こんにちは!子どもはピアノの練習をしないものだと思っている花緒です。今日は、お子さんがピアノの練習をしなくて困っている方へ、練習をしない子どもの本音を3つ、お話したいと思います。
ピアノを練習しない子供の本音

子供がピアノを練習しない。
子供にピアノを習わせている親の悩みのトップ項目にくる問題です。
さて、この問題に対して、何か対策を考え、実行してみましたでしょうか?
それとも「練習しなさい」「なんでちゃんと練習しないの」と毎日声をかけていただけになってしまっていませんか?
子どものため、は親のため。本当は誰のための習い事?
さて、よく考えてみましょう。
お子さんにピアノを習わせているのは、何のためでしょう?誰のためでしょう?
- 子どもがピアノを習いたいと言ったから
- 幼児教育にいいから・脳の発達にいいとテレビで見たから
- ピアノを弾けた方がかっこいいから
- 将来、一芸になるから
- 私(親)が子どものときに習わせてもらえなかったから
それぞれの目的を持って、ピアノを習い始めたわけですよね。ほとんどの親御さんがお子さんのためを思い、高い月謝を払ってピアノを習わせているわけです。
親の願いでピアノを習わせていないだろうか?
お子さんがピアノを習い始めるきっかけは、幼少期であればある程、親が習わせたくて習い始めています。「できるだけ早く習い始めた方がいい」と思っている人は多いような気がしますね。
親の理想の高さと思い込みの強さ、愛情からくる固定観念の押し付け、○○のためという名の正義。
言い方はヒドイかもしれませんが、教育熱心な親御さんであればある程、意外と気づいていないのです。子どもは親の理想や期待通りに生きていきたくはありません、ということに。
お子さんから習い始めたいと言い出したとしても、実際に習い始めてみたらうまくいかない事も多々あるでしょう。時には休む時間や客観的に自分を見る力も必要になってきます。
「ピアノを練習したくない」と感じる子供の感情は間違っていない
「ピアノを練習しない」「ピアノの練習をやりたくない」
お子さんが感じていること、思っていることは間違っているわけではありません。やりたくない理由がきちんとあるはずです。
お子さんの中にあるその小さな問題をどう解決していけるのか。子どものうちから何でも1人で解決できるわけではありません。
まずはお子さんの気持ちを受け止めてあげてください。
すぐに月謝がもったいないとか、練習しないとうまくならないとか、じゃあやめる?とか、大人の固定観念でその道を決めてしまうのではなく、お子さん自身が選べるような道にする事で、お子さんのための習い事にしてあげましょう。
ピアノを練習する理由って何だろう?
ピアノを練習する理由??そんなのピアノを習っているんだから、練習するのが当たり前でしょ??
練習しなければうまく弾けるようになるわけないんだから、練習するんでしょ?って思っていませんか???
大人の固定観念がピアノを練習しなくなる1つの理由
この方程式、本当に合っていますか?ピアノを習いに行ったら、絶対に練習しなければいけないのでしょうか?
私は、ピアノを習う事と練習する事は別の事だと思っています。ピアノを習い始めたからといって、必ずしもピアノを練習しなければいけないという事ではありません。
問題は「しなければいけない」という固定観念。この固定観念がピアノを練習しなくなる1つの要因になっていると思います。なぜなら、ピアノは練習しなければいけないものではないからです。
ピアノを弾けない理由はピアノの弾き方を知らないだけ
ただし、1つだけ気づいておいてほしいことがあります。よく考えてみればわかる事なのですが、ピアノが弾けない人は、練習しないから弾けないのではなく、ピアノの弾き方を知らないから弾けないのです。
鍵盤の位置と音の高さ、流れるような弾き方、ペダルの踏み方、グリッサンドのやり方、楽譜の見方、などなど、知らないから=弾けないという図式は成り立ちますよね。
親が練習をさせるのではなく子どもが自発的に練習することが理想
確かに、練習しなればピアノは弾けません。脳トレにもとてもいいですし、ピアノを弾けたらかっこいいし、一芸にだってなりますよね。みなさんの認識は間違っているわけではないんです。
私の考えと違う点は次の2つです。
- 練習することが当たり前
- 練習しなければいけないという固定観念
お子さんが練習しないと親御さんは一生懸命練習させようとしますよね。
お子さんが練習しないと次のレッスンで先生に「練習させてください」って言われることが恥ずかし、先生に怒られちゃうからって思っていませんか?

