こんにちは!長男の発達障害、次男のHSCについて、学校の先生には配慮をいただいている花緒です。今日は学校の先生にわかっていただきたいことについて、親の切実な願いとして7つ、提示させていただきたいと思います。
今日の質問:担任の先生が子どもの特性を理解してくれません。どのように配慮を求めたらいいのでしょうか?

子どもの特性とは
このサイトでは、発達障害やHSC、起立性障害、緘黙、吃音など、通常級に通っているけれど、脳のしくみの違いや何らかの理由によって配慮が必要になることを指しています。
幼稚園や小学校に通うようになると、1日の大半を学校で過ごすことになりますよね。担任の先生を始め、学校で特性を理解され、居場所があると子どもは安心して学校で過ごすことができます。
しかし、中には発達障害などの特性の理解がない先生がいて、「みんなと同じ」を子どもに求めてしまうので、特性のある子どもたちは、学校が辛くなってしまうことがあります。

長男・次男の場合は、幼稚園・小学校合わせて、長男6人・次男3人のクラス担任の先生に、子どもの特性について配慮を求めてきましたが、そのうち理解してもらえなかったのは1人でした。
先生の信念・性格により理解される度合いに多きな差がある

なんとなく私が感じた先生のタイプは、4タイプに分かれていると思いました。
- 話は聞いてくれるが、根本で理解してもらえないタイプ
- 体育会系のノリで何とかなる!と思っているタイプ
- 理系の頭脳で対応してくれるタイプ
- キャリアで対応できてしまうタイプ
それぞれのタイプについて考えてみました。
話は聞いてくれるが、根本で理解してもらえないタイプ
熱心にこちらの話を聞いてはくれるのですが、なぜか根本から発達障害などの特性を理解できないタイプの先生がいました。特性があると何に困るのか、どう支援してほしいのかを具体的にお話してお願いしてみても、理解が難しい場合もあるようです。
長男が3年のとき、このタイプの先生でした。
1学期間、何度も先生とコミュニケーションを取り、スクールカウンセラーの先生や通級の先生にも協力してもらい、理解してもらおうと思ったのですが、難しかったのであきらめました。
先生だって人間ですから、理解できない場合だってありますよね。これは仕方がないかなと思いました。初めて学校でパニックをおこしたり、不登校になったり、いろんなケンカに巻き込まれて大変な1年になりました。
体育会系のノリで何とかなる!と思っているタイプ
みんなで力を合わせて乗り越えよう!!という気合一発で特性も乗り切れるというタイプの先生、いますよね。確かに、気合いにまぎれて、できてしまうこともありますし、クラスメイトの支えや助けでやれた気になることもあるでしょう。
しかし、起立性障害や緘黙、吃音などはノリではどうにもなりません。逆に体育会系のノリがプレッシャーになってしまうことも少なくはありません。
理解できないわけではないので、話せばわかってくれる先生もいますし、やっぱりノリは変えられないタイプの先生もいます。
まずは一生懸命、理解を求めるしかなく、難しいようであれば、わかってもらうのではなく、子どもの過ごしやすい環境(自宅学習や保健室登校など無理をしない方向で)を選ぶのも1つの手だと思います。
理数系の頭脳で対応してくれるタイプ
発達障害などの特性があるお子さんに一番合っていると私が思うのが、この理数系タイプの先生です。
まず、特性についても、「そういうものがある」ということを生物学的に、脳科学的に受け入れてもらえる先生が多いです。そして、先生の中である程度の仮説を立て、子どもに合う方法を実験し、結果をフィードバックしてくれます。
「特性がある」という事実から、先生が学校でできることを客観的、論理的思考で考えてくれるので、ある意味、理想の先生でもあると感じました。
もちろん、理数系出身の先生だから、理解がある先生ばかりではないと思いますが、長男もこの理数系出身の先生方に理解し、受け入れてもらい、支援されたおかげで、学校生活の中で大きな成長ができました。
発達障害の特性に全然詳しくなくても、意外と対応できてしまう、そして表現は悪いかもしれませんが、特性を珍しがってくれるというか、面白がってくれるというか、独特の思考回路を「そんな見方、考え方があるんだ」と、そのままの姿を認めてくれるような気がしました。
キャリアで対応できてしまうタイプ
特別に発達障害の勉強をしていなくても、こちらから発達障害ですと先生に伝えなくても、先生自らが子どもの困りごとに気づき、先生のキャリアですでに支援されている、というタイプの先生です。
長男は運よく2回、このタイプの先生にお世話になることができ、本当に感謝しているのですが、なかなか巡り会えないタイプの先生であることも事実です。
そして、このタイプの先生は、自分1人で対応できてしまうので、他の先生(スクールカウンセラーや通級の先生など)と情報を共有する必要がないので、先生がいなくなってしまうとどうやって対応し、支援していたのか誰も知らない、という状況がおこります。
とても理想の先生ではありますが、クラス替えや進学した場合の引き継ぎをあらかじめお願いしておかないと、後々困ることになります。
先生にしかできない学校内での居場所作り

