高校生からピアノを始めてみようと心に決めた方へ、ピアノを始める場合に事前に考えておいた方がいいことをお話ししていきます。
楽器の準備や弾きたいピアノのジャンルを含め、高校生からピアノを始める目的や目標の立て方などの計画部分について説明していきます。
高校生からピアノを始める場合に考えておくこと

高校生からでもピアノは始められます。ピアノを始める!と決めて練習するだけなのですが、具体的にどうやって始めればいいのかがわからないと思いますので、細かく分けて考えていきましょう。
ピアノを始める目的・目標
楽器を買うよりも先に、ピアノを始める目的をきちんと考えておきましょう。目標にするもの、でも構いません。
なぜ、目的や目標が必要になるのかというと、ピアノを始める、弾けるように練習する時に、何をしたらいいのかわからなくなってしまう、要するに迷ってしまうんですね。
目的や目標がないとどうなるのか?
例えば、「30分間、外を散歩してきてください」と言われたとします。
30分後、散歩をして帰った後、「散歩の間で花を何種類見つけましたか?」と聞かれた場合、そもそも散歩中に花があったかどうかさえ、わからない可能性があります。
しかし、「30分間、外を散歩してきてください。ただし、たくさんの種類の花を見つけ、何種類見つけられたかを教えてください」と言われた場合、
- たくさんの花の種類を見つける
- 何種類の花があったかを数える
この2つのポイントをより叶えられる方向に散歩に行きますよね。公園とショッピングセンターがあれば、公園に散歩に行くでしょう。
目的も目標もないと、次のようなことが考えられます。
- 過ごす時間は同じでも、行動の内容が変わる
- 同じ時間を過ごした後の達成感が変わる
よくわからない状態で、うろうろ迷子になってしまっては、やってみようと思ったチャンスをうまくつかむことができません。
ゲームでいうところの、始めの1面、またはステージを決めるといったところでしょうか。
自分はどういう道を進んでいくのか、どんなアイテムとともに進んでいきたいのか、最初はどの方向に歩いていきたいのかを決めましょう。
目的・目標の立て方
目的と目標は意味合いが少し違ってきます。
目的は「成し遂げようとすることがら」で、目標のほうは(その)目的を達成するために設けためあてのことである
フリー百科事典ウィキペディア/目的
例えば、ピアノを始める目的は、前からやってみたいと思っていたピアノを弾けるようになりたいから。
目標は、ピアノを始められる環境を揃えること、1曲弾けるまで頑張ること。
ざっくりとしたものが目的、ピンポイントでこれをやろうと決めることが目標、だと考えてみましょう。
現時点をゼロ地点(スタート地点)だとして、ものすごく段差の小さい階段を1つの目標にして、ゴールまで登っていきます。
最終ゴールは、自分がピアノを弾けるようになったと思えること。
目標は大・中・小に分けて細かく立て、1つずつできるところから実践していきます。目標を達成できるように、行動の計画を立てていきます。
簡単ですが、例を挙げておきます。1つの参考として、自分用の目的・目標を考えてみましょう。
ピアノが弾けるようになる
【長期的目的1】
両手で1曲弾けるようになる
【中期的目標1】
ピアノが練習できる環境を作る
【短期的目標】
・88鍵のキーボード、スタンド、椅子を買う
・ヘッドホンを買う
・楽譜を買う
・教材を買う
・部屋にセッティングをする(場所を確保する)
・メトロノームアプリをダウンロードする
・キーボードの使い方を覚える
【中期的目標2】
ピアノの弾き方と楽譜の読み方を覚える
【短期的目標】
・YouTubeでピアノの弾き方を検索し、勉強する
・教材で楽譜の読み方を覚える
・わからなければYouTubeなど分かる方法を探す
・わからなければピアノが弾ける友達に教えてもらう
など
ピアノのジャンル
ピアノを始める目的・目標をある程度考えたら、どのジャンルをピアノで弾きたいのかを考えましょう。
