どう接したらいい?学習障害の支援方法

学習障害

大切な我が子が学習障害だとわかったとき、子供の将来はどうなってしまうのか、勉強はできるのか?学校には通えるのか?とたくさんの不安に襲われました。

結果としては、学習障害であっても当然やっていけますし、死ぬこともなく生きていけます。そんな普通だと思っていたことが当たり前ではなくなった瞬間、子供よりも親がパニックになります。

まだ、始まったばかりの子供の人生、「どうしよう・・・どうしよう・・・」という思いでいっぱいになります。それでいいのです。まずはたくさんあふれてくる不安を感じましょう。

そして、不安を1つ1つ明確にし、親にできることと子供にできること、学校などの社会にできることに分けていきましょう。

子供が学習障害かもしれない、診断の結果、学習障害だとわかった、という方へ、親として学習障害の子供にできる支援の方法をわかりやすくご紹介していきます。

1人1人子供の特性は違うので、1つの例として参考にしてもらえたらうれしいです。

学習障害の子どもに親ができる4つの支援とは?

本を読む少女

まず親にできることは、最低以下の4つ。

  • 学習障害であることを受け入れる
  • 特性上、難しいことはやらせない
  • 学校や先生に配慮を求める交渉に行く
  • 最適の学習方法を探す

子供が学習障害であることを受け入れる

発達検査の結果、学習障害であるという診断を受け入れることは、思っている以上に難しいことです。

自分では受け入れているつもりでも、やっぱり心のどこかで「できるのではないか」と思ってしまう。

もしかしたら、できるかもしれないという思いと期待は持っていても構いません。その可能性だって「ゼロ」じゃないと思うので。

でもちょっとだけその思いと期待にフタをして、お子さんが特性上難しいと思っていることを「そうなんだ」と全て受け止めてあげましょう。

もしかしたら自分は字が読めないのかもしれない、書けないのかもしれない、漠然とした不安を感じている子供が、その気持ちを親にわかってもらえないことはとても辛いことだと思うのです。

誰が理解してくれなくても、親が理解して受け入れてくれたらそれだけで生きる希望を失わないと思うのです。一番難しいかもしれませんが、一番大切なことだと思っています。

学習障害の診断を受けよう

学習障害であることを前提にお話を進めてきましたが、まだ学習障害の診断を受けていないというお子さんは、一度受けてみるといいと思います。

長男は「K-ABCⅡ」という検査を受けました。割と学習方面に関する検査ができるようで、学習障害の検査に使っているところも多いようです。

かかる費用などは各機関によって違います。もし、どこで検査を受けたらいいのかわからないという場合は、担任の先生、特別支援の先生、お住まいの地域の教育センター、保険センターなどに相談するとわかると思います。

学習障害のことを勉強して今できる支援をしよう

子供が学習障害だと診断されたばかりのことは、学習障害のことを詳しく知らないので、1つでも多く勉強していきましょう。

学習障害の基礎知識、他の学習障害を持つ人たちの対策や子育て体験談など、本やインターネットの情報からたくさんの知識やヒントを得られます。

なかには、これならできるかも!というような支援のヒントもありますので、参考にするためにも情報収集をしてみるといいでしょう。

学習障害の特性上、難しいことは代替手段に切り替える

子供の学習障害を理解した上で、特性上難しいことはツールを使うなど代替手段に切り替えてみましょう。

例えば、私が長男のためにやっている事を例に挙げてみます。

【読字障害】

  1. 教科書、絵本や本は親である私がすべて読み聞かせをする
  2. 問題文などは図解して文の理解を促す

【書字障害】

  1. 計算ドリルの問題は私が書いていて、長男は答えを書くだけにする
  2. 長男が書けるサイズのマスのノートを使用。学校指定は使わない
  3. 漢字は3回書いたらOKにしてもらうよう先生に交渉
  4. 作文などの漢字はひらがなでもOKにしてもらうよう先生に交渉
  5. 定規やコンパスなどの道具をうまく使えない部分は一旦パスする

