いろんなことに気づき過ぎてしまう敏感気質を持つHSCの子供達。習い事をさせたくても、親の方も気がかりになることがあると思います。
今回はHSCの気質を持つ子供の習い事について多方面から考えてみたことをお話します。HSCの子供の習い事に迷っている方の参考になればうれしいです。
HSCの子供に合う習い事とは?習い事選びに迷う理由
まず、子供が習い事をしたいと言っているかどうかを確認してみましょう。
子供が何か習い事をやってみたい、と言っているなら検討してもいいですが、特にやってみたいと言っていないうちから親がやらせることには、いくつかの条件が必要だと思います。
子供に何を習わせたらいいのか迷っている親は結構多いです。なんで迷ってしまうのか、その辺りを考えてみました。
子供が習い事をやりたいと言っていないのに親が習い事をやらせたい理由
まずは親が子供に、習い事をやらせたいと思う理由を考えてみましょう。
親の不安解消のため
おそらく一番多いバターンが親の不安解消のためでしょう。
・同じ幼稚園の○○ちゃんが習い始めたから
・脳トレにいいって聞いたから
・習い事はできるだけ早く始めた方がいいって言われているから
・勉強についていけなくなったら子供がかわいそうだから
これ、どこにも子供が習いたい!と言っていないのです。全部親の思いですよね。水泳・体操・習字・英語・公文あたりは、結構親の思いが多いような気がします。
私も親なのでわかるのですが、やっぱりこれは理想の子ども像に自分の子供を近づけようとしている結果なのかなとも思っています。
子供が習いたいと言ったから
次に多いと思われる理由は、子供が習い事をやりたいと言ったから、興味を持ったから、じゃあやってみようか、というパターンですね。
これは習い事を始める理由としては一番理想のパターンだと思います。
ただし、習いたいと言ったからと言って、子供に合った習い事だったか、先生との相性がいいのか、ということはまた別の話です。
子供にスキルを身に付けさせたいから
これも親の不安解消と種類は同じでしょう。「芸は身を助く」ということわざもあるくらいですから、半ば本当のことだというのはわかります。
実際、私も全くの趣味で習っていたピアノで、大人になってから突然ジャズを始め、演奏の仕事に出るようになりましたからね。
父親のクラシック好きと、友達がピアノを習っていたことをきっかけに自分もやってみようと思っただけ。本当にただそれだけです。
将来のことなんてこれっぽっちも考えてないし、好きで習っていただけで大して上手くもなかったし、先生から才能があるなんて1mmも言われたことはないので、親も何の期待もしていない習い事でしたが、結果として、才能のあるなしに関係なく、将来の副業に結びついたんですよね。
ジョブズで言うところの「点と点がつながる」ってヤツですね。
子育て中は、教室でピアノを教えられなくなり、演奏にも出られなくなりましたが、楽譜作成の仕事をしたり、作曲をしたりと意外とピアノから膨らむ仕事もあり、本当に芸は身を助く状態であることは間違いありません。
ただし、私の場合は、たまたま音楽が好きで(幼少期から歌しか歌っていないくらいの音楽好き)、楽譜が読めなくてもなんとなくピアノが弾けたから、という何かしらの条件が一致したからこうなっただけのこと。
親がスキルを身に付けさせたくてもうまくいくとは限らない。でも賭けてみてもいいとは思います。まずは子供に聞いてみましょう。
親(親族・近所の知り合い)が習い事の先生だから
習い事の先生をしている親の子供の大半は、親に習ったことがあると思います。私の親もの習字の先生でしたが、姉妹もれなく習字を習いました。
しかも親なので、相性云々も関係なく、半強制ですね。しかも、習字の先生の子供なんだから習字が上手くて当然、という暗黙のプレッシャーが友達からも友達の親からもありました。
よくも悪くも、私もなんとか4段になるまでは続け、学校の書初め大会的なものでは金賞をとったりしましたが、そうじゃないといけない雰囲気満々で本当にイヤでしたね。
今となっては、そんなこと関係ないなって思えますが、それが子供時代なのでしょう。きっと、親が習い事の先生をやっている子供は、同じような思いを抱きつつ頑張っているか、反発してやらないかのどちらかでしょう。
私の場合は習字だったので、できて損はない習い事という結果になりましたが、決して楽しいとは言えない習い事でした。
親が習い事を提示した方がいいと思われるパターン
生まれて何年も経っていない子供達。どんな習い事があるのか、そもそも習い事って何なの?という次元で生活していますよね。
毎日、今の遊び、目の前にあるもの、興味や好奇心に夢中な時期でもあるでしょう。
- 子供達の視野を広げる
- 新しい分野があることを体験させる
という意味では親が習い事を提示してもいいと思います。
その場合は、こんな習い事があるよ、と子供を体験に連れて行き、やってみたいと合意を得た上で始められるといいですね。
強制はあまりおすすめできないのですが、子供の性格によっては強制から始めたものが結果面白くなったり、経験や技術が身に付くこともありますから、一概に強制はやめた方がいいとは言えないのが、習い事選びの難しいところだと思います。
親がやらせておいた方がいいと思うパターンとして、私が考える習い事は次の3つ。
- 身を守るもの(空手・柔道・剣道・護身術などの武道系)
- 体力をつけるもの(水泳・サッカー・バスケットボールなどの持久系)
- 身に付けておきたいマナー・学力を補佐するもの(習字・そろばん・ピアノなどの学力系)
この3種類のパターンに当てはまるような習い事であれば、多少恨まれても子供自身は損はしないんじゃないかな、と思います。あくまでも私の想定ですけどね。
結局、習い事は子供次第なので、子供としっかり向き合って話合ってから決めていきましょう。
HSCの気質に合った習い事を見極めるポイント
子供の習い事を検討する際、HSCの気質を持った子供だと、何に気を付けたらいいのか、私なりに考えてみました。
HSCとは?意味や気質を簡単におさらい
HSCとは?