何を弾きたいのか、どんなピアノを弾けるようになりたいのか?ということですね。
- クラシックピアノ
- ポピュラーピアノ
- ジャズピアノ
- 弾き語り
- バンド用キーボード
大きく分けると、こんな感じですね。
クラシックピアノ
ベートーベンとか、ショパンとかです。エリーゼのためにとか、別れの曲とかです。
幼少期の頃からピアノを習っている子供達のほとんどが、クラシックピアノを習っています。楽譜に忠実な演奏をするので、楽譜をがっつり読んで演奏します。
音符が読めて、指が動けば、ある程度弾けている形になります。暗譜すれば別ですが、楽譜がないと弾けないことが多く、ピアニストやピアノ教室の先生でもない限り、突然のリクエストには応えられません。
ポピュラーピアノ
ポピュラーピアノとは、ポピュラーソングをピアノで弾くこと。主に、メロディのみの楽譜にコードと呼ばれる記号が書かれているコード譜という楽譜を使います。
楽譜の他にコードを覚え、奏法を覚えていきます。基本的に、右手がメロディ、左手で伴奏を弾きます。
覚えることはいろいろありますが、理屈がわかってしまえば難しいことはなく、一度覚えてしまうと忘れにくいと思います。
ポイントは、伴奏を自分で考えて弾くというところ。クラシックピアノは、楽譜に書かれている通りの演奏をするので、曲の難易度を自分で調整できませんが、ポピュラーピアノは自分で演奏できるレベルの伴奏しかつけられないので、初心者から上級者までいかようにでもできるところが最大のメリット。
大好きな歌手の曲、ドラマや映画の主題歌、ボカロやアニメソングなど、好きだな、素敵だなと思う曲で練習できるので、モチベーションを保ちやすく、練習もかなり楽しいです。
メロディだけでも弾けるようになれば、音楽と一緒に演奏して楽しむこともできるので、右手だけ弾けるようになるのもOK。
左手の伴奏に関しては、レベルが上がらないうちは、派手な演奏はできませんが、結局は1つ1つの奏法を足して派手にしているだけですので、そこまで難しい話ではありません。
難しいとすれば、生活には全く必要のない音楽理論を覚える必要があることでしょうね。さらに言えば、数の順番、表記としての分数、簡単な計算、最大公倍数や最大公約数などの計算が入ってくること。
初心者のうちは、数の順番と最大32くらいまでの計算ができれば大丈夫です。幼稚園生でもできるレベルですから、高校生でわからないということはありません。安心して始められます。
ジャズピアノ
ジャズとはリズムのことです。ポピュラーピアノのように、メロディにコードが書かれたコード譜を使います。
ポピュラーピアノとの大きな違いは、ジャズ特有のリズムがあること、コード進行をわざわざ複雑にしてややこしく演奏する点にあります。その方がかっこいいからです。
そして、ジャズ一番の魅力はアドリブ。即興演奏です。
クラシックピアノもポピュラーピアノも、曲が始まれば終わりも決まっています。曲のサイズが決まっているんですね。
しかしジャズは、メインテーマを演奏した後、演奏者が好きなだけアドリブを演奏するので、曲の終わりは演奏者が決めます。そろそろ終わりにしようと思ってやめたり、まだまだ、と続いていくのがジャズ。
自由に演奏しているように見えて、きっちりと決まりがあり、即興で相手の演奏に反応していく、スキルが必要になるジャンルです。
ジャズは難しいと言われています。確かに難しいところも多々ありますが、ハマると結構やめられないくらい面白いポイントがたくさんあります。
同じ演奏を100回聴いても飽きないし、10年間聴いても飽きない。奥が深く、演奏できるとだいぶカッコイイ感じに仕上がります。
ポピュラーピアノとジャズピアノは、レベルが上がればいくらでも即興演奏ができるので、楽譜がなくてもリクエストに応えられます。「ちょうちょ」とかもかっこよくアレンジすればちょっとした一芸になりますね。
弾き語り