この例で言うところの代替手段は、私が読んだり書いたり先生に交渉することを指していますが、他にはタブレットを利用したり読み書きツールを使う方法もあります。

後半で紹介します。

学校や先生に子供の学習障害について配慮を求める交渉に行く

学校や先生に配慮を求めることは、親にしかできないことでしょう。おそらく子ども本人が申し出たとしても、もしかすると本気にしてもらえないかもしれませんので。

検査の結果、診察の先生の見解、療育の担当者の意見などを元に、お子さんが特性上苦手なことをまとめて担任の先生に配慮を求めましょう。

例えば、私は以下のようなお願いを担任の先生にしています。

  1. 初めての文章を読むことが難しいので、できればだれかが読んで聞かせるようにしてください。
  2. 問題文の理解が難しい場合があります。読んであげると一回で理解できるので、作業工程などは一度読みあげて下さい。
  3. 書くこと全般が苦手です。板書が追い付かない、必要なところを書いていない、作文などが時間内に終わらないなどの困りごとが発生するので、途中で声を掛けて様子をみてください。
  4. 漢字が書けません。似ているけど違う漢字を書いていることが多いので、テストなどではひらがなで書いても許してください(漢字テスト以外)

先生が学習障害のことをよく知らない可能性もありますので、子供が特性上難しいところをしっかりと伝え、普段から先生とコミュニケーションを取るように意識するといいでしょう。

連絡帳や電話など、気軽に連絡を取り合い、風通しの良い関係にしておくと、子供の配慮を受けやすく、自宅と学校の両方で子供を支援することが可能になります。

宿題交渉をしよう!特性を理解した宿題のあり方

学習障害の子供にとって宿題はさらに苦痛を与えてしまうようなもの。

宿題に関しての論議は、現代にも様々な説があるようなのですが、私は宿題をやるかやらないかというよりも、やり方に問題があるのではないかと思っています。

【1人1人違う学び方・理解の仕方があると思う】

クラスに30人くらいの子どもたちがいて、1人の先生が勉強の方法を教えたところで、全員が理解できるとは思えません。

育った環境もボキャブラリーも脳のしくみも全部違うんだから、インプット方法、情報の処理方法が違う人がいてもおかしくないと思うのです。

それを一斉で同じ宿題同じ提出方法同じ期限「やらなければいけない」という強制付きでは、覚えられる勉強内容も覚えられない子も出てくるでしょう。

だから、宿題の形は子供に合うやり方や量に変えていきましょう。先生が、クラスのみんなと同じ方で宿題をやることにこだわる場合は、回数を減らすなど子供の負担を減らす方法に変えられるように交渉します。

そもそも、覚えることを目的としているのですから、「覚えられる方法」に特化した方がいいという共通認識を大人が持つ必要がありますね。

特性を理解した上で子供に合う最適の学習方法を探す

勉強方法に関しては、今の時代、タブレットやネットでいくらでも勉強できます。自分のペースに合わせて、興味のある勉強から進めていくことができる時代です。

学校の勉強ができるできないということだけではなく、お子さんの興味が何にあるのかに目をむけてみると意外な才能を発見できることがありますよ。

長男はは勉強とは関係ありませんが、物の認識能力がハンパなくすごいです。動体視力も本当にすごいです。記憶力もかなりすごいです。中国の歴史にもとても詳しいです。マニアックな情報を没頭して収集しています。

【注意】学習障害の子供に大人の固定観念を押し付けないことが支援の基本

スイカのタイヤが面白い自転車

「できるでしょ」「わかるでしょ」「何でできないの?」「ちゃんとやらなきゃ」

という大人の世界の固定観念は子どもの才能をつぶす危険性があると感じています。

大人の固定観念の現状|他の人と同じであることを良しとする日本の文化

大人の固定観念が間違っているわけではないのです。

事実として伝えることは問題ないと思うのですが、問題があると思うのは、他の人と同じであることを良しとする固定観念です。

みんなと同じじゃなくても全然問題ありません。みんなと同じじゃなくても生きていけますからね。

お子さんは、接する大人に「できていない」という、世間とは違う自分を教えられます。

箱詰め商品のように同じ方向に進むことを良しとしている文化がいいと教えられます。特に日本はみんなと同じがいいような雰囲気がありますよね。

大人にいろいろ言われてしまうと、子どもは自分の感じ方や意見を言えなくなってしまいますよね。

自分は人と違うかもしれない、自分は何か変なのかもしれない、という意識を持ってしまって自己肯定感を自分で下げてしまう可能性が出てきます。

○○ができないと生きていけないよという言葉が子供を傷つける

  • 漢字がちゃんと書けないと、会社で働けないよ。
  • 計算できないと生きていけないよ。
  • 本が読めなかったら学校の勉強どうするの?