実際に、レッスンに行くと、家での練習方法について先生に何か言われてしまうことはあるんですよね。
親が練習をさせるのではなく、子どもが自発的に練習するように大人が環境などをそろえてあげればいいのです。
だから、そこを教えてって話なのですが。もう少しピアノを練習しない事に関して、根本的なところを考えてみましょう。
強制からはいい音楽は生まれない
楽器を奏でるとは、自分で想像した音を操り、音を紡いでいくことです。音色にこだわり、音と一体になることで、自分の思いを吐き出すことができます。
聴いている人と共感することができます。空気の振動を通して体に響く音に心地良さを感じ、楽しさ・うれしさ・喜び・達成感・自己肯定感を得ることができる素晴らしい芸術体験だと思います。
遊びや好奇心の追求からスキルを習得する形が理想の学習スタイル
声という一番身近な楽器に始まり、さまざまな楽器がある中でピアノを選ぶのであれば、本来は遊びから始まり、楽器への興味、面白さの追求に変わっていくことで技術を習得していくことが理想です。
「やりなさい」という強制の負の感情からは、興味や追求につながるきっかけから遠ざけているようなものだと私は思うのです。親御さん自身、練習しない子どもの姿にイライラしたくはないですよね。
方法は簡単|親は何も言わない
その方法はとても簡単です。
ピアノを練習しないとどうなるのか。それをお子さんに体験させればいいのです。お子さんを管理しない、お子さんを自分の理想通りの姿にしない事(ピアノを練習する姿を親が見るという事)。
最初はなかなか難しいかもしれませんが、慣れてくれば意外とラクになってきます。
だって月謝を払っているのに・・、という声が聞こえてきそうですが、月謝を払っているからこそ、なんですよね。

失敗する、うまくいかない体験って、子育ての中でもとても大事な経験だと思いますよ。ピアノを練習しないと楽器は弾けない、ピアノの弾き方を自分は知らないという事を、月謝を払って体験させていると思えば良いのです。月謝がもったいない気もしますが、それも立派な習い事だと思いませんか?
子どもがピアノを練習しない3つの理由

では、本題に入りましょう。私がピアノ講師をやっていた頃、練習しない子には共通点があると思いました。それが以下の3つです。
・先生との相性が合わない
・子どもの発達に合わない
そもそもピアノを習いたくない・やりたくない
ピアノ講師時代、レッスンにあまり乗り気ではない子に理由を聞いてみたところ、大半の子が「本当はピアノをやりたくない」と話してくれました。
習い事としても人気のあるピアノですが、お子さんの気持ちよりも親の気持ちが優先されて習いに来る子は意外と多いです。
そもそも、ピアノを弾けるようになりたい、ピアノを弾いてみたいとは思っていないので、お子さんにとってはレッスン中も嫌な時間になってしまいますし、練習なんてやるわけないですよね。
親にやりなさいと言われてイヤイヤ練習をしたところで、身につくはずもなく、ピアノがどんどんイヤになっていく悪循環が原因でピアノを練習しないんですね。
先生との相性が合わない
お子さんが自分からピアノを習ってみたいと言ったので習わせたのに、練習しないという場合、先生との相性が合わない場合があります。
大人の方であれば、先生と自分の相性が合わないことに気付きますが、子どもは「人と相性が合う・合わない」ということすらまだ知りません。当然、習いに行っているピアノの先生との相性にも気づかずに、ストレスになっている可能性があります。
レッスンを毎回見学することは難しいと思いますが、もし、お子さんがピアノをやりたいと言って始めたのに練習しない場合、一度レッスンを見学してみると先生との相性が分かる場合があります。
ポイントとしては以下の3つに注意して見学してみましょう。
- お子さんが先生の事を好きか嫌いか(お子さんに聞いてみましょう)
- 先生がお子さんの発達・理解に合わせて話をしているか
- 先生がお子さんができるということを前提に話を進めていないか
お子さんが先生の事を好きか嫌いか(聞いてみましょう)
お子さんが素直に答えてくれない場合もあるかもしれませんが、先生が苦手、指導の仕方がイヤ、言われている意味がわからないなど、不満が多い場合は、先生との相性がお子さんと合わないかもしれません。
将来的に相性が合わない人と合わせて生きていく術は必要になっていきますが、子ども時代、習い事は先生との相性が全てです。いい意味で始めた習い事の良し悪しを大きく左右してしまうので、お子さんが苦手なタイプの先生のところで無理に習わせる必要はありません。違う先生に習うことを検討しましょう。
先生がお子さんの発達・理解に合わせて話をしているか
先生としてのスタンスに関係してくるのですが、お子さんが先生の話をちゃんと聞いているか、理解しているか、というところをしっかりと気づいている先生と、完全に自分のペースでレッスンを進めていく先生と2パターンあると思っています。
私は小2からピアノを習い始めて、転勤しながら各地のピアノ教室、様々なタイプの先生に習いましたが、子どもの理解関係なしに自分のペースで弾けないと怒る先生がいまして、心からピアノがイヤになりました。
私は親に先生がイヤだと伝えて、親もすぐに違う教室に変えてくれたのでピアノが嫌いにならずに済みましたが、あのまま続けさせられていたらピアノなんて大嫌いになっていたと思います。
先生が、お子さんができるということを前提に話を進めていないか
先程の話と少しかぶってしまうのですが、「できるよね」「わかるよね」が口癖の先生がいます。

