学習障害の長男が絵を描く練習をすること6年、点つなぎでさえ難しかったのに、学校指定の小さなマスのノートにきっちりと字を書けるようになりました。
書字に関しては通常級で過ごすことが難しいという医師の判定がありながら、普通級で無理なく過ごせているのは、地道に絵を描く練習をした成果が字を書くことにつながったからだと実感しています。
学習障害、今回は書字障害ですが、脳のしくみ的に難しい子供であっても、学生時代は何かと字を書かないとやっていけないことも多いもの。
タブレットなどのツールを使うことに抵抗のあるお子さんの参考になればうれしいと思い、長男の記録をご紹介します。書字障害のお子さんへ、絵を描くことで字を書くトレーニングにつながるかもしれませんよ、というお話しです。
絵を描くことで書字障害でも字は書けるようになる!

長男は幼少期の頃から絵を描きませんでした。「うまく描けない」と言って、お絵描きをやりたがりませんでした。子供なんだから、うまく描けるわけないじゃない、と思っていた私とは違う違和感を、長男はすでに感じとっていたのでしょう。
字を書くことが難しい子供がいるということを知らない大人
そんな長男は、字を書くことも難しい書字障害でした。マスの中に字を書けない、見本を見ながら真似をして書けない、ひらがなやカタカナは何とか頑張れたけど、漢字の練習は地獄絵図のように辛かったようです。
そんなことは知らない担任と親である私は、何とか字を書かせようと頑張ってみましたが、うまくはいかず、長男のメンタルに悪影響を与え続けてしまいました。
点すらつなげなかった長男の書字障害
市販されているワークの点つなぎすら、うまくつなげず、三角の形もうまくかけませんでした。
まだ学習障害の診断がおりていない小1の頃、 長男は字を書くことが難しい、 そう悟った私は鉛筆の練習として長男に絵を描くことを勧めました。
アニメのキャラクターでも、家の中にある物のスケッチでも何でもいいので、毎日の日課として、ちょっとしたイラストを描くことを長男に勧めました。
始めは何を書いてもうまくいかなかったのですが、次第に少しずつ鉛筆の動かし方のコツをつかみ、3Dを平面に描くコツをつかみ、ちょっとずつ、少しずつ、鉛筆と友達になった、という表現が適切かもしれません。
アニメキャラの絵を描き続けること6年|小さなマスにも普通に字が書けた!
平日は宿題で手一杯なので、夏休み、冬休み、春休みなどの長期休みを利用して、毎日1つずつ絵を描くこと6年。
今ではアニメキャラもそっくりに描けるほどのスキルを身に付けた長男は、4年生あたりから、みんなと同じマスの大きさのノートに字を書けるまでに成長しました。
それまでは1年生が使う大きなマスのノートを使っていたのですが、4年生になったある時突然、クラスのみんなと同じサイズのノートを使い始めました。
疲れていると読めない字もありましたが、とりあえずは何を書いているのか読める字を書けるようになっていたことに驚きました。
発達が遅れている発達障害だからなのか、それとも、学習障害という一見、改善しなさそうな障害がありながらも、地道に鉛筆の練習をしてきた成果なのかわかりませんが、小さなマスのノートに字が書けるようになっていた。
これは事実です。
みんなと同じノートに書けるようになったことで、書字障害の診断を受けながら、長男本人は「僕は字が書ける!」と断言し、ノートやテストの書字に関して、配慮を受けることを拒んでいます。
自分にできる方法で、参加できるところに参加する、というスタンスではありますが、担任もうまく認めてくれているので、小学校時代後半は、字が書ける子というカテゴリで過ごすことができました。
点と点をつなげると字は書ける!
字は細かな点のつながりです。点と点をつなぐことで、字や漢字は書けるわけです。空間把握や空間認識の問題、目の動きの問題、書字障害にさまざまな問題があるのでしょう。
しかし、学習障害という本人や親、学校の先生でさえもわかりにくい障害の場合、字が書けないということは理解されにくい障害であることは確かです。
例え書字障害がわかったとしても、学校によってはタブレットを許可してもらえないことも多いのが今の現実です。
結局、何かしらの形で書かなければ、テストもノートも書けなくなる。納得はいかないのですが、書かなければテストの点数もでない現状。
今、私たち親が、その辺りのことを訴えたとしても、学校の制度が変わるには時間がかかります。学校の先生たちが柔軟な対応をしてくれない学校なのであれば、こちらが対策をするしかないのも現実なのです。
大切なことは、子供が自己肯定感を失わないこと。決して子供本人に問題があるわけではないということ、特性上、書くことが難しいだけであって、書けない分、何か別の才能が秀でているのかもしれないということを、親が理解しましょう。
字は、点と点でできています。絵も点と点のつながりです。ならば、好きなアニメキャラの絵を練習することで、副作用的に字もかけたらうれしいな、と思ったわけです。
やれるだけやってからあきらめても遅くない
結果として、長男は字や絵を描くことはできるようになりました。手と指を使って鉛筆を動かすことはできるようになりました。
それだけですが、「字を書けないかもしれない」と思っていた6年前の当時に比べると、「やらない前にあきらめるのは違うのかもしれない」という思いでいっぱいになります。
書字障害の子供に鉛筆の練習をさせるなど、拷問なのでは?!と思う方もいるでしょう。しかし私は、拷問なのではなく、人間、必要な神経は使い続けることで多少はつながる!というあきらめきれない思いを持ち続けただけ。
その結果、長男は字を書くことが苦痛ではなくなったのです。その背景には、長男自身が、友達のように自分も字を書けるようになりたい!という強い思いがあったと思っています。
私の思いよりも、長男本人も思いが強かったことが、字を書くことにつながったのではないか、と感じています。
書字障害の子供でも描ける絵の描き方トレーニング法