親の手を離れ、学校にいる間は、先生にお任せするしかありません。大勢の子どもがいる中で、自分の子どもだけを見ていてもらえるわけではないので、先生の手腕にかかっていると言っても過言ではありませんよね。
ですので先生が子どもの特性を理解して受け入れてもらえないと、子どもは「自分はダメな人間なのではないか」「自分は何もできない人間なのではない」という不安を抱いてしまうきっかけになってしまいます。
だからこそ、発達障害などの特性を持つ親は、一生懸命先生方に理解を求めると思います。一日の大半を過ごす学校ですから、どんな特性がある子もない子も、安心できる居場所であると思える場所であってほしいと思います。
切実な7つの願い

特性があるという事を知ってください
発達障害、HSC(ハイリーセンシティブチャイルド)、起立性障害、吃音や緘黙など、生まれ持った気質や特性があるということを知ってください。
「そんなものは昔はなかった」という方もいらっしゃいますが、単に研究が進んでいないだけだったり、情報が出回っていなかっただけで、昔からずっと存在している特性であり気質です。
そして昔あったかどうかは問題ではなく、今、目の前にいる生徒のために特性がある事を知って理解していただきたいと思います。
特性を受け入れ、学校内での味方になってください
学校の子どもたちは、自分とは違う特性があるということを知りません。幼稚園や学校に入って初めて、自分とは違う特性や気質、人それぞれの個性に出会います。
はじめのうちは、自分とは違うものに対して、変だ、おかしいという感覚を持つ子も多いでしょう。知らないから、知らない知識の中での自分の感想を、何の気もなしにどんどん話します。子どもはそれでいいと思います。
マイノリティである特性を持つ子どもたちもまた、みんなにはできるけど自分にはできない、ということを幼稚園や学校に入って初めて知ります。知りたくなくても少しずつ気づいていきます。
そんな時、マイノリティである個性を持つことを良しとし、先生が学校内での唯一の理解者になってくれたら、周りの子に何を言われても自分は学校にいてもいいと思えると思います。
「みんなと同じ」を強要しないでください
クラスの全員に向けて話した指示、宿題、給食や掃除、学校での当たり前だと思われていることがありますが、特性のある子どもに同じやり方を強要しないでください。
例えば、音読を宿題にしても文章を読む事がとても苦痛で、頭が痛くなる子もいます。感覚過敏がひどくて、ほうきで掃く音、給食の食べ物の食感がどうしても苦手な子もいます。発達が遅れていて、他の子と同じことがまだわからない子もいます。
横一線に同じ動きをしないからといって、どうしてできないのかと問い詰めたりしないでほしいのです。みんなの前で注意したりしないでいただきたいのです。
どうして同じ動きにならないのかな?どう伝えたら動けるのかな?という方向に考えてもらえると子どもも安心して先生を信頼することができると思います。
親とコミュニケーションを取ってください
先生という仕事はとても忙しいと思います。忙しいとわかっていながら、時間をとっていただくのは恐縮なのですが、細かいことでも親とコミュニケーションを取っていただきたいと思います。
学校にいる間のことを家で細かく話す事は、特性を持つ子には難しいことです。幼稚園じゃないんだから、と思わずに、何でもいいので気づいたことを教えてください。連絡帳でも電話でもいい。1週間に1度でもいいです。
親もできるだけ気づいたことを細かく先生にお話ししていけるようにしたいと思っています。先生は学校で、親は家で、子育てをしていける協力体制を築いていけるよう、ご協力をお願いしたいと思っています。
話をきいて、困りごとに気づいてください
特性のある子どもたちは、自分が困っていることに気づいていないかもしれません。他の子と同じ行動をしていない場合、どうしたの?と声を掛けてみてください。
指示がわからなかったのかもしれないし、何か気になることがあって、前へ進めないかもしれません。本当は先生に伝えたいことがあるのに、もしかしたら先生に怒られるかもしれないと人知れず怯えているかもしれません。
1日に1回でもいい。帰り際でもいい。何か先生に伝えておきたいことはないか、話しておきたいことはないか、困ったことはなかったか、声を掛けてください。
始めは「何もない」と言うかもしれませんが、1学期が終わる頃には何か話せるようになるかもしれません。きっかけがあって、先生に伝えられるようになるかもしれません。
特性があると自分から発信することは難しいので、伝えられる環境、話せる雰囲気とチャンスを作ってあげてください。
宿題を減らしてください