ピアノで伴奏を弾きながら、歌を歌うスタイルを弾き語りと呼びます。弾き語りは、文字通り、弾いて語るので本格的に目指そうとすると難易度が高いです。
しかし、伴奏をそこまで難しくしなければ、意外とやれてしまうのも事実。満足に歌えるか、思っている通りの伴奏を弾けているかなど、レベルを上げなければコードを覚えるだけでピアノ部分は弾けるようになります。
また、自分はピアノで伴奏を弾き友達が歌うなど、自分以外で完結する方法もありますし、他のメロディを演奏する楽器(バイオリン、フルート、サックスなど)とのセッションも可能です。
歌がある程度歌えるなら、コードを覚えてジャーンと弾くだけで完成するので、始めやすいジャンルではあります。
バンドのキーボード
バンドを始めたい人向けですが、バンド内でのキーボードの役割は主にリズムを出すことと、コード感を出すこと。
バンドにギターがいるなら、ハモンドオルガンやピアノの音で旋律的なものを弾く役割になります。バンドのジャンルによっては、ピアノ音でのイントロや間奏のソロなど目立つ役が多いので、かなりの練習が必要になります。
コードを弾くだけでOKのバンドなら、コード練習だけでOKですが、基本的にキーボード操作は全て自分でやるため、機械操作をきっちり覚えることが必須になります。
オリジナルのバンドであれば、作曲のコード部分をベーシストと一緒に担当することになるので音楽理論が必須、コピーバンドであれば、楽譜がない曲は耳コピすることになるので、ピアノ演奏以外のスキルも必要です。
楽器の用意
次に楽器の用意です。
家にアップライトピアノなどの生ピアノ、電子ピアノがある場合は問題ありませんが、ピアノがない場合、何かしらの楽器を買う必要があります。
さすがにエアーは無理ですし、ロールピアノも全くもって無理です。最低でもキーボードを用意しましょう。
選ぶポイントは次の3つ。
- 鍵盤の数
- スタンドなどの付属品はあるか
- 録音機能付きか
鍵盤の数
通常ピアノの鍵盤は88鍵です。クラシックピアノを弾きたい方、本格的にピアノを弾けるようになると心に決めた方は、88鍵のピアノを選んでください。
60鍵盤以下の物は、メロディを弾いて左手でコードを指定するだけの弾き方になってしまうので、おすすめはしません。61鍵か88鍵を選びましょう。
レベルがあがると伴奏部分で鍵盤が足りなくなる日がきますので。(エリーゼのためにレベルで足りなくなる)
電子ピアノタイプです。スタンドや椅子、ペダルがセットになっているタイプと、別売りのタイプがあります。
おもちゃ的な扱いになりますが、趣味で鍵盤が弾ければいい人、続けられるか不安な人、デモ演奏やリズムで楽しく練習したい人は、とりあえずこの66鍵タイプのキーボードで始めてみましょう。
レベルが上がって、このキーボードでは物足りなくなった時に、改めて電子ピアノなどの購入を検討すれば良いと思います。
ピアノよりは一回り小さ目なので、テーブルや机の上でも弾けますが、スタンドで練習したい場合は別途購入が必要です。
また、キーボードによっては譜面立てがないものもありますので、付属でついているものを選ぶか、別途購入が必要です。
スタンド・椅子・ぺダルなどの付属品
キーボード用に椅子を買うなら、高さ調節ができるタイプの椅子をおすすめします。
ペダルはキーボードと同じメーカーのものを買いましょう。合わないものもありますので確認してから購入してください。こちらはサンプルです。
録音機能付きかどうか
電子ピアノやキーボードを選ぶなら、自分の演奏を録音できる、録音機能付きがおすすめです。夜遅くなってから練習したい場合など、自分の演奏を録音したい時に内蔵で録音できるととても便利です。
midiなどでつなげば、パソコンと接続できるので、DTMソフトなどに取り込んで、楽譜を作成することもできますし、曲を作ることもできるようになります。
また自分の演奏にエフェクターを掛けて調整し、びっくりするくらい音質の良い、素敵な演奏に作り上げることもできます。遊べます、ということですね。
教室に通うか?独学か?
