペットボトルの中から飲み口を見るように1点を見ると知りました。

本だったか、医師や心理士から聞いたのか、ネットの情報だったのか定かではないのですが、それ以降、物の全体をバランス良く見るのは難しいんだな、と思うようになりました。

そう考えると、縄跳びのように体全体の数箇所が連動し合っているような動きを真似することは、自閉症の子供にとってはかなり複雑なことになってしまうと思うのです。

発達障害の子供が縄跳びを飛べる可能性

縄跳び

当然ですが縄跳びを飛べる可能性は誰にでもあります。

飛べるようになるまでの過程は、人それぞれ違うということです。

運動神経がいい親であれば尚更、自分の子供が縄跳びを飛べない理由がわからず、「こうすればいいんだよ!」と子供の目の前で飛んで見本を見せるでしょう。

しかし、先ほどのミラーニューロンことが関係しているのであれば、子供が見て真似することは難しい。なら他にはどんな方法があるのか?ということを、子供に合わせて模索する必要がでてきます。

大人も子供もあきらめが早すぎると思う説

私の感覚で申し訳ないのですが、ちょっとやってできないと「できない」という結論を出す人が本当に多いと思います。

できないなら、1000回くらいトライすればよいのです。その1000回、毎回違う方法で、次はここに注意して、こんな風にやってみようなど違う1000回のトライのいくつかは、必ず飛べるきっかけをつかんでいるはずなんです。

見て真似してみる→できそうな気配がない→うちの子は縄跳びが飛べない

結論出すの、早すぎです。まだ何もやってないでしょ、って思います。

私は何をするにもちょっと時間のかかるタイプでしたので、あれこれ試行錯誤しながらできるまであきらめずにやり続け、出来るようになったタイプです。

だから運動神経がいいわけでもなんでもないですが、できない理由があること、できる方法は人それぞれ違うことを知っています。

もちろん、途中で何回も心が折れるしやる気もなくなるでしょう。連続して練習できない日もあるでしょう。

でもそうやって、1つずつできるようになっていくのではないでしょうか?誰だって1回で歩けないし、1回で自転車に乗らないでしょう?

ちょっとずつちょっとずつ練習して積み重ねてできるようになるはずなんです。なぜか、縄跳びはすぐ飛べると思ってしまっているのかもしれません。

というわけで、できないと判断を下す前に、縄跳びなんて飛べなくてもいいやとあきらめる前に、やれるだけやってみましょう。

それでも無理そうなら今はまだ、発達が追い付いていない・飛べるだけの情報がないと思いましょう。できないという判断は、それからでも遅くないです。

発達障害の子供におすすめの縄跳びは軽すぎずよれにくいものがベスト

縄跳びなんてどれも同じなんじゃないの?という方もいるかもしれませんが、私は飛びやすいものと飛びにくいものがあると思います。

人それぞれの好みもありますし、体育の先生やスポーツ系の先生方のさまざまなご意見もあるでしょう。

使う本人が使いやすければ何でもいいと思いますが、縄跳びを飛ぶのにちょっとしたコツが必要になる発達障害の子供には、縄の特性上、まわすことだけに特化できるものがおすすめです。

  • 少しまわせば遠心力で勝手に縄がまわってくれるもの
  • 力で縄をまわしても空回りしないもの
  • 縄がよれないもの

この辺りがカバーできる縄跳びであれば、どんなタイプでも大丈夫だと思います。

縄跳びは鉛筆や消しゴムと同じ、消耗品だと思って、学校用に1つだけ用意するのではなく、さまざまなタイプのものを買い、子供が一番使いやすいものを探しましょう。

家での練習用や予備にもなりますよ。

軽すぎない縄跳び

縄が軽すぎると空回りしやすくなってしまうので、ある程度の重みがあるものがいいと思います。

100円均一の縄跳びは、そういう意味で考えると軽いなわとびだと思います。ただ、子供によっては100円均一に売っているタイプの縄跳びじゃないと飛べない子もいます。

子供に合わせて選んであげてください。

縄がよれにくい縄跳び

  • 縄をまわすこと
  • 縄を飛ぶこと

この2つに集中するので、グリップにまでは気がまわらないと思います。

せっかく頑張って連続して飛んでいたのに、縄がよれて足がひっかかってしまったら、それこそ予測不可能な急なできごとにパニックを起こしそうなので、極力よれにくいタイプの縄跳びを選ぶことをおすすめします。

本人の頑張り度合いや機嫌、調子の良さによってその辺りは変わってくると思いますが、そんな状態に対応するのは基本親ですよね。

飛ぶことに集中してもらいたいですし、正直なわとびでパニックとかめんどうなのでケチらないことをおすすめします。(値段が高いからよれないわけではないのですが)

または、縄を短くするときは思い切って切ってしまう、さらに2・3回おきに縄のよれを確認するといいでしょう。

おすすめの縄跳び3選

私が実際に飛んでみて、これなら縄をまわしやすく飛びやすいなと思って子供達に買っている縄跳びをご紹介します。

アシックスの縄跳び【次男使用】

グリップが細めで持ちやすく、軽すぎないけど飛んだ感じは軽い感じがして飛びやすい。運動神経バツグンの次男が愛用している縄跳び。

瞬足の縄跳び【長男使用縄跳び】

グリップにスポンジがついているので、しっかりと握っている感覚が良い上に、汗ですべってグリップが飛んでいってしまうことがない。軽すぎない縄の重みでちょうどよくまわせるようで、自閉症スペクトラム障害の長男でも2重跳び以外はクリアした縄跳び。

クツワのスポーツなわとび【初代長男用(予備用)】

縄跳び練習を始めた頃に使っていた縄跳び。当初、長男は軽くてうまくまわせなかったのですが、ちょっと重いとその重さにひきずられて腕が大きく回り過ぎたので、多少軽めの縄で練習しました。今も家での練習できる予備用として1本、家の中で練習するように1本はこのスポーツなわとびを使っています。

振り返り|発達障害の神経のつながりを理解し子供に合った方法を見つければ縄跳びは飛べる

手をつないで飛ぶ4人の子供

同じ人間でありながら、人間には得手不得手がある。不思議なものですよね。と同時に何が違うのかにモーレツに興味があります。

発達障害の子供は、いろいろとできないことが多いと思われがちなので、子供が意気消沈していないようであればできるだけサポートして「できる」を体験してほしいと思います。

ポイントは、サポートがあればできるということ。飛べないことには何かしらの要因があるということに気づき、支援する大人たちがどれだけ子供に寄り添えるかだと思います。

縄跳びの飛び方について具体的な教え方は次回詳しくご紹介する予定です。

叱咤激励するのではなく、大人らしく、理路整然と論理的に子供たちをサポートしていきましょう。

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