宿題がなかったら、発達障害などの特性を持つ子どもたちはもっと学校が楽しい場所になるでしょう。おそらく、特性がない子も同じだと思いますが、学校生活の中で「宿題」が一番ネックになるところです。
先生方の言う、家での復習はとても大切だと思いますが、覚えない宿題はだたのやっつけ仕事と同じです。正直、言われてもやりたくない作業を子どもの頃から延々に習慣づけることは、勉強の習慣づけとは言えないと思っています。
指示待ち人間を学校生活で作っているきっかけが宿題かもしれないと私は考えています。
最近では自主学習という宿題もありますが、漢字・計算・音読にプラスしての自主学習というパターンが多いですよね。
発達障害などの特性を持つ子どもは、反復練習が苦手な子が多いです。すでに覚えている事を繰り返すことでイヤになってしまう子もたくさんいます。
学習障害の子であれば、何回も書く漢字や、ノートに写す必要がある計算問題で、人一倍疲れてしまって、復習までたどり着かない場合があります。
先生方も宿題を減らす、なくす、という事にとても抵抗があるとは思います。本当に子どもの勉強の定着を願うなら、覚え方、復習の仕方は人それぞれなのではないでしょうか?
低学年のお子さんに自主学習は難しいかもしれませんが、みんなと同じを強要しない宿題のあり方、子どもの特性に合った柔軟性のある宿題のあり方を、今一度考えていただけたらとてもうれしいです。
いろんな学び方があることを認めてください
何歳になったら幼稚園に行って、何歳になったら小学校へ入学。というように日本ではほぼ例外なくどの子も学校に行く選択肢しかありません。
通信教育やホームスクールか、学校かという選択肢しかないですよね。当たり前のようにランドセルを買って、学校に行くことが普通と呼ばれています。
学校に行かないと、「どうして学校に行かないの?」「学校にいかなきゃ」と言われ、学校からも「学校においでよ、みんな待ってるよ」と言われます。
みんなと同じように学校に行けるなら、行っているはず。何か人と違うものがひっかかっていて学校に行けなくなっているのなら、まずはその事実を認めてあげてほしいと思います。
きっと何らかの特性があって、気質があって、いろんなことが気になって行けないんだと思います。子どもは何も悪くない。好きで特質や気質を持って生まれてきているわけではないんです。
私は、学校に行けなくても何の問題もないと思います。極論になるかもしれませんが、学校に行くことで自己肯定感が下がるなら、行かない方がいい。
みんなと同じ方法、みんなと同じ行動を求められ、気になる様々なことに気づかない子どもたちと同じようになる必要なんて全くないのに、学校というところはまるで箱詰め商品を作っているかのように同調を求められる場所です。
もちろん、同調することに大事なことも多々あることはわかっています。しかし、年齢で区切られて強制的に同調を求められることは違うと思うんです。
学校という場所もあるよ、みんなと勉強してみたかったら一緒に勉強してみよう!くらいのスタンスでいてもらえると、特性のある子どもたちと親は、どれだけ気がラクになることでしょう。
今の時代、勉強だけなら方法はいくらでもあります。まずは先生が多様性を認めてくれる存在になってほしいと切に願っています。
発達障害の子どもの指導で悩む先生へのメッセージ―結い廻る:つながっていきましょ! (がんばれ先生シリーズ)
今日の振り返り

特性を持つ子を育てる親として、学校の先生に向けての7つの願いを提示してみました。おそらく発達障害などの特性や気質を持っているお子さんを育てている親は、何かしらの先生への願いを持っていると思います。
でもなかなか本音は言えない。それもまた親の心です。子どもを思うがあまり、先生にはっきりと言えないことがあるのも事実だと思います。誰しもが私のように何でも喋るわけではないのです。
私は、担任の先生だろうと校長先生だろうと教育委員会の人であろうと、誰に対しても同じように同じことを主張します。先生に「学校に行かなくてもいいと思う」と平気で話します。
良くも悪くも、どの親も私のように本音を先生に喋れるわけではなく、家で親子で悶々と悩んでいます。先生にも言えない、子どもの対応もうまくやれない、どうすることもできない、と困り切っている人がいます。
先生が理解して受け入れてくれることで、親子ともに学校という場所に居場所ができるんです。その居場所があるかないかで、学校時代を乗り切っていけるのかに大きく影響してきます。
まずは特性のある子を理解し、受け入れていただけるような先生が1人でも増えてくれることを願っています。
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