クラシックピアノを始める場合は、通った方が早いです。
教室に行くメリット・デメリット
クラシックピアノの先生達は、その道のプロなので、間違いなくクラシックピアノを弾けるように指導してくれます。
また、小さな子供から大人まで、たくさんの生徒に教えているので、初心者の教え方も上手です。発表会もありますし、段階を追って確実に弾ける道を進めます。
デメリットは月謝などのお金がかかること、通う時間がかかる、曜日などを固定されること、先生との相性が合わない場合、他を探す必要が出てくることがあります。
独学のメリット・デメリット
クラシック以外の方は、教室に行ってもいいですし独学でもいいと思います。
独学のメリットは、好きな時間に好きなだけピアノを勉強できるということ。宿題がない、先生とのコミュニケーションがない、通いに時間を取られない、発表会など興味のないことに付き合う必要がない。
要するにすべてが自由ということ。
デメリットは、わからない時に自分で対処しなければいけないということ。間違った方向に進んでいる時に気づけないなどありますが、一番は、自分で自分を律して勉強をしないとまったく上達しないということです。
例え家で練習していなくても、教室にいけば一定時間ピアノに触れますが、独学の場合は自分で意識しなければ、全く勉強も練習もしないということが起こります。
せっかくキーボードや教材を買ったのに、全くやらずにやめる、三日坊主になってしまう恐れがあります。
生活スタイルの見直し|練習時間をどうするか?
教室に通うにしろ、独学するにしろ、練習時間を生活のどこに入れ込むのか?
ピアノを始めるということは、ある一定の時間を練習に充てなければピアノは弾けるようになりません。
高校生から始めるにしろ、いつから始めるにしろ、練習時間は一定のレベルまでは必須です。極力頻度を上げ、毎日1分でいいからピアノを弾くくらいの心構えが必要になります。
食事や歯磨き、ご飯や学校と同じレベルで、生活に必要だと脳が思えば、必ず弾けるようになります。問題は、どこまで習慣化するのか、というところにあります。
毎日5分~30分くらいの練習時間を取れる時間帯はいつなのか、ある程度の予定を考えておきましょう。
夜しか時間が取れないようであれば、電子ピアノやキーボードにヘッドホンをつけて練習することをおすすめします。
振り返り|目的を決め目標を立て高校生からでもピアノを始める準備をしよう

目的と目標を決められたら、実際に必要なピアノの用意や弾きたいピアノのジャンルを決めていきましょう。
方向性が決まるだけで、ピアノを弾くことは理想から現実に変わっていきます。全くの初心者であれば、できるかぎり習慣化して、ピアノを弾く神経をつなげていく必要があります。
今の生活スタイルやピアノ置き場なども含めた上で、計画を立てていきましょう。
さらに、楽器の購入は、親に頼んでみましょう。スタンドなどの組み立てはお父さんに頼んでみてもいいですし、機械好きな親であれば喜んでセッティングしてくれると思います。
楽器屋さんで購入すれば、運んできてくれた人がセッティングまでやってくれますので、やってもらいましょう。
親に楽器を買ってもらえないようであれば、バイトをして自分で貯めたお金でキーボードを買いましょう。また中古屋さんに行けば、数千円でキーボードを購入できます。
安いものは壊れている可能性もありますので、お店の人に試奏させてもらって、音がちゃんと出るか、機能がつかえるかを確認してから買いましょう。
ピアノを始めてみたい、そう思っていただけでは現実味がなかったと思いますが、高校生からピアノを始めるための事前準備、できそうですか?
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