- HSC=エイチエスシー
- HSC= Highly Sensitive Child(ハイリーセンシティブチャイルド)の略
です。
HSCのことが詳しくわかる本。図書館でも借りれると思います。
HSCの意味とは?
HSC(Highly Sensitive Child) – 生得的過敏性を備えて生まれた子供のこと。エレイン・N・アーロンによって命名された。ハイリー・センシティブ・パーソンも参照。
HSC/フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テッド・ゼフの著書「The Highly Sensitive Person’s Companion」による定義では「産まれたときから幼少期に渡り説明のつかない体験を繰り返し、HSPはなく生まれた人より五感が鋭く、精密な中枢神経系を持ち、良い刺激にも、悪い刺激にも強く反応する感受性の強い人達」[3]とされる。
ハイリー・センシティブ・パーソン / フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
感覚が敏感で、疳(かん)の虫が・・・と言われるタイプの子供かなーと思っています。
HSCが知られるきっかけになったエレーン・N・アーロン博士の本。
HSCの気質とは?
【HSCの気質の基本】
- いろんなことに敏感に反応し、良く気が付くことができる
- 周りの空気を細かいレベルで察知する
【付随する気質の例】
- 突然の刺激や急な変化に圧倒される
- 他人の感情に影響される
- 行動を起こす前深く考える(考えすぎて動けないという結果にもなる)
- 行儀良くふるまうことができる
【HSCのタイプを大きくわけると】
- 手がかかるタイプ・・・活発で感情の起伏が激しい
- 手がかからないタイプ・・・物静かで聞き分けが良く内向的
参考:What is a Highly Sensitive Child?/The Highly Sensitive Person
大まかにまとめるとこんな感じでしょうか?
HSCのタイプを大きく2つに分けた例で考えると、
- 手がかかるタイプ=育てにくい子
- 手がかからないタイプ=育てやすい子
になるのかな。と思っています。HSCの例で言うと、の話ですけどね。発達障害とか他はまた別の話なので。
HSCの気質があるからこその習い事のメリットとは
気質の例で言うところの「他人の感情に影響される」ですね。この部分が習い事では大きく影響すると私は考えています。
気の合う仲間や意識が高いところに入れば、影響されてやる気満々になる場合があります。環境による影響が大きいHSCタイプはここからのメリットは大きいでしょう。
逆に言えば、マンツーマンのレッスンだとしても、先生の機嫌1つで子供が習い事に集中できるかできないかの差は大きいのではないかと思っています。
また、次男のように、先生の感情が表す目的(授業時間内に生徒に○○をやらせたい)がわかってしまうと、先生のやり方よりも合理的な方法を考えついてしまったり、逆に嫌気がさしてしまったり(結局は先生の目的であって生徒に合わせていない所が納得がいかない)して、モチベーションが激下がりすることもあるわけです。
次男は、かなり手のかかるタイプですので、例にはふさわしくないかもしれませんが、結局はそういうことなのです。
今、習い事をさせようか迷っているあなたのお子さんが、どんな気質を持ったタイプなのかによって、どんな習い事をしたとしても、うまくもいくし、失敗もする。可能性は半々で、やってみるまではこれがベストだ!ということは難しいと思うのです。
逆に言えば、多少子供の興味が少ない習い事であったとしても、一緒に習っている仲間がめちゃくちゃ楽しそうにやっていて、頑張って成果も見えて、先生もいつでもウェルカムみたいな感じだったら、子供にとっては心地のいい居場所として、習い事の立ち位置が良きものとなると思います。
それこそ、スキルも上達するでしょうし、達成感なんかも感じられたら、自己肯定感もアップするという最高の歯車に乗って習い事生活を送る事ができるでしょうね。
HSCの気質があると習い事で起こるかもしれないデメリットとは
先程のお話しと少しかぶりますが、 「他人の感情に影響される」 ので、先生を始め、一緒に習っている子供の感情に影響されてしまうことが考えられます。
一時的に影響されるだけならまだしも、○○ちゃんに嫌われている気がする、と思いこんでしまったり、先生はできるって言ったけど、僕はできそうにない、と自身を失ってしまったり。