この類の会話、知らず知らずのうちにお子さんは浴びていると思います。親が気を付けて言わないようにしていても、叔父さん叔母さん、おじいさんおばあさんなど、いろんな大人は良かれと思って子どもに言います。

読字障害の子に、プレゼントとして本をあげたり、漢字が書けないからと立派な習字セットをくれたり、九九が覚えられなければお風呂で使える九九の表をくれたり。

みんな将来子どもたちが困らないように、大人にできることをやっているだけ。自分の思いつくことをやってくれているだけ。傷つけようなんて誰も思っていないのです。

だからこそ、子どもは傷ついてしまいます。

学習障害が理解されていないことを察する子供たち

自分が本が読めないということは、大人には理解できないということを何となくわかっています。「わーい、ありがとう」と喜ぶふりをして、心の中では「読めないんだけどな」と思っています。

習字セットをもらっても漢字を書くこと自体が辛くなってきてるのに、どうしても漢字を書かなきゃいけないのか。

お風呂くらいは学習障害のことも忘れてゆっくりしたいのに、お風呂でも覚えられない九九を覚えなければいけないのか。

わかってもらえない感は募っていくばかりです。

確かに大人の気持ちもわかります。そして間違っているわけではないと思います。しかし、子どもにプレッシャーをかけてしまうことも事実。

そこをわかった上で、大人にできることを考え直してみませんか?

学習障害の子供を学校と家で連携支援する方法

学校の先生

親が動く事が1番!学校や担任の先生とコミュニケーションを取ろう

  1. 担任
  2. 通級
  3. 特別支援関係
  4. ピアティーチャー
  5. 校長・副校長
  6. 専科の先生(図工・音楽・図書)
  7. 保健の先生
  8. スクールカウンセラー

学校にはいろんな先生がいます。私は上記8タイプすべての先生に長男の特性を話し、配慮をいただいています。

クラス替えがあれば、始業式後1週間以内には新しい担任の先生にアポを取り、長男の特性と配慮を求めに学校へ行きます。

通級に通っているので、必然的に学校内の先生方と教育方針などの面談が行われ、いろんな先生に配慮をいただいています。

毎月、スクールカウンセラーの先生のカウンセリングに行って、様子を見てもらっています。必要に応じて、スクールカウンセラーの立場からの助言を、担任の先生や通級の先生にしてもらっています。

私は学校のボランティア活動、役員の仕事で学校にいることが多いので、校長先生や副校長先生にも長男の様子を教えてもらっています。

ここ何年かの長男の成長を、しみじみと校長先生が語ってくれたときは、少しうれしかったです。

先生とのコミュニケーションの取り方はいろいろある

先生が忙しいことは100も承知の上で、コミュニケーションをとってきました。

  • 電話
  • 連絡帳
  • 手紙
  • 交換日記など

自分の考えは全て話し、先生の考えも受け入れた上で、先生は学校で、私は家庭で、役割を分担してできることをやってきました。

担任の先生のポリシーにもよるのですが、積極的にコミュニケーションを取ってもらえる先生も増えていると感じていますし、発達障害・学習障害について自分で勉強して授業に反映している先生もいます。

先生のタイプによって親にできる支援も変わってくる

理数系出身の先生は、発達障害・学習障害である長男の特性を考慮し、どういう方法を取ればわかるのか、ということを理論的に仮説を立て、実験・検証を進んでやってくれています。そんな先生達の積極的な発想は、私もちょっと面白いと思っています。

学校や先生とは、できるだけ真っ直ぐにコミュニケーションを取るよう、心がけてみるといいと思います。(うまくいかないときは別の方法を考えばいいのですからね。)