もし、お子さんが、字を書くことは苦痛以外の何物でもないと思っているのであれば、早々にガジェットを使用する方向に切り替えることをおすすめします。
うちは、長男がクラスのみんなと違う方法を嫌がったので、鉛筆の練習をしたまで。それぞれのお子さんの要望に合わせて、検討してくださいね。
写し絵用の紙を使って好きな絵を描く
いきなり絵の練習をしても、ある程度うまく描けなければ心が折れてしまいます。私は漫画家になりたかったので、アニメキャラを描くことは得意です。実物をスケッチすることも素人レベルですがある程度スキルを持っています。
その辺りを踏まえた上で、敢えて長男には写し絵で好きな絵を思いのままに書いてもらうことを勧めました。長男、小学1年の時です。
写すイラストは何でもいいのですが、おすすめは塗り絵です。線が太くて絵がわかりやすいから。でも、漫画でも絵本でも何でもいいです。思った通りに絵を描けるという体験が重要です。
お絵かきボードで自由に絵を描く
お絵かきボードも、指先を動かすと言う意味では面白いと思います。長男は大きいサイズとミニサイズを使って、気が向いた時にいつでも使えるようにしていました。ミニサイズは主に外出中に使いました。
外食待ちや電車の中で、重宝しましたが、待ち時間は格好の鉛筆トレーニング時間でした。
何よりも消しゴムが苦手な長男でしたので、消さなくてもいいお絵かきボードはストレスが少ないツールだったようです。
フィンガーペイントで絵を描く感触をつかむ
鉛筆やペン以外では、フィンガーペイントに力を入れました。鉛筆が難しいなら、指で直接書けばいいではないか!と思ったのが始まりです。
幼少期にもフィンガーペイントでお絵かきを楽しむことはやっていましたので、そのまま小学生になっても続行しただけ、という感じでしたが、指で形を描くということは何かを描くという感覚を得るにはちょうどいいと思いました。
家にある物(何でもいい)を絵で描いてみる
コップ、おもちゃ、電化製品、何でもいいので1日1個、絵を描いてみるという練習をしました。残念ながら過去に書いた長男の絵を捨ててしまったのでサンプルがないのですが、立体をどうとらえているのか、と言う認識を親が理解するのにも役立ちます。
お題を出して描いてもいいですし、子供本人に決めさせてもいいでしょう。ポイントは、何を描いても「よく描けてる」とほめること。
本格的なスケッチを望んでいるわけではなく、鉛筆トレーニングが目的であることを忘れないようにしましょう。
ビジョントレーニングと点つなぎを日課にする

ネットで検索するとたくさんのビジョントレーニングの方法が載っていますので、参考にしてください。
さらにステップアップしたいなら!日常的に鉛筆で字を書くトレーニング法

基本的には、ビジョントレーニングをやって、毎日絵を描くだけで字を書くトレーニングになるのですが、さらに効果を発揮したい場合のひと工夫をご紹介します。
かわいいメモを使って書きたいモチベーションをUP!
ちょっと変わったメモやかわいいメモを買ってあげると、何か書きたいので字を書くモチベーションがupします。
低学年よりは高学年になってからの方が効果があるでしょう。なぜなら、低学年の場合は、学校に持っていくと、先生に没収されます。
高学年になると、その辺はうまく対処するので、友達同士でメモを交換したり手紙を書いたりするので、字を書くモチベーションにつながります。
長男の場合は、連絡帳替わりにおもしろメモを使っていたこと、さらにはクラスメイトからの注目度もあがり、メモ集めを趣味にしていたおかげで、学校生活が楽しくなったようでした。
読むことに関しては、友達が変わりに読んでくれている長男の学校生活でしたが、書くことに関しては基本的に長男が自分で書いて過ごすことができたのも、友達の理解と、ちょっとしたひと工夫のおかげかな、と思っています。
大量の色鉛筆を買って色の塗り方をマスターする
色鉛筆はできるだけカラーが多いものを購入し、好きなように色塗りができるような環境にしておくことをおすすめします。
色を塗る、ということも鉛筆トレーニングにはピッタリですので、アニメキャラの色とできるだけ同じ色があった方が望ましい。
また、学校で使っている色鉛筆とはケタ違いの本数の色鉛筆を持っているということは、若干ですが優越感につながります。
なぜなら、誰も大容量の色鉛筆を持っていないからです。高い買い物ではありますが、普段、できないと感じてしまうことが多くなる学習障害の子供には、うれしい持ち物になります。
スケッチブックやコピー用紙など紙と鉛筆だけは好きなだけ使える環境にする
絵を描く紙や鉛筆だけは豊富に用意しておいてあげましょう。高級なものを用意する必要はありません。
うちは、絵を描く紙はコピー用紙、専門的に書きたいならスケッチブックと決めています。スケッチブックはさまざまなサイズのスケッチブックを買って、好きな時に好きなように絵を描けるようにしています。
スケッチブックはリングタイプではなく、1枚ずつに取れるタイプが便利です。
鉛筆も、学校の鉛筆以外に4Bなどのやわらかめを買っておき、スケッチには4Bがおすすめだと長男に話してあります。
色鉛筆用の消しゴムもありますし、電動消しゴムやカーブを描く時に使う雲形定規もコンパスも用意してあります。
フリーハンドでは、思うような線が書けなくても、道具をうまく使うえば理想に近づく線を書けるということを知ってもらいました。
振り返り|絵を描くことで細かな指先の調整をトレーニングできたことがカギ

小学校時代は鉛筆で紙に字を書くことが学校生活の大半を占めています。ならば、紙に線を描くことさえできればいいわけで、それはトレーニングで少しは上達するものだと思っています。
どんなに難しいことであっても、日常生活に必要なものは、脳が必要だと判断すれば少しずつでもできるようになる、というのが私の理論。
完璧を目指さなければ、最低限必要なレベルまではナントカなることもあるのです。
書きたい漢字と実際に書いた感じが違っていても、線を書いて字の形になっていればOK。私はそのくらいゆるーい感じで長男の字を見ています。
長男の場合は、字を書くことよりも思い出せないことが原因で漢字が書けないという理由がわかっているので、思い出せない部分に関してはツールを使うように勧めていますが、長男本人は気が進まない様子です。
それも、長男の人生。私にできることは、鉛筆トレーニングまでです。ここから先は長男が自分で決めていくものですから、私は見守るのみ。
お子さんの書字障害のレベルにもよると思いますが、やれることをやったら、後悔も少ないし、親としても納得ができると思います。
最終的にどうしたいかは、子供本人が決めること。この点に関しては親であっても口出しできない部分であることは理解するようにしましょうね。
コメント