すべてはHSCの子供の中だけで考えている妄想だと思うのですが、行動を起こす前深く考える気質上、考えすぎて行動を起こせなくなって、みんなは頑張っているのに自分はできないなんて・・・と自己否定に入るという悪循環パターンが考えられます。
これは、習い事をやっているのに、自己肯定感が下がるという親としては望ましくないパターン。
それもこれも、良く気が付くということから始まる敏感気質ならではの話で、要は勝手な悪循環パターンの妄想を止めればいいことなんじゃないかなと思うのです。
いろんな気質が掛け算になると、びっくりするくらい行動的になるタイプと、びっくりするくらい動かないタイプと、その両方を併せ持つタイプがいるような気がします。
で、最悪、うつ系の心の病気になってしまったり、勝手に自信をなくして被害妄想に苦しんだりしていまうというデメリットが考えられます。
【親にできること】HSCの気質によるデメリットにハマらずメリットを活かす方法
では、HSCの気質によるデメリットという泥沼にハマらず、メリットを活かしたい場合、親にできることは何なのでしょうか?
妄想は考え方の癖のようなものではないか?癖のパターンを変えればいいのでは?(花緒流)
妄想(もうそう、英: delusion)とは、その文化において共有されない誤った確信のこと[1]。妄想を持った本人にはその考えが妄想であるとは認識しない(むしろ病識がない)場合が多い。
妄想/ フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「他人の感情に影響される」 という気質が、派生する妄想を生んでしまい、さらには深く考えることで行動を止めるような妄想に発展するのであれば、妄想を止めればいいのではないか、とデメリットの項目でおはなししました。
妄想自体、神経の過活動が原因で起きる現象なので、敏感気質である以上、神経活動が活発過ぎてちょっと行きすぎちゃったりするのかなー。
しかも、まだ子供ですから、データーベースとなる情報が大人と比べて圧倒的に少ない。ですので、悪循環パターンにハマる前に、考え方の癖のベクトルを、少し違う方へ動かしてみれば良いのではないか、というのが私の仮説です。
あくまでも私の仮説であることをご承知おきくださいね。
子供への接し方はアドラー心理学がとても参考になります。
考え方の癖のベクトルを変える方法(花緒流)
わかりやすくするために、細かめに項目を分けたら9つもありました。
現状の認知を確認する
まず、習い事に関係する妄想らしきものを察知したら、親は、現実か子供の妄想かを判断します。現実なら何かしらの対応・対処・対策などをしていただき、妄想なら次に進みます。
その後の行き過ぎる思考回路を一時停止
○○ちゃんに嫌われた、先生に「頑張れば勝てる」と言われたが、私はできないから習い事に行けない、というたぐいの軽い妄想で、尚且つ、現実ではなく妄想だと判断できた場合、「ちょっと待って」と子供の思考回路を一時停止します。
いつまでもどこまでも何時間でも妄想し続けるので(その時点で別の才能ありですが)、一旦止めて話をしましょう。
子供に行きすぎた旨を報告
「ちょっと待って」と子供の思考を止めた後、思考が行き過ぎているという話をします。
子供を怒らず、否定せず、イヤな思いをしたねとか、勝てるか心配なんだね、という風に子供を受け入れた上で、考えがちょっと行き過ぎたと話してみましょう。
子供は「ん?」となりますが、それでOKです。
子供の妄想だったのではないかという仮説を立てる
実は全部子供の妄想だのではないか、という仮説を立て、子供に聞いてみます。
○○ちゃんに嫌われた、というのは子供の考えすぎで、何でそう思うのか、何があったのかを聞いてみましょう。その上で、子供の頭の中だけで考えた妄想なのではないか、という話をしてみましょう。
本当の現実を再確認してみる
できれば現実をしっかりと確認したいところ。ただ、友達関係の好き嫌いは聞きにくいですし、聞かれた方も本音を答えにくいですし、お互いに気をつかって本心と関係ないことを言うかもしれません。
そうなると、敏感気質の子供は、相手のウソを見抜き、「ああ、やっぱり」的な考えにおちいります。それじゃ、意味がないよねって話しです。
なので、現実的にどうなっているのか、目に見えない感情に関しては、聞きにくいけど聞いてみる、または別の人の意見(親とか先生とか)を聞いてみるといいかもしれませんね。
現実を再確認した時の感情を改めて感じ取る
では今起きた現実を再確認してみて、再度、今の感情を確認しましょう。最初と同じか、最初とは全く違う感情なのかを改めて感じ取っていきます。
本人が感情の違いを認識できることがこの項目の目標です。
感情と行動・言動に差がないようにサポート