ちょっと待って!!
できるよね、って言われちゃうと「できないといけない」と子どもが思ってしまうんです。ひどいと「できない自分はダメなんだ」と変な解釈をして自己肯定感が下がっていきます。
これなら、習い事なんてしない方がいいです。
「できない」「わからない」を1つ1つ、できる方へ、わかる方へ、紐づけて成功体験を積ませてあげるのが先生の仕事です。もし、自分が言われたら、ピアノの練習をやる気になるかどうか考えてみて下さいね。
子どもの発達にピアノが合っていない
小さいお子さんであれば、音符が読めなくても、鍵盤をしっかり叩けなくても、リズムがわからなくても、全てかわいいで済まされますが、先生との相性も問題なく、子どももやる気があるのに、なぜかピアノの練習がうまくいかない子がいます。一生懸命練習しているのに、先に進めない子がいます。
指の筋力が足りないのか、指をスムーズに動かす筋肉が足りないのか、練習方法が間違っているのか、もっといいやり方があるのか、などいろんなことを試してみても効果があまり見られない場合、発達に凸凹がある子かもしれません。
あくまでも私の見解ではありますが、特に読字障害の子で音読などが難しい子の場合、目で見たものを体の運動機能に伝える所で神経がうまく伝わらないのであれば、楽譜を見てピアノを弾くことが物理的に難しくなるのではないかと考えています。
私の長男は学習障害(読字も書字も苦手です)で、音読が難しく、音符を見ながらピアノを弾くという作業はとても高度な技です。実際、私がピアノを教えていますが、1年以上たっても楽譜を見ながら鍵盤は弾けません。そもそも音符や楽譜が読めません。

学習障害だからみんながピアノを弾けないということではないので注意してくださいね。
また、長男の場合、療育に行って作業療法をやって初めて、手の薬指と小指の存在に気付きました。それまでは中指と動きを共にしていたようでした。長男のように、発達に凸凹がある子であれば、ピアノを弾く、という練習すればできそうなことでも、理解と配慮が必要になると思います。
お子さんの発達と、ピアノという楽器を弾くということが合っていない場合も可能性としてありますよね?ということです。
楽器はピアノだけではありません。ピアノが合わないだけで、他の楽器はガンガン弾けるようになるかもしれないのです。発達とともにピアノが弾けるようになるかもしれませんし、他の楽器の才能が花開くこともあります。
お子さんの可能性を1つに決めてしまわずに、柔軟に見る視点を持ってみてはいかがでしょうか?

発達に凸凹がある子にピアノを教えることについて、詳しくはまた別記事で書きますね。
振り返り|ピアノを練習しない子どもの本音をわかってあげよう

今日はピアノを練習しないお子さんの3つの理由ついてお話しました。
・そもそもピアノを習いたくない・やりたくない
・先生との相性が合わない
・子どもの発達とピアノが合っていない
練習しないからと頭ごなしに怒っても練習しないので、練習したいと思わない気持ちにひっかかっているものに、できれば気づいてあげたいですね。
先生でもいい。親でもいい。
子どもは、自分のことをわかってくれる大人の言うことは素直に頭に入ってきますので、自然な形で子供が本音を話せるようになりたいものです。
ここをはき違えずに親も対処していきましょう。
子供時代にいろんな体験ができることを応援しています!
コメント
曲がつまらないことが原因ではないでしょうか。
私の場合バイエルばかりで、聞いたこともない同級生から褒められるわけでもない曲の為に、大変な譜読みをする気になれませんでした。
その段階に合わせて本人の興味のある曲をやらせることが大事かと思います。
好きな曲ならなんとかして弾こうとするはずです。
コメントありがとうございます。
曲がつまらない事も十分に考えられます。
基本が大切であることはわかるのですが、バイエルなどで興味を失くしてしまう子供が多数いる事も現実ですからね。
テツ様のおっしゃるように、本人の興味のある曲から、できる基礎練習に変換するなり工夫すればいいのでは?
と思ってしまいます。
私は普通の先生とはかなり違うプロセスで生徒にピアノを教えていたので、
大半のクラッシックの先生からは反論されてしまうのですが、
すべての子供が王道の道を通ってピアノを習わなくてもいいと思うのです。
好きな曲なら、なんとかして弾きたい!って思いますからね。