特性上難しい事はやらないという決断が子どもを救う

親がこの決断をするかしないかで、子どもはかなり救われると思っています。

どうしても先の未来、子どもの将来を考えると、学習障害であることを何とか克服させようと思う大人は多いと思います。

でもきっと、これからの未来は、読み書き計算はデジタルやITでなんとかなります。単純作業は人間じゃなく、ロボットでできます。

板書はタブレットの写真機能を使えばいいし、ノート作りはパソコンで作って印刷すればいい。読めなければ読み上げソフトを使えばいいし、計算は電卓でもエクセルでもいくらでもできます。

英語はきっと単語を覚えなくても、翻訳ソフトが主流になるでしょう。

入試などは配慮を求めに交渉するしかなく、受け入れてもらえなければ時代と無理解のせいにしましょう。その学校に入れないことで、お子さんの一生が終わるわけではないです。

やれることをやる。今、お子さんが持っている才能に気づく。そうすれば、必然的に難しいことを無理にやる方向にはいかないと思います。

タブレット・読み上げ機能|使えるツールを使って学習障害の子供を支援

おもちゃのサルと青空

では具体的にできる支援って何だろう?ということを考えてみましょう。

現代ではいろんなツールがあると思います。令和の時代はもっともっと学習障害の子ども達が使いやすいツールが増えてくれたらうれしいです。

読み上げ機能

スマホやタブレットには読み上げ機能がついています。いかにもロボットが読んでいる感じはありますが、使えないことはないです。

デイジー図書・デイジー教科書

デイジー図書デイジー教科書というものがあり、本や教科書を読み上げてくれます。速度調節ができたり、読んでいる場所が光ったりするので、視覚障害の人や読字障害の人に使われています。

今のところ私が教科書や本を読んでいるのでデイジーを使ってはいませんが、いずれ使う時期がくると思っています。

電卓

電卓で計算したら怒られてしまいそうなので、大きな声では言えませんが、計算方法自体を覚えられたら実際の計算は電卓でやってしまっていいと思っています。

現に長男の学校では、算数の理解が一番低いクラスでは電卓を使用して計算することもあるそうです。計算ミスをしてしまうより、計算方法や論理的思考を身に付けるという、算数本来の目的が達成されればいいということらしいですが、とてもいい方法だと思いました。

タブレット・アプリ

  • 板書は写真を撮る
  • 宿題はアプリを使用する
  • 書けないならタブレット入力に変更する

お子さんにとって、書かないことは当たり前でもいいと思う。親も先生も、そのことを許してほしいなと思います。

通信教材を使う|ベネッセ チャレンジタッチ

勉強に関しては、長男はベネッセのチャレンジタッチをやっています。タブレットなので書く必要がなく、助かっています。

チャレンジタッチは漢字にとても厳しいので、漢字はやらなくてもいいことにしています。私でも3回くらいやり直しが必要なくらい、厳しいんですよね。

何度かベネッセに学習障害の子もいるので、もう少し優しい審査にして欲しいとお願いしてみましたが、まだ反映されてないです。

宿題なども学校で出されている宿題をやることがいいのかどうか、親子で考えてみた方がいいと思います。みんなと同じではなく、お子さんが確実に覚えられる方法で勉強することが一番いいですよね。

振り返り|学習障害の特性に合わせて周りの大人が子供を支援できれば良い

太陽に向かって咲くひまわり

学習障害の支援方法について、私がやってきたことをお話してきました。東京大学では発達障害・学習障害の研究を行っていて、たまにセミナーを開催したりしています。

現時点でご紹介できる情報がなかったのですが、私も過去に1度、セミナーに参加したことがあります。参加するだけでもとても有意義だと思いました。

正直、学習障害のお子さんのために一生懸命に情報を集め、専門機関や学校・先生に交渉し、なんとかうまく学生生活が送れるよう動いているママさんはたくさんいました。

そんなバイタリティあふれるママさんたちの中で、学習障害について話を聞いたり意見を出し合うことは、これからを過ごすための活力になりました。

学習障害であることで、子どもは余儀なく不便を強いられてしまうので、親である私たちはできるだけ理解して受け入れて、進める道の選択肢を広げたい。

そのためにも、子どもとまっすぐに向き合って、今をつなげて未来をつくっていきましょう。

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