理想は、感情と行動・言動に差がないようになることが一番。本当はやってみたいけど、お母さんに反対されそうだからやってみたいと言えない、を失くしていくということです。
思ったこと全部を口にしていい、ということではなく、人に気をつかって自分の行動を制限してしまう系のことを失くしていきましょう。
そのためにできることは、本当は子供は何を言いたいのか、を親がくみ取るしかないです。「ママ、お腹すいたなー」ではなく、「ママ、おやつが食べたいな」にする。
親の方も子供の気持ちを察知して、次の行動を先読みした行動を起こさないということです。
お腹すいたなー、に対して、じゃあおやつでも食べたら?と返さないということ。お腹すいたなー、には、「あら、そう。じゃあ、どうする?」と返してみる。「おやつが食べたいな」と言えたら、「どうぞ。好きなものを食べてね」みたいな感じにする。
サポートというより、ちょっとした認知行動療法的な訓練かもしれない。
子供が自分1人でもできる認知行動療法の本。物語的なワーク感覚なので、1冊読み終わるのが結構あっという間。このシリーズは子供用ですが親の対策の参考に最適です。
知識として現実を正しく見る方法を教える
- HSCの子供の敏感気質は、神経がいろいろと活発につながっている証拠で、つながりのスピードが速すぎてしまうものは、どうしても現実・現状を行き過ぎて次の思考に勝手に入ってしまいがちであるということ。
- 現実に起きてないことを想像することは、いい事もあるけど妄想になってしまうと子供の頭の中だけで作りだされているものなので、現実に起きていることではないということ。
- まずは、現状を正しく把握して、そこから生まれる感情を自分で感じ取った後、何を思い、どんな行動をするのかを決めれば良いということ。
この辺りの事を、お子さんにわかりやすいように通訳してみましょう。
修正後の感情を振り返る
最後に、訓練で練習した、自分の感情と行動・言動に差がない状態(これが通常の状態)をやってみて、どうだったか、何を思って、何を感じたか。今までとの違いは何か。など簡単に振り返ってみましょう。
始めは慣れないので、振り返ること自体が難しいかもしれません。
やらないから、できないから、悪いということではなく、振り返った方が次に思い出しやすいのです。
今、こういうことをやってみた感想と次への対策を一緒に考えることで、親の思いが独り相撲にならないためにも振り返りは大切です。
思い通りに子供がやらないからといって怒る必要はありません。そもそも習い事自体、やらなくてもいいわけですから。
気質によるデメリットにハマって、悪の体験にならないように、考え方の癖を変えてみたらどうだろう?という私の仮説が元になっているものなので、やらなきゃいけないというわけではないことを念頭に置いておいてくださいね。
振り返り|気質に合った習い事で人に振り回されない時間を過ごす喜びを体験できますように
できることなら、他人の感情に影響を受けず、他人に振り回されて終わってしまい、できなかったという苦い体験にならないような習い事に出会えたらいいなと望んでいますが、こればかりはわかりませんよね。
そんなのわかるわけないじゃん、って感じですよね。
でも結局はこういうことだと思います。他にも通う手段であったり、親が払う月謝であったり、学校の下校時間、発表会の有無、さらには季節や天気なども関係してくるでしょう。
もうわけわかんない!となるのも無理はありません。それだけ、習い事がうまくいく確率というのは、どうにもならない部分があると思うのです。
そこで、親のサポートや本人の努力、やる気、友達あたりが上手く相乗効果を発揮してくれたら、当面はうまくいくでしょう。
問題なのは、始めからうまくいくような習い事を選ぶ必要はないと思うのです。むしろ、うまくいかない方がいい。うまくいかないから、どうすればいいのかを経験できるわけですから。
そんな経験は、買おうと思って買えるものではありません。もちろん、すんなりとうまくいってくれたら親も安心ですね。
しかし、うまくいかない時に、どうやって周りの大人や友達に頼るのか、ヘルプを出せるのか、協力できるのか、頑張れるのか、など目的達成までの道のりを進んでいく方法を経験できるのが習い事でもあります。
こういう道のりを経験できることが、生きる知恵や希望、活力につながって、人生を生きることにつながっていくのではないかと思っています。
とりあえず、HSCの子供達は、良くも悪くも他人や周りの環境の影響を受けやすいので、習い事くらいは自分の時間を過ごせたらいいな、没頭できる時間を体験できたらいいな、と